27日に開幕したバスケットボールB3リーグ。1季でのB2復帰を目標に掲げているのが、新潟アルビレックスBBだ。トップリーグのB1で戦っていたアルビBB。2季連続で降格し、今季をB3で戦うチームは再建に向けて動き出している。五十嵐圭や川村卓也などの元日本代表が新たに加入し、ヘッドコーチには中地区優勝時のキャプテン・鵜澤潤が就任した。「B2復帰はミッション」と話すチームの今季にかける思いとは。
新潟への思いは人一倍…上越出身・五十嵐圭がチーム復帰
「落ちるところまで落ちた。それを自分自身が選手でありながら立て直すという新しい大きな挑戦にもなると思う」
クラブの再建へ…人一倍、強い思いを持ってチームに復帰したのが、上越市出身の五十嵐圭だ。

2024年で44歳となり、Bリーグ最年長となる五十嵐。4季ぶりに復帰したチームはB1からB3へと戦う場所を大きく変えてしまっていた。
五十嵐は「前回所属していたときは『降格させることは絶対できない』新潟のためにという思いで自分自身はプレーしていた。僕が感じたのは、そういった選手がここ数年少なかったのではないかなと。世代交代で若手の選手が多かったのはもちろんあるが、その中でも、この新潟に対しての思いというのはもっと持ってプレーしてほしかった。そうなれば、また違った結果になったんじゃないかなと感じているので、残念な気持ちが大きかった」と話す。

この間に、パワハラ問題や相次ぐヘッドコーチの退任などでチームは揺れ、成績も低迷していた。
クラブを挙げてチームの立て直しを図る中で、白羽の矢が立った五十嵐。この五十嵐を追うように中地区優勝時のメンバーだった上江田勇樹や、元日本代表の川村卓也もチームに復帰。
そして、ヘッドコーチには中地区優勝時のキャプテンだった鵜澤潤が就任した。

オファーを受けた鵜澤ヘッドコーチは「新潟を離れてからも新潟の成績は気になっていたし、下降していくチームを見て何かできることはないのかなという思いもあったので、このチームでお話をいただいた際には、ぜひやらせてもらいますということで、何のためらいもなく決めた」と明かす。
チーム立て直しへ“勝利”は絶対条件
新潟のために戦えるメンバーを揃えたが、五十嵐は「すべてにおいて難しい。もちろんプレーの部分でもそうだし、コート外でもそうだし、色々携わらせてもらっている中で、なかなか厳しいなというのは、現状、感じているところではある」とチーム再建の難しさを実感していた。
自らスポンサーの元へと足を運び、営業活動も行っているという五十嵐の耳に届くのは、「勝利を求める声」だった。

中地区優勝したシーズンからは5季連続で大きく負け越し、1年でB1復帰を目指した昨季はB2で7勝に留まった。
▽2018ー19年 〈B1〉45勝15敗 中地区優勝
▽2019ー20年 〈B1〉13勝28敗 中地区4位
▽2020ー21年 〈B1〉16勝38敗 東地区9位
▽2021ー22年 〈B1〉 7勝45敗 東地区11位
▽2022ー23年 〈B1〉13勝47敗 中地区8位【B2降格】
▽2023ー24年 〈B2〉 7勝53敗 東地区7位【B3降格】
成績の低迷とともに、平均入場者数も大きく減少。中地区優勝時には過去最多の3266人がアリーナに集まったが、昨季の入場者数は1766人と1500人も減った。

チームを立て直すために「勝利」は絶対条件…平均年齢34歳とベテランの選手が多くいる中、若手選手と外国人選手がいかに融合できるかが、いまのチームの課題だ。
鵜沢ヘッドコーチは「新しい選手に半分近くが入れ替わっていて、すぐにはうまくいかないと思っている。やっぱり時間もあるし、成長するための痛みも出てくると思うので、そういうものを重ねながらチームとして成熟していけば、いまの課題は少しずつ変わっていくのではないかと思う」と話した。
1シーズンでのB2復帰へ…勝負のシーズン始まる
課題は残る中でもアルビBB一筋19年目で、今季キャプテンを務める池田雄一もチーム内の変化を感じている。
「新しく入ってくれたスタッフ・選手がすごく明るい。去年の悔しさを持った選手も中にはいるので、お互い刺激しあいながら成長していけたら」

プレシーズンゲームで同じB3金沢武士団に快勝し、天皇杯では格上B2の富山グラウジーズに敗れたものの、終盤まで競り合う展開を見せた。
五十嵐は天皇杯で敗れた後、「個人的にも久しぶりの試合で、いい部分もあれば反省点もたくさんあるので、自分がこの新潟に来た意味というのをコートの中で示していければ」と話した。

1シーズンでのB2復帰を目標ではなく、ミッションに掲げているアルビBB。もがきながらもチーム立て直しに向けた勝負のシーズンが始まる。
覚悟を持って移籍した五十嵐も決意をにじませる。
「スローガンの覚悟・再生・復権を掲げる中で、選手たちがこのクラブに集まってきてくれていると思うので、チームメイトたちと一枚岩になって戦っていきたい」
(NST新潟総合テレビ)