秋の深まりとともに日没が早まり、夕暮れ時の交通事故が増加する季節となった。愛媛県内では交通事故による死者数が昨年よりも増加している。その危険性と対策について取材した。

夕暮れ時の危険性

刻一刻と辺りが暗くなる夕暮れ時は、交通事故が一番起こりやすい時間帯だ。街で話を聞くと、男性は「街灯が少ないところとかヒヤリとすることはあります。向こうもライトつけ忘れてたり、気づくのに遅れて、おっというのはありました」と語った。

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配達業の男性も「早めにライトは点けてもらった方がいいですよね。曲がり角とか明かりなかったら分からないですもんね。ミラーも真っ暗ですし」と述べている。タクシードライバーは「街中が明るかったら、基本無灯火の人が多いんですよ車でも。危ないなとは思いますよね」と危険性を指摘する。

愛媛県警察の交通事故分析官・塩見浩二警部も「これからの時期は歩行者が見えづらくなる夕暮れの時間帯と、交通量が多くなる時間帯が重なり合う時期となります。そのため交通重大事故が多発する傾向にあります」と警鐘を鳴らしている。

愛媛県警察の過去5年間の統計によると、10月から12月に交通事故で亡くなった人は76人と1年のうちで最も多くなっている。

松山市内で8月と10月の午後6時過ぎの暗さを比較すると、8月は全体が明るいが、10月はすでに暗くなっている。日没が8月は午後7時頃だったのに対し、10月には午後5時半頃となり、1時間半も早まるのだ。

早めのライト点灯が鍵

夕暮れ時の事故を防ぐために、警察が有効な手段として呼びかけているのが「早めのライトの点灯」だ。ライトが点いているか点いていないかで見え方の差は歴然である。

最近の車には、周囲の明るさを検知して自動的に点灯するオートライト機能もあるが、点灯のタイミングは車種によって異なるため、早めに自ら点けることが推奨されている。
塩見警部は「曇りや雨などの天候によって異なりますが、10月中はおおむね午後5時。11月からは午後4時半ぐらいから点灯をお願いします」と具体的な時間を示している。

また、100メートル先まで見えるハイビームにこまめに切り替えることも大切である。

警察の協力のもと暗くなった時間帯で色の見え方を実験したところ、ロービームのときは両端にある白と黄色以外はほとんど見えないが、ハイビームにするとコーンの色をはっきりと確認することができる。

ハイビームでも黒のコーンは見えづらいのが分かる
ハイビームでも黒のコーンは見えづらいのが分かる

ただ、よく見てみると、実は赤と黄色の間に黒のコーンがあり、ハイビームにしても黒はドライバーから見えづらいことが分かる。

反射材の重要性

このような時に役立つのが、暗闇でもライトを当てると光る「反射材」である。

反射材をつけている人は100メートル先でも見えるが、反射材をつけていない白い服の人と黒い服の人は、それぞれ近づかないと見えない。実際に車を運転していても、青木稜悟記者は「前方に人がいました。反射材をつけているので、遠くからでもすぐに分かりました」と述べている。

愛媛県警察は、2024年10月21日から12月末まで「夕暮れセーフティ」として早めのライト点灯や歩行者に反射材の着用を呼びかけるほか、取り締まりを強化することにしている。

愛媛県警察の交通事故分析官・塩見警部は、「県内の交通事故による(10月8日までの)死者数は37人で、2023年と比べて8人も増加しております」と述べ、交通事故による死者数は2023年よりも増加し、愛媛県警察は「危機的な状況」としている。これからの時期、事故を起こさない、事故に遭わないよう、ドライバーも歩行者も対策が求められる。

(テレビ愛媛)

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