秋篠宮家の次女・佳子さまが9月21日と22日の2日間、鳥取を訪問された。米子市で開かれた「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」に出席。鳥取の工房との縁を大切にされる思いも込められたコーディネートで、交流した県民を魅了した。
木の温もり感じるアクセサリー身に着けられ
21日、米子空港に到着された秋篠宮家の次女・佳子さま。空港周辺では約120人が出迎え、佳子さまは笑顔で応えられた。
この記事の画像(22枚)その笑顔に触れた人たちは、「本当に洗練された美しさで、感動しました」、「とても柔らかい雰囲気で、想像以上にかわいくて、人柄もすごく出ていて上品な感じでした」と感激した様子だった。
ライトベージュのセットアップで秋らしい装いの佳子さま。木の温かみを感じるイヤリングとバレッタを合わせられていた。実は、佳子さまが身に着けられていたアクセサリーは、日南町の工房で作られているものだった。
「涙が出そうなくらいうれしかった」
製作しているのは、鳥取・日南町の白谷(しろいたに)工房だ。白谷工房の中村建治さんは、佳子さまが身に着けられていたことをニュースで見て知り、「素直にうれしかった」と話す。
この工房では、15年ほど前から古民家を解体した木や建築現場で出た端材を使って、寄木細工のアクセサリーなどを製作している。廃材を使うため、でき上がりはひとつひとつ色味が異なるのが魅力のひとつになっている。
佳子さまが着けられたバレッタは、平井知事が鳥取市内のセレクトショップで購入し、8月に宮内庁を訪れた際にお渡ししたもので、これをきっかけにイヤリングも合わせられたということだ。
白谷工房・中村建治さん:
(交流会で)イヤリングやバレッタを振り返って見せていただいて、「木の種類によって色が違うのが素敵ですね」というお言葉をいただきました。涙が出そうなくらいうれしかったです。
これらのアクセサリー。通常は1カ月にバレッタは20個、イヤリングは100個程度注文が入るということだが、21日以降は通常を大きく上回る注文が入っているという。
マラカスを手に楽しまれる場面も
21日午後は、伯耆町の「植田正治写真美術館」へ。
境港市出身の世界的写真家・植田正治さんが山陰の風土をとらえた作品をご覧になり、佳子さまは、作品の背景にあるエピソードについて興味深く聞き入られたという。
植田正治写真美術館・青井洋一館長:
今回、佳子さまにご覧いただいた作品は、あえてちょっと白く浮き出させているような作品ですが、これをご覧になって佳子さまは「写真の中に吸い込まれていく感じですね」というコメントをいただきました。非常に山陰ののどかな、そして人々の生き生きした姿が印象的ですとお話しされました。
また米子市の障害支援施設では、施設の利用者が結成したバンドが演奏を披露。佳子さまもマラカスを手に楽しまれた。
このあと佳子さまは、米子市内のホテルで開かれた「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」の交流会に出席し、出場する全国の高校生を手話を交えて激励された。
佳子さまと交流した生徒は「初めて佳子さまとお会いして、とてもドキドキして足も震えました。手話もとても上手でスムーズで、ドキドキした気持ちも落ち着いて、うれしかったです」と話した。
開会式でのごあいさつは今まで違う形に
そして22日は、11回目を迎えた全国高校生手話パフォーマンス甲子園に出席し、開会式では手話であいさつをされた。
佳子さまのごあいさつ:
自分の思いやエネルギーを周りに伝え、また仲間の思いやエネルギーを、そして観客の力や雰囲気を全身で感じながら本番に臨むことができたら素敵だと思います。
これまで佳子さまは、お言葉に手話を交えてあいさつされていたが、「聞こえる」「聞こえない」という垣根を取り払おうと、今回は佳子さまの手話を通訳が読み取り、声に出す形をとられたという。
全国高校生手話パフォーマンス甲子園は、鳥取県が全国で初めて手話を言語として認める条例を制定したのをきっかけに始まり、佳子さまは第1回から高校生の演技を見守られてきた。
今回は「演劇・コント・ポエムなど」と「ダンス・歌唱」の2つの部門に、全国から予選を勝ち抜いた16チームが出場。山陰からも3チームが、練習を重ねたパフォーマンスを披露した。
佳子さまは16チームの演技をすべてご覧になり、高校生たちの熱演に拍手を送られていた。
審査の結果、演劇などの部門では、手話落語部の生徒たちが、古典落語の演目をコントにアレンジし披露した熊本県の熊本ろう学校が、前年に続き2連覇。
またダンスなどの部門では、「ありのままの自分」をテーマに手話を生かしたダンスで表現した、大阪府の久米田高校が優勝した。
熊本ろう学校の出場者は「佳子さまから努力の成果が表れているなという風におっしゃっていただいたことが印象に残りました」と喜んだ。
“手話の聖地”を掲げる鳥取県で始まった「手話の甲子園」。高校生たちの全力パフォーマンスが、手話への理解を広げ「聞こえる」「聞こえない」の垣根を取り払う一歩になっていた。
(TSKさんいん中央テレビ)