時速194キロで車を運転して事故を起こしたら「危険運転致死罪」にあたるのかどうかーー。
大分市で起きた暴走車による死亡事故の裁判員裁判で12日、被告人質問が行われた。この中で被告の男は、「自分の欲望を制御できなくなった」などと当時の心境を説明した。
遺族「時速194キロの事故がうっかり過失なわけない」
当時19歳だった男は、12日の被告人質問でこう話した。
この記事の画像(11枚)「アクセルを踏み始めた後から加速する感覚を感じ、心の中でワクワクする感じがあった」
問題の事故が起きたのは、2021年2月のこと。
大分市の県道交差点で、右折中の車が猛スピードで直進してきた車と衝突した。
右折していた小柳憲さん(当時50)が死亡した。
直進する車を運転していたのは当時19歳の男で、衝突した時のスピードは時速194キロだった。
大分地検は当初、「過失運転致死罪」で起訴したが、遺族の署名活動などを受けて、法定刑の上限が懲役20年と、より刑の重い「危険運転致死罪」に変更した。
亡くなった小柳さんの姉・長文恵さん:
時速194キロのこの事故が、うっかり過失なわけはないんです。
遺族をサポートする団体が作成した、時速194キロでの走行を再現したイメージ映像からは、辺りの安全確認が十分にできないほどの速さであることが分かる。
今回の裁判で最大の争点となるのが、男の運転において「危険運転致死罪」が成立するかどうか。
検察側は、「時速194キロでの走行は制御が困難で、交差点への進入は通行を妨害する目的だった」などとして「危険運転致死罪」が成立すると主張した。これに対し弁護側は、「過失運転致死罪」にとどまるとして争っている。
そして、12日午後から行われた当時19歳の男の被告人質問で、時速194キロを出したのはスピードへの“欲望”だったと話した。
男(当時19歳):
自分が車を運転していく上で、自分の欲望を制御できなかった。自分の考えは、あまりに浅はかだったと後悔しています。
また、問題の事故の前にも5回以上 、一般道を時速180キロほどで走行したことがあることを明かした。そして、死亡事故を起こしたことについては、こう反省の言葉を口にした。
男(当時19歳):
自分のしてしまった行動により、1人の命を奪ったこと。遺族の方に対して、大切な家族が亡くなったことで、悲しい気持ちや許せない気持ちがあると考えると申し訳なく思う。
危険運転か、過失かーー。その境目は、どこにあるのだろうか?
(「イット!」11月12日放送より)