親族などを名乗り、金を騙し取る「オレオレ詐欺」が再び増えています。金を無心された70代女性の被害を防いだのは、信用金庫の19歳の女性職員でした。

■音沙汰ない「甥」から…突然の電話

豊橋市に住む70代の女性に9月24日、金を無心する電話がかかってきました。

70代女性:
11時ごろかなと思うんですけどね。うちに電話がかかってきて、「喫茶店におったんだけどカバンをなくして、100万か200万を用意してくれ」ということで。

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電話は男の声でしたが、女性に息子はいません。

70代女性:
私の甥、甥というか名乗っていないんです。「○○か?」って言ったら「そうだ」って言うもんで。なんとなく声がね、喋り方というかそういうのが何となく…。

甥だという男に「取引先に払う金をなくした」「金は代わりの人間に取りに行かせる」と頼まれた女性は、現金100万円を用意するため、信用金庫に向かいます。

しかし、ATMで女性が引き出せる上限は10万円でした。焦る女性に、職員が声を掛けました。

蒲郡信用金庫橋良支店の谷本愛実さん:
急いでいる様子だったので、お話を聞かせていただいて。甥というのが、あんまり会っていないということだったので、そこで怪しいなと思いました。

音沙汰なかった親族が、電話一本で金の無心をしていると聞き、「オレオレ詐欺」と気づいた職員はすぐに警察に通報しました。

女性の自宅近くで待ち受けた警察官の前に現れたのは、住所不定の無職・高橋直人容疑者(41)でした。甥の上司になりすまし、女性から現金100万円をだまし取ろうとした疑いで逮捕・送検されました。

犯行道具として何台ものスマートフォンや、着替えの入った大きなバッグなどが押収されました。着ていたスーツのズボンは、逃げようとした際に破れてしまったようです。

高橋容疑者は、特殊詐欺グループから指示を受けて詐欺に及ぶ「受け子」とみられています。

■『オレオレ詐欺』なぜ再び増加?

特殊詐欺の中でも典型的なオレオレ詐欺…実は今、再び増えています。

愛知県内で2024年8月までに発生したオレオレ詐欺の認知件数は337件で、夏以降急激に増加し、すでに2023年の年間件数313件を超えています。

警察では「防犯カメラを恐れ、自宅や人気の少ない場所で現金を受け取るオレオレ詐欺が再び増えているのでは」という見方もあります。

愛知県警豊橋署の竹村賢二署長:
受け子が逮捕されても、自分たち(組織のトップ)は逮捕されることはないだろうと考えて、だましやすい手口でどんどんやってきているものと考えています。

繰り返される詐欺の手口…決して他人事ではありません。

(東海テレビ)

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