福岡県北部に位置する政令指定都市の北九州市。九州地方第2位の都市(1位は福岡市)として1979年には人口106.8万人を抱えていたが、北九州工業地帯の出荷額、シェア等の低下や産業構造の変化などにより人口減少が続いている。高齢化率も30.6%(2020年)と全国の政令指定都市のなかで最も高い。
この記事の画像(12枚)重厚長大のイメージが強い北九州市だが、都心の再開発をはじめ、新たな動きも見えてきた。街はこれからどうなるのか?新たな観光資源発掘への動きを探った。
若者たちの心を掴む「コクラBEAT」
2024年10月25日、陽が落ちてきた小倉中心部の紫川エリアを色鮮やかなイルミネーションが彩った。初日を迎えた北九州市の新たなプロジェクト「コクラBEAT」。夜空で繰り広げられるレーザーショーの「紫川ナイトスペクタクル」やイルミネーションを眺めながらお酒を楽しめる「リバーサイドバー」など、若い世代がターゲットの空間づくりを展開。約2か月に渡ってエリア一帯を盛り上げ、若者の集まる街、北九州を目指す。
武内和久市長は「若い人たちが北九州の都心、小倉の都心に集まって来て、そのエネルギーとか感性が発揮できる、そういう時間帯をコクラBEATで生み出していきたい」と熱く語る。訪れた女性も「めちゃくちゃ綺麗です」と夜の小倉を満喫していた。
北九州市がアピールする夜の小倉の街の魅力は、若者だけでなく幅広い世代をターゲットに展開されている。そのひとつが小倉城。2024年5月には、夜景を楽しみながら市内有名店のすしを味わえるイベントが開催され、大勢の人で賑わいをみせた。
北九州市は、夜のイベントを開催し、夜間の経済効果を高めるナイトタイムエコノミ-に注力していて、市内への宿泊増加にもつなげたい考えだ。
すしネタの宝庫 課題は知名度不足
さらに、食べ物を活用した観光資源開発も行っている。玄界灘、響灘、周防灘に囲まれ、新鮮な魚介が溢れる北九州市。「すしの都 北九州」として協議会を設立し、海外を含めた観光客誘致を進めている。「すしの都として唯一無二の都と確信を持っています」と武内市長もすしネタの宝庫として太鼓判を押すほどだ。
しかし課題は知名度不足。その状況を覆そうと「すしの都」をアピールするに相応しい店が新幹線のホーム階から降りた場所にオープンした。『立喰寿し 平四郎』。JR小倉駅新幹線改札内に立ち食いすし店が誕生したのだ。新大阪から博多をつなぐ山陽新幹線では初めての試みとなる。
回転ずしチェーンの『平四郎』は、北九州を中心に4店舗を展開していて、手軽に新鮮な寿司を味わうことができる。イチ押しのハマチやタイ、シマアジなど一部の魚は、朝早く小倉北区の中央卸売市場で出荷10分前に締めた新鮮な状態で店へと直送され提供されている。
新幹線改札内で堪能できる本格握りずし
『平四郎』に魚を卸す丸福水産の勝田潤一社長は「北九州だけでなく、長崎、大分、鹿児島、山口、全部入って来る。鮮度の良さと種類の豊富さ、それが北九州のウリです」と自信を見せる。
新幹線の改札内で堪能できる新鮮な魚を使った本格握りずし。最安値の1貫88円から単品で頼むことができ、季節の旬のネタも並ぶ。訪れた客は「北九州にすしのイメージはなかった。おいしいですよ!」と腕時計を見ながら2,3貫を追加注文していた。オープンから半年。東京から仕事で来るたびに立ち寄る常連客もできたという。
『平四郎』の小林弘昌専務は「これだけ資源が多くて、おいしいおすしがたくさん出せるので、もっともっとこの魅力を広げていけたらいいなと思ってます」と意欲を見せる。
北九州のすしを目的に観光に訪れてもらう取り組みも市は最終的には、市内で宿泊する人を増やすなどナイトタイムエコノミ-につなげたいとしている。また紫川エリアの「コクラBEAT」では、北九州市では初開催となるクリスマスマーケットも予定されていて、街がさらに盛り上がることになりそうだ。
新たな観光資源を発掘し、北九州を稼げる街へ。若者の集まる街へ。
重厚長大の街のイメージを払拭できるか。今後の展開にも期待が高まる。
(テレビ西日本)