物価高や投資への意識の高まりを受け、金融の知識を求める人たちが増えている。福井の図書館が金融関連の特設コーナーを設けたところ、借りる人が後を絶たない。さらに、金融の講座を初めて開いたところ、定員の2倍以上の申し込みがあった。図書館から見る今を取材した。
補充しても間に合わず…大人気な”金融”本
福井市のみどり図書館の入り口を入ってすぐの所には、経済や家計など、お金に関する本を集めた特設コーナーが設けられている。
この記事の画像(8枚)みどり図書館では6月24日から7月19日まで約2カ月間、特設コーナーを設置している。通常、特設コーナーの設置期間は1カ月間だが、市民の関心の高さから倍に伸ばした。
「お金の仕組み」「資産の増やし方」「分かる経済」など、置いてある多くが入門書だ。
みどり図書館・岩城典子司書:
物価高を受けて、家計をどうしようという人がたくさんいる。土地や資産などの遺産をどう処理していいか分からない方が多いとも感じる。悩みを解決できる本を提供できるのではと思い設置しました
特設コーナーには100冊以上が並ぶが、設置当初から本を借りる人が後を絶たず、空いた棚に新たに本を補充しても、すぐに借りられてしまうという。新刊はすぐに予約待ちになる。
福井市内には現在、3つの市立図書館で同様のコーナーを設けているが、いずれも同じ状況だという。
本ならではのメリットも
金融の本を手に取るのは大人だけではない。高校生などの若い世代は「資産運用」の入門書を借りることが増えた。その背景には、家庭科で金融の教育が始まったことも影響している。
みどり図書館・岩城典子司書:
ネットで調べる人もいるが、情報が断片的。その点、本だと幅広く情報を得られるのでは
講座も倍以上の応募も!小学生対象のマネー講座の予定も
金融知識のニーズが高まっていることを受け、この図書館では2023年3月、初めて相続に関する講座を開いた。定員35人に対して、80人以上が応募するという異例の多さだった。
7月中に金融の知識などを啓発する県の委員会と共同で、相続に関する講座を開く。さらに8月には元総務相の片山善博氏を招き、地域経済ついて学ぶ講演会を企画している。
ほかにも、小学生や子育て世代など、幅広い世代を対象にマネー講座を展開する考えだ。
金融広報中央委員会の「金融リテラシー調査」では、2022年の福井の順位は47都道府県のうち35位だった。図書館では今回の“金融ブーム”が、県民の理解の底上げになってほしいと期待を込める。
みどり図書館・岩城典子司書:
図書館で時代が必要とする知識を得て、自分で考えて行動できるようになってもらえれば福井が盛り上がっていくのではないかと期待しています
(福井テレビ)