高齢になっても働く人の数は増え続けていて、2023年は914万人と過去最多を更新しました。
この記事の画像(15枚)総務省統計局の調査によると、65歳以上の働く高齢者は20年連続で増加、65歳から69歳で2人に1人、70歳から74歳でいうと3人に1人が働いていることになります。
なぜ、働く高齢者が増え続けているのでしょうか?「めざまし8」は、その実態を取材しました。
10月8日、取材班が訪ねたのは、都内近郊のリサイクルショップ「パワーセラー」。その倉庫には、リサイクル家電をクリーニングする高齢者の姿がありました。
週3日・1日5時間働く宮下さん(80):
年は80歳。家でボケッとしてるわけにもいかないし、やっぱり動いてれば多少なり体も長持ちするでしょう。まだ4、5年ぐらいはやりたいね、できれば。動けるうちは。
16年勤務 週3日・1日8時間働く蛇沼さん(76):
高齢者も雇っていただける雰囲気の会社ですので、甘えて長居してしまいました。お金の使い道は、酒とカラオケですね。職場のみんなとも、年に数回ここのメンバーで行ったり、個人的にそういうところにね。それが唯一のストレスの解消でもあり、楽しみでもありますね。
リサイクルショップ「パワーセラー」水出吉則さん:
価格もお手頃なもの、きれいなものを並べてます。もう一つの方の倉庫の方に持って行って、そちらの方で、“おじいさんたちが、丁寧に洗ってくれている”という感じです。
高齢者の人材を派遣している会社では、2000年には25人だった登録者数が、10月8日時点で1196人まで増加していました。
高齢社 村関不三夫社長:
やっぱり、65歳を過ぎても働きたいという方が年々多くなってますね。世の中の人手不足の問題もありますので、これからも65歳を過ぎても働きたいという方の数は、確実に増えていくと思います。
定年を迎えても働く高齢者の姿は、町工場にも…。
2020年に定年を迎え、現在では嘱託社員として会社に在籍する阿佐さん。若手社員を教育する立場でありながら、学ぶこともあるといいます。
町工場 インターナショナルダイヤモンド 阿佐さん(69):
昔のやり方ではなくて、こうすれば早くできるというやり方は、やっぱり若い人が長けているというか。僕らで1時間かかったことを、10分か15分でできます。パソコン使える人だから、そういう形で教えてもらうことも多々あります。
「働き続ける高齢者」どんな職業?働く理由は?
スタジオでは、リクルートワークス研究所・坂本貴志氏に働く高齢者の実態について、話していただきました。
倉田大誠アナウンサー:
みなさんがついている職業は、最も多いのが農業52.6%。あとは施設やビル等の管理人が47.0%。警備員が37%。農業は元からされている方なので、再就職されている方は、管理とか警備が多いのかもしれません。事務系の方も比較的いる。そんな中で、高齢者が働く場所が増えている背景って、どういったものがあるんでしょうか。
リクルートワークス研究所アナリスト 坂本貴志氏:
企業の人手不足が、要因としては最も多いですね。若い方が減ってきているので、ご高齢の方でも活躍できる方は、どんどん採用したいという企業が増えています。ただ、ご高齢の方はフルタイムで長時間働きたい方は少ない。時間が少ない仕事や、業務の内容が難しすぎない、責任が重すぎない、そういったことが大切になってきています。
また、仕事の中で適度に身体を動かせること、人と穏やかにつながれる仕事。そういった仕事を望まれる方が多いですね。
MC谷原章介:
生きがいになっている面もありますよね?
リクルートワークス研究所アナリスト 坂本貴志氏:
経済面もあるのですが、生きがいになっているという面も確かにあると思います。
企業としては、そういった中でご高齢の方に活躍していただくためには、仕事の作業や時間をより細分化していく必要があります。スーパーやコンビニだと、朝だけ品出しをしてもらうとか、飲食店ではランチの忙しい時だけ仕事をしてもらうとか、送迎の仕事なら朝夕だけとか。
倉田大誠アナウンサー:
高齢者が働く理由の1番は当然、生計の維持というところ41.9%。そして健康の維持は38%の方が実はここを求めている。また、社会とのつながりを得るため32.5%。どうしても家にいて年金だけだと、心の潤いとか人と会話する機会がなくなってきますので、意外とこういう部分がみなさん好条件として求めていると…。
昔と比べて、仕事をしたい理由って変わってきているんですか?
リクルートワークス研究所アナリスト 坂本貴志氏:
昔もそういった意味で、社会とのつながりを求める方も多くいました。近年では経済的な事情で比較的増えている印象があります。年金の条件も少しずつ厳しくなっていく部分もありますし、物価も上昇していることもありますね。
風間晋 解説委員:
みなさんたいがいの方は、働ける間に働こうと思っているんですよ。でも、同じ働くんだったら、できるだけポジティブに働きたい。自分を前向きに動機付けたいっていうところがあって、健康の維持とか人との関わり合いを増やしたいという理由が出てくるんだと思います。
リクルートワークス研究所アナリスト 坂本貴志氏:
実際にシニアの方は、長く続けてきた仕事を続ける方も多いんですけど、全く別の仕事について、そこで生きがいを持って仕事をされる方もいらっしゃるので、違う仕事に挑戦してみるってことを考えてくことも大切だと思います。
企業も人手不足で困っていますので、これまでは若い方がいるのでご高齢の方を雇ってまでは…という企業も多かったのですが、今後は若い方の採用は難しいので、ご高齢の方でも採用していきたいという企業も増えていくと思います。
(「めざまし8」10月9日放送より)