アメリカで11日、大統領選挙で勝利したトランプ前大統領が、次期政権の国務長官にルビオ上院議員を起用する見通しと報じられた。
また、トランプ氏がプーチン大統領と電話会談したとの報道がある中、ロシア側はこれを否定している。

トランプ氏の人事が本格化

アメリカ大統領選挙で勝利したトランプ前大統領が、次期政権の国務長官にルビオ上院議員を起用する見通しだと、アメリカメディアが報じた。

国務長官に起用される見通しのマルコ・ルビオ上院議員
国務長官に起用される見通しのマルコ・ルビオ上院議員
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ニューヨークタイムズは11日、トランプ氏が次期政権の外交トップの国務長官のポストに、マルコ・ルビオ上院議員を起用する見通しだと伝えた。

副大統領候補の1人だったルビオ氏は、中国とイランに対して強硬な姿勢をとる外交政策の「タカ派」としても知られていて、前トランプ政権では非公式の外交政策の顧問を務めた。

またトランプ氏は、同じく副大統領候補に名前が挙がったエリス・ステファニク下院議員について、次期国連大使に起用するとしている。

また複数の現地メディアは、かつて陸軍特殊部隊に所属したマイケル・ウォルツ下院議員が国家安全保障担当の大統領補佐官のポストを打診されたと報じるなど、人事が本格化している。

“電話会談”も…ロシア「まったくの虚偽」と否定

ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。

青井実キャスター:
ーー勝利後、ニュースが尽きないトランプ次期大統領ですが、いま注目を集めている1つが、トランプ氏とプーチン氏の電話会談についてです。

木村拓也キャスター:
トランプ氏は、今回の大統領選挙で「自分が再選したら24時間以内に戦争を終わらせる」と豪語していました。今回再選したわけですが、ワシントン・ポストは10日、関係者の話として、トランプ氏が7日に大統領選で勝利して以降、初めてプーチン大統領と電話会談をしたと伝えました。

会談では、ロシアが侵攻を続けるウクライナ情勢について協議し、トランプ氏はプーチン大統領に対し、「戦争をエスカレートさせないよう自制を促した」、また、「戦争の早期解決に向けた追加の会談にも関心を示した」と報じています。

しかし一方で、11日にロシアのペスコフ大統領報道官は、電話会談したとの報道について、「まったくの虚偽」と否定しています。

2018年のアメリカとロシアの首脳会談
2018年のアメリカとロシアの首脳会談

青井キャスター:
ーー立石さん、実際に会談はあったのか、なかったのかどう見ればいいですか?

立石修解説委員室長:
情報が少なく、断言はできませんが、アメリカのジャーナリストの取材によると、トランプ氏が大統領の1期目を終えたあとも、少なくともプーチン大統領と7回電話で会談したということです。その関係性を考えると、大統領選勝利後に話すのは自然なことであって、可能性は高いとは思います。

青井キャスター:
ーー良好な関係なのに、もし会談を行っていた場合、なぜロシア側は否定したのでしょうか?

立石解説委員室長:
プーチン大統領が、トランプ氏に「自分に都合良く話すな」とにらみを利かせた可能性があります。アメリカ側の情報では「トランプ氏がプーチンに自制を促した」となっていて、トランプ氏は常に、「自分が主導して停戦を進める」とアピールしています。しかしプーチン大統領は、「カギはロシア側が握っている」と言いたいのかもしれません。

会談はプーチン大統領の判断次第

青井キャスター:
ーートランプ氏とプーチン大統領の関係が、以前とは変わっているということですか?

トランプ政権入りが濃厚なイーロン・マスク氏
トランプ政権入りが濃厚なイーロン・マスク氏

立石解説委員室長:
第1次トランプ政権時と違うのは、ロシアが戦争中だということです。ウクライナに衛星インターネットサービスのスターリンクを提供してきたイーロン・マスク氏も、トランプ政権入りが濃厚になってきています。このようなことも、プーチン大統領的には面白くないとみられています。

一方で、アメリカの「ウォールストリート・ジャーナル」紙によると、「マスク氏はプーチン氏に2022年から定期的に接近している」との情報もあります。戦争・停戦をめぐって、トランプ氏とプーチン大統領の関係が以前より複雑になる可能性があります。

青井キャスター:
ーー山口さん、このアメリカとロシアの今の関係、どんなところに注目されていますか?

スペシャルキャスター・山口真由さん:
トランプ氏を支える政権の内部には、ロシアと距離を取りたいという伝統的な保守主義者もいますけど、ロシアと近くしてウクライナに大幅な譲歩を強いるという修正主義者もいて、主導権争いがあり、どっちになるかでロシアに送るメッセージって相当変わってくるんじゃないかなという気がしますね。

青井キャスター:
ーーそういう意味で、会談の可能性はあるのですか?

立石解説委員室長:
これはプーチン大統領の判断次第ですよね。今ロシア軍は、ウクライナ西部の近くに5万人規模の兵士を集めて、まさに交戦が始まっているという情報もあるとされています。そのような戦争の状況を見ながら、プーチン氏が判断をするのではないかと思います。
(「イット!」11月12日放送より)

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