福岡・嘉麻市。標高187mの益富山の頂付近に聳えたつ天守閣。この時期限定で現れるという”一夜城”だ。果たしてその城の正体とは?

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取材班が向かったのは福岡県のちょうど“おへそ”の辺りに位置する嘉麻市。毎年、この時期に忽然と姿を現すという城なのだが、何やら地域の歴史にまつわる伝説が秘められているという。

「一夜城」には秘密がある?

「あ、あれですね!山の頂上付近に天守閣が聳え立っています」と記者が指差す先。益富山の頂上付近に聳える、その名も「一夜城」。城のPRをしている住民団体『一夜城桐乃会』会長の武田満さんに話を聞いた。

「城に秘密がある? そうですね。山の上に上がってもらったら『これ何?』っていう感じがあると思います」と何やら意味深な発言。益富山の上にはいったい何があるのか?

歴史にまつわる秘密を探るため山を登っていくと武田会長が突然「秘密っていうのはここにあるんです!」と指差した。その先にあったのは、何とベニヤ板。武田会長は「一面、ハリボテなんです」とおかしそうに笑った。街を見下ろす一夜城。実はベニヤ板で出来た平面の城だったのだ。

起源は戦国時代にまでさかのぼる

高さ約16メートルのハリボテ天守閣は毎年、この時期に開かれる「一夜城まつり」に合わせて地元の有志が約1週間かけて手作りしたもの。「下から見たら立派な石垣なんですけど、上に上がったら、畳です」と悪戯っぽく笑う武田会長。

さらにその謂れを聞くと「畳、襖、障子、秀吉が町民に持って来させて、仮の城を作ったという伝説があります」という。益富山の一夜城の起こりは、遠く戦国時代までさかのぼるというのだ。

時は1587年、九州平定に臨んだ豊臣秀吉が益富山に一夜で仮の城を築いたため、迎え撃つ側の筑前・秋月氏が恐れをなして戦意を失い、降伏したと伝えられているという。

そんな秀吉にまつわる伝説を地域興しに活かそうと2024年で32回目を迎えた一夜城づくり。ライトアップで浮かび上がる夜の天守閣は人気がある。

「騙された!といって、上がって来られて『何でハリボテなんですか』ってよく言われる」と武田会長は楽しそうに笑った。

(テレビ西日本)

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