千葉市の幕張メッセで15日、「ジャパンモビリティショー2024」が開幕した。
今回のモビリティショーは、スタートアップと大手企業を結びつけることが狙いの1つで、出展した200以上の企業・団体のうち、約140がスタートアップ企業だった。

スタートアップが未来の技術とアイデアを発信

未来のモビリティー社会へ。スタートアップと共に歩みを進める。

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千葉市の幕張メッセで15日、「ジャパンモビリティショー2024」が開幕した。

国内の大手自動車メーカーが、カーボンニュートラル社会の実現へ向けたさまざまな車を展示する中、トヨタ自動車が日本で初公開したのが、水素を手軽に誰でも運べる小型のカートリッジだ。

トヨタ自動車が公開した水素カートリッジ
トヨタ自動車が公開した水素カートリッジ

重さは約8.5㎏で、取り扱いに資格などは必要なく、発電のほか、水素を直接燃やして調理にも使えるなど、燃料電池車の開発で培った技術が生かされている。

そして今回、会場のいたるところで目にしたのがスタートアップ企業だ。
今回のモビリティショーの狙いの1つが、優れた技術やユニークなアイデアを持つスタートアップと大手企業を結びつけることだった。

出展した200以上の企業や団体のうち、約140がスタートアップ企業だ。

AI開発会社 株式会社Elith・村上孟史取締役COO:
自動車関連でスタートアップが参加できるイベントがなかったので、こういったところで機会をつかみ取って、今までなかったクライアントにリーチして、接点が持てればよいなと思って出展しました。

自動車だけでなく、モビリティーに関するものであればなんでもあり。
スタートアップならではのオリジナリティあふれる展示が盛りだくさんで、会場内には興味を持った企業と直接商談ができるブースもあった。

徳島大学のブースで披露されていたのは、「走って飛べる車」の模型だ。

災害時の利用を想定していて、通常の道路は車として、道路が寸断されているところはタイヤがプロペラとなり空を飛んで移動する。
エネルギーを効率的に使うことで、より遠くの被災地にも行けるという。

徳島大学・山中健二助教:
実際に研究を進めていくと、どうしても予算が厳しい状況で。スタートアップで日本の技術やアイデアを持っている人たちを増やしていければと考えているので、非常に良い試みだと思っています。

スタートアップとともに歩む、未来のモビリティー社会。「ジャパンモビリティショー2024」は、10月18日(金)まで開催している。

EV以外の多様な技術と逆転の発想

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーー長内さんは早速モビリティショーを訪れたということですが、いかがでしたか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
2024年のモビリティショーは、ビジネスマッチングが主な目的となっています。そのため、かえって日本の自動車産業の現状と、未来の戦略をうかがい知ることができたように感じました。

堤キャスター:
ーー会場で示されていた自動車の未来で、長内さんが注目したものは?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
2点あります。1つは正面ステージの両袖に最新の自動車展示が行われていたのですが、左手にはEVが並び、もう一方の右手には、水素燃料自動車、水素エンジン車、さらにはバイオ燃料車、PHEVなど、EVだけではない自動車の未来が展示されていたことです。

これは、EVが抱えるさまざまな問題が明らかになり、成長がいったん立ち止まった昨今の状況をふまえて、日本には、EVだけじゃないさまざまなソリューションがあるということを示しているのだと思います。

堤キャスター:
ーーもう1つの注目については、いかがですか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
今回なるほどと思ったのは、新しいビジネスのアイデアは“逆転の発想”だということです。

空飛ぶ自動車は、空を飛んでいると、すぐにバッテリーが切れてしまう。そこで、地上は自動車として走り、海の上などでは飛行機になる空陸両用の自動車を出していました。これは飛ぶのが当たり前と思っているところに、飛ばないことで問題を解決するアイデアです。

従来の常識を覆す新たなイノベーション

堤キャスター:
ーー当たり前とされていたことをそのままにしないことで、新たな可能性を示したわけですね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
従来の考えにとらわれないことでいうと、トヨタ自動車の水素カートリッジもそうでした。携帯可能な水素カートリッジで、どんなところでも水素燃料を活用して、電気を作ったり、燃焼させたりできます。

これも、水素燃料は水素ステーションで補充するという当たり前に対する“逆転の発想”で、むしろ燃料の方が使用する現場にやってくるわけです。

既存の概念にとらわれない、こうした逆転の発想が、新しいイノベーションを生み出すのではないでしょうか。

堤キャスター:
モビリティー産業とさまざまな企業が手を携えて、社会の課題を向き合うことで、未来の車の可能性も広がっていくように思います。
(「Live News α」10月16日放送分より)