佐賀県内で5万戸以上あるという空き家。
住宅7戸に1戸が空き家で、20年前と比べ 2倍以上に増えた。
「何とかしなければ」と考えていても、何から手を付けてよいのかわからないという人も多いのではないか。

中島竹彦さん:
大変、1人でしよったらさばけん

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朝から片付け作業に追われる、小城市三日月町の中島竹彦さん65歳。この家は約6年間空き家状態。

核家族化や高齢化で全国的にも空き家が増えている。
佐賀県内の空き家の数も増えていて、2018年の調査によると、5万300戸と20年前と比べると2倍以上に増加している。

また、住宅全体に占める空き家の割合が、佐賀県内は14.3%と全国平均(13.6%)を上回っている。

14部屋ある実家が空き家に

6年前に父親が他界、その後まもなく母親も施設に入所したことから、ここは空き家になった。

中島竹彦さん:
何年か前…ちょうど今ごろの季節、お盆が過ぎたころ、お賽銭を狙って泥棒が入った。家は人が住まなくなると風通しが悪くて、どんどん朽ち果てていくので、それが一番心配

それから換気は、ほぼ毎日。片づけは少しずつ。これを3年ほど続けている。
築42年の木造2階建て、延べ床面積は107坪、この広さが中島さんを悩ませていた。

中島竹彦さん:
仏壇に線香あげるときに、親父に「なんでこんな大きな家を…重荷になるようなものを建てたんや」と問いかけることもある

中島さんは片付けにある程度めどが立ったことから、小城市の定住推進課へ相談へ行き、市主催のセミナーや相談会に参加するようになった。

その縁で8月19日、空き家についてアドバイスをしている佐賀市のNPOの代表で、空き家相談士の塚原功さんが中島さんの空き家を訪れた。

NPO法人 空家・空地活用サポートSAGA塚原功代表:
普通に貸すと、なかなか難しい。ここの土地柄というか。ただ僕らが判断をするときに、建物の魅力でいろいろなことをカバーできるケースがある。そういった意味では(ここは)建物に魅力が、ちょっと見ただけでも感じるので。可能性を非常に感じる

1階と2階あわせて14部屋を、くまなくチェックする塚原さん。

NPO法人 空家・空地活用サポートSAGA塚原功代表:
わ~この部屋数は

中島竹彦さん:
だから外国人留学生なんかはいっぱいね、10人くらい

NPO法人 空家・空地活用サポートSAGA塚原功代表:
10人って言わないくらいね。これはやっぱり活用しないと

中島竹彦さん:
もったいないでしょう?

NPO法人 空家・空地活用サポートSAGA塚原功代表:
もったいない

部屋数が多いことから、留学生向けのシェアハウスとして活用できないか、とのアイデアが上がった。

しかし、この空き家を活用するためには、住宅診断や耐震診断などが必要で、その準備が整い次第、塚原さんらNPOが選択肢を提案することになった。

空き家によって発生する様々な問題

県内でも7戸に1戸の住宅が空き家となる中、さまざまな問題が発生している。

NPO法人 空家・空地活用サポートSAGA塚原功代表:
人が住んでいないと空き家に忍び込んだり、そこを利用して犯罪が起きたり、変な人が住み着いたり

また、町の景観を損なうほか、空き家が倒壊して、救急車などの緊急車両が通れないケースも起きているそう。
さらに、厄介なのが…

NPO法人 空家・空地活用サポートSAGA塚原功代表:
相談があった案件で、7、8割は相続が済んでいないということ。亡くなられた人、祖父、曽祖父の名義のまま、代替わりして住んでいって結局誰も住まなくなる

相続権利者全員の同意がないと、空き家は売ることも取り壊すこともできないという。

空き家問題の解決へ広がる選択肢

NPO法人 空家・空地活用サポートSAGA塚原功代表:
(選択肢を)1つに決めないで、いろいろな方向性・可能性があるので。診断やわかる人にジャッジをしていただいて、早めに方向性を決めて進んでいく。利活用するのか、解体するのか…それが非常に大事

中島竹彦さん:
(今まで)賃貸なり、売却なりするしかないかなと思っていたのが、(相談したことで)それ以外の選択肢が見つかった。選択肢の幅がこのくらいだったのが、このくらいぐらい広がったような思い

解体や売却以外にも、最近はシェアオフィスやシェアハウス、レンタルスペースといった家賃収入などが見込める活用例も。
市町の相談会や専門的な知識を持つNPOもあり、まずは早めの相談が解決の第一歩となる。

(サガテレビ)

サガテレビ
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