東京大学の象徴「赤門」が、3年前から耐震性の問題で閉鎖され、多くの学生が入学後も通ったことがないという。また、東京大学は2025年度から授業料を年間約11万円値上げすることを決めており、大学側の対応を巡って不満を抱いている学生もいた。

「1回開いているところは、せめて見てみたい」

東京大学のシンボル「赤門」。「赤門をくぐりたい」と受験生の目標になってきたが、実は3年前から“開かずの門”になっている。

東大のシンボル「赤門」
東大のシンボル「赤門」
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現役の多くの学生は、東大の入試に通ったのに赤門を通ったことがないという。青井実キャスターが、実際に現場で取材した。

青井実キャスター:
赤門は、雰囲気があって格好良いですよね。今は、閉鎖され「立入禁止」と書かれた紙が張られた柵が設置されていて、近付けないようになっていました。学生さんはどう思っているんでしょうか。

ーー赤門を通ったことがありますか?
大学院生:

大学院から東大に入ったので、赤門が開いているところをまだ一回も見たことがないです。

青井キャスター:
赤門は、東大生にとってどういう存在ですか?

大学院生:
マスコットというか、象徴みたいな感じなのかな。

青井キャスター:
赤門は、通りたいですか?

大学院生:
1回開いているところは、せめて見てみたい。

他の学生にも聞いた。

青井キャスター:
赤門って通ったことあります?

大学院生:
コロナが大学院入学のタイミングなので、開いたのを見たことがない。

青井キャスター:
写真撮ったり、通りたいなとは感じますか?

大学院生:
最近は、その欲求もなくなってきました。

青井キャスター:
せっかく東大だから、通りたいなといった思いはありますか?

大学院生:
一応見に行きました。でも、やるせない気持ちに…。

高校時代に撮ったという写真
高校時代に撮ったという写真

高校時代に前で写真を撮ったという学生さんもいて、みなさん複雑な思いがあるようだ。

創設150周年の開門を目指す

東大のキャンパスがある場所は、江戸時代に加賀百万石・前田家の江戸屋敷だった場所だ。

赤門はその一部で、正式名称は「旧加賀屋敷御守殿門」といい、今から約200年前の1827年に建てられた。

その後明治維新を経て、1877年に東京大学が創設されても取り壊されず、関東大震災や戦時中の空襲も免れていた。1931年には国宝に指定され、現在は国の重要文化財になっている。

“開かずの門”になった理由は、専門家が赤門の屋根瓦の構造や耐震性能を調査したところ、大きな地震や強風で倒れる可能性があったためだ。

この赤門の閉鎖は、耐震性の確保が確認できるまでの間行われ、東大は創設150周年となる3年後の開門を目指しているという。

年間授業料約11万円値上げへ

その東大だが、赤門閉鎖以上に気になることがあった。学生は「地方から上京している学生は、学費の値上がりは重荷になると思う」と話す。

2025年度の入学者から、年間授業料が約11万円値上げされることがニュースになっていた。

値上げは20年ぶりで、授業料は年間64万2960円になる。在学生の授業料は据え置きのため、現在通っている学生に影響はないが、それでも反対運動が起きた。

大学4年生は「値上げされてしまうと、困る人は確実にいる。対話の機会があったのは、総長が学生何人かを招待して対話をする会が開かれた。それ以降説明がなく、あったとしても知れ渡っていなかったのは、信用問題になる」とコメントしている。

東大は、値上げにより教育環境の改善を進めるとしている。また、授業料免除の対象も世帯年収400万円以下から600万円以下と広げ、900万円以下の家庭も状況に応じて一部免除するという。

赤門閉鎖を取材すると、授業料値上げへのモヤモヤした思いが…。東大はどうなるのか。
(「イット!」10月4日放送より)

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