沖縄県内では2023年の1年間に亡くなった人が1万5000人を超え、年々死亡者数が増加している。こうした中で、いま深刻になっているのが、亡くなった家族の遺体を長期間火葬することができない「火葬待ち」の問題。

沖縄本島南部にある火葬場は、那覇市の「いなんせ斎苑」と、豊見城(とみぐすく)市にある「南斎場」の2つで、この夏には12日間も待たされたケースもあった。

平均して6日から7日の火葬待ち

画面上に並ぶバツ印。これは那覇市にある公営斎場「いなんせ斎苑」の火葬の予約ページ。

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予約が取れるのは最も早くて6日後。大切な人を亡くしてもすぐに火葬をすることができない状況が続いている。

沖縄県霊柩葬祭事業協同組合によると、県内の火葬場のひっ迫は2024年4月頃から顕著になっているという。

沖縄県霊柩葬祭事業協同組合 名嘉義明 理事長:
ひっ迫する前はだいたい2~3日で火葬と告別式を終えたが、どうしても1週間以上待つことになり、遺族も非常に不安がられている状況です

夏場を迎えた2024年7月以降、平均して6日から7日の「火葬待ち」が発生していて、なかには2週間近く予約が取れない人もいる。この状況は今後さらに厳しくなる恐れがある。

沖縄県霊柩葬祭事業協同組合 名嘉義明 理事長:
団塊の世代が後期高齢者に入ったことで、死亡人口の増加は加速するだろう

遺族の大きな負担に

沖縄県のまとめによると、2023年に県内の死亡者数は1万5000人余りで、5年前よりも約3000人増加していて、死亡者数は年々増え続けている(1万5146人)。

その一方で、火葬できる件数は限られていて、いなんせ斎苑では1日12件となっている。

火葬炉を無理に稼働させれば故障するリスクが高く、死亡者数の増加に対して十分な対応ができていないのが現状である。深刻化する「火葬待ち」は遺族に大きな負担を強いている。

沖縄県霊柩葬祭事業協同組合 名嘉義明 理事長:
1週間以上待つとなると、(遺体の)顔の変色がどうしても出てきたりするため、きれいな姿のままで送り出したいというのが僕らの気持ちだが、長く置くと状態が変わってしまうため心が痛いです

また、遺体を長期間安置し続ければ10万円から20万円の追加料金が発生する場合もあり、遺族の経済的な負担にもつながっている。

抜本的な改善には火葬場が必要

火葬場のひっ迫を受けて、2024年9月25日に那覇市議会の議員らが知念市長を訪ねた。

議員らは「大変な思いをしている遺族が増え、看過できない問題だ」として、火葬待ちが7日を超えないよう運用体制の整備や、市町村と葬儀事業者などが情報共有や協議する場を設けることを求めた。

公明党那覇市議団 翁長俊英 那覇市議:
7日間(遺体を)保存し待機するというのは、経済的にも精神的にもあってはならないと思うので、安心して火葬をできる体制を全体的に構築できればと思います

知念市長は、市民の声を重く受け止めるとして、2025年度の予算措置で遺体の安置に必要なドライアイスの費用を補助することを検討すると述べた。

沖縄県内の厳しい状況を目の当たりにしてきた県霊柩葬祭事業協同組合の名嘉義明理事長は、ひっ迫した状況を抜本的に改善するには火葬場の数が足りないと指摘する。

沖縄県霊柩葬祭事業協同組合 名嘉義明 理事長:
どうしても那覇のいなんせ斎苑は那覇市民と浦添市民が優先です。宜野湾市、西原町、中城(なかぐすく)村、北中城村の方々は火葬場がないため、後回しにされる部分があるので、新しい火葬場を作らないと、緩和につながらないと思っています

遺族の精神的な負担や経済的な負担を大きくしている火葬場のひっ迫。誰もが安心して故人と別れられるための環境づくりや対策が求められている。

(沖縄テレビ)

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