直近6試合を5勝1分と好調を維持したまま藤枝との“静岡ダービー”に臨んだ清水エスパルス。先制こそ許したものの秋葉采配がズバリ的中し、最終的には3対2と勝ち切った。そして、次節はいよいよ横浜FCとの国立決戦だ。

秋葉采配ズバリ いざ国立決戦へ

同じ静岡の地をホームとする藤枝との県勢対決。スタジアムには両チームのサポーターなど1万667人が駆け付けた。

エスパルスの秋葉監督は5月の鎖骨骨折以来、ベンチを温め続け悔しい思いをしてきた西澤を4カ月ぶりに先発で起用。

互いに意地と意地がぶつかり合った一戦は、前半に藤枝が1点を先制し、ゲームを折り返す。

しかし、エスパルスが後半に入り矢島をボランチに投入すると、一気に風向きが変化。

後半7分。矢島が中央で受け、すばやく前方に縦パスを差し込むとブラガ・北川を経由し裏側に走り込んだ西澤が豪快な同点弾を決めた。

そして6分後。右サイドで得たコーナーキックのキッカーを西澤が務め、落差のあるアウトスイングの球を住吉が頭でネットに突き刺した。

さらに後半15分。バックパスに北川のすばやい反応でボールを奪い駆け上がると、左サイドの裏を走る乾にパス。乾はキーパーとディフェンスの間を通しゴールにねじ込んだ。

乾はこの日、Jリーグ通算200試合出場の節目で、自ら祝砲をあげた。

エスパルスは今、クラブを代表する選手が結果を出し、新たな選手がレギュラー争いに加わる最高の好循環が出来つつある。

横浜FCがドローに終わったことで、首位に再浮上し、次節はその横浜FCと国立決戦を迎える。

藤枝戦、矢島のボランチ起用や西澤の先発出場は相手にとっても予想外だったに違いなく、有効な対策を取ることができなかった。

これはエスパルスの分析の賜物であるし、選手起用が“当たる”のは決して偶然ではなく、組織として緻密に作戦を練り実行した結果だと言えよう。

当然のことながら、秋葉監督は横浜FCに対しても“あっと驚く”ような綿密な戦略を練ってくるはずだ。

J2制覇に向けて、勝者が圧倒的優位に立つ注目の一戦は9月28日午後6時に始まる。

秋葉監督「勝つための日常を」

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-藤枝戦を振り返って
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
県勢対決ということで、スタジアム最多の1万人以上の観客で埋まったことに静岡のサッカー熱を感じた。お互いが良さを出した中で、もちろん失点はゼロがいいに決まっているが、5ゴールもあってフットボールの醍醐味が詰まったゲームをできた。そして、結果として我々が上回れたいい90分間だった。

-前半に藤枝のコーナーキックの場面で、オフサイドにより追加点にこそならなかったが、この時の心境
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
実は我々は21節の秋田戦以来、セットプレーでは失点していない。トレーニングからアウトスイングのボールに対するラインコントロールなど、選手は集中して取り組めていた。ただ、横浜FCはそういったところを見逃してはくれないと思うので、全員で守備がボケることなく引き締めてやりたいと思う。

-後半最初の交代は矢島選手でボランチでの起用。意図は
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
戦況を見つめながら、何が一番効果的なのか、どういうタイミングでカードを切るか、相手が何を嫌がるのか、そういったことをすべて加味して、毎回同じではないし難しいが、いま起こっていることを把握しながら、未来を描いた結果だった。

戦況を読み間違わないようにコーチ陣とも意見交換して決めた。当たることも当たらないこともあるが、ここのところそれが当たり始めている。ただ、それは選手が一生懸命練習してくれていればこその結果で、なおかつすべてがかみ合ってのこと。チームの中のとてもいい循環だと思っている。

-西澤選手を久々に先発で起用
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
西澤健太に限らず、その前はタンキが、その前は矢島が決めて、誰にいつチャンスが来ても、出番が来てもいいように準備しているからこそ。だから自信を持ってピッチに送り出している。

手を抜いていては、あのようなゴールは決して訪れない。選手の準備と日常の過ごし方、どんな振る舞いや行動をしているか、そういったもののあらわれと思っている。その意味で、エスパルスはレベルが高い。だから誰が出ても結果を出してくれる。

-長崎戦のあと乾選手が「自分と北川がやらなければいけない」と発言していた
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
乾や北川の活躍はうれしいが、所属する選手全員、一人一人が主体性を持ってやれるかどうか、全員その気にならなければいけない。自分の所属するクラブに対して、主体性のあるメンタリティーを、一人一人が主役になるつもりで、みんなで言い合って、勝つための日常を作っていければいい。

-首位に立って横浜FCとの国立決戦を迎える
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
こんなシチュエーションはない。このタイミングで来るかと。去年は国立競技場に忘れ物をしてきた。それを取り戻したい。ホームとなるナショナルスタジアムで、サポーター・ファミリーが背中を押しに大勢来てくれる。彼らに恩返しをしたい。

必ず勝って、どっちがチャンピオンにふさわしいか、それを意識しながらやりたい。裏を取るラインブレイクがフットボールで一番怖い攻撃。ホームの国立で横浜を圧倒して勝ちたい。

北川主将「優勝することが一番」

清水エスパルス・北川航也 主将:
藤枝戦は勝ち切れてよかった。2つのアシストはそれが仕事であり、自分のできること。チームに貢献できてうれしい。清水が静岡県内で最も伝統のあるチーム。Jリーグ創設からの歴史や地域の人が築いた歴史。このクラブで戦ってくれた人々をあわせてエスパルスだと思っている。だから一番でなければならないと思っていて、勝てたことは非常に良かったと思う。

試合に出続けるために結果にどん欲にならなければいけないと思っている。だが、数字を意識することよりも、チームが勝つ、優勝することが一番と思っている。これからもっと重圧のかかる試合が増えてくる。いつも通り、自分のできることをやって勝って行かなければならない。

どの相手とやっても勝ち点3しか積み上げられない。そういったことを考えれば、横浜FC戦は大事な試合だが、こだわり過ぎずに自然体で臨むことが大事。自分はこの試合前、いつもと同じように準備したいと思う。そして勝てばさらに目標に近づける。たくさんの方々が来てくれると思う。その人たちの前で勝てるように準備したい。

(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)

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外岡哲
外岡哲

テレビ静岡 報道部スポーツ業務推進役(清水エスパルス担当)。
1984年テレビ静岡入社。
1987年~1994年(主に社会部や掛川支局駐在)
2000年~2002年(主に県政担当やニュースデスク)
2021年~現在(スポーツ担当)
ドキュメンタリー番組「幻の甲子園」「産廃が街にやってくる」「空白域・東海地震に備えて」などを制作。
清水東高校時代はサッカー部に所属し、高校3年時には全国高校サッカー選手権静岡県大会でベスト11。
J2・熊本の大木武 監督は高校時代の同級生。