全国でバスの減便が進み、横浜市バスでも2024年に3回目の減便が予定されている。
“2024年問題”をめぐる運転手不足が原因で、横浜市営バスは、全体で200便以上が減少する予定だ。
一方、神戸市バスでは、経営の状況を表す数字が書かれたラッピングバスが登場した。

橫浜市営バスが“265便”も減る

通勤や通学、買い物など、私たちの日常生活を支えてくれているバスが各地で減便、つまり本数が減る動きが止まらないという。
大都市も例外ではない「バスの減便問題」を解説する。

10月からさらにバスを減便する横浜市営バス
10月からさらにバスを減便する横浜市営バス
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神奈川・横浜市内の街で、バスの利用について尋ねたところ、利用客からは「毎日乗りますよ、出かけたりするときに。週に4~5回ですね」、「毎日使うものだから、その時間に合わせて動かないといけないからバスを使う」との声が聞かれた。

しかし、橫浜市営バスは10月からバスを減便する予定だ。
しかも減便は4月に2回行われていて、2024年に入ってから今回で実に3回目となる。
減便前の3月末と比べると、全体で265便も減ることになる。

改正前後の時刻表
改正前後の時刻表

中でも一番減るのは、青葉台駅から若葉台中央を運行する系統だ。
どのくらい減るのか、時刻表で見比べてみた。

青葉台駅から若葉台中央までの、現在の時刻表と10月からの時刻表を見ると、お昼の時間帯から1時間に1便ほど減っている。
現在の85便から75便になるうえに、若葉台中央から出発する同じ系統の便も15便減るため、1系統で25便も減ることになる。

終点にある総戸数5300戸の橫浜若葉台団地の住民は、ずいぶん厳しくなると思われる。

利用客からは、「減便するとやっぱり不便ですよね」、「私だけのことを考えると便数を倍に増やしてほしいが、実際はかなりの赤字を生んでいく。われわれの負担をもう少し増やしてもいい」といった声が上がった。

バスを運行する横浜市交通局に、減便の原因を聞いたところ、横浜市交通局人事課は「運転手不足が一番の原因です。現在、運転手が必要人員より109人不足しています」と回答があった。
運転手の働ける時間が短くなった、いわゆる“2024年問題”が、運転手不足を引き起こしたという。

400人以上の応募があった横浜市交通局
400人以上の応募があった横浜市交通局

しかし、橫浜市交通局も手をこまねいていたわけではなかった。
運転手を確保するため、5月に「人材確保大作戦」と銘打ち、給与の底上げや住宅手当の増額など待遇改善策を実施したのだ。

その結果、2023年と同じ時期の5倍となる400人以上の応募があり、109人が採用される予定になっている。
しかし、研修などで実際に運転手として働けるのは、早くて2025年1月以降になるという。

バスの厳しい現状“ラッピング”で表す

バスをめぐる問題は、兵庫・神戸市でも起きていた。

複数の数字がラッピングされたバス
複数の数字がラッピングされたバス

9月20日から運行を開始したバスには、バスの周りに「2300」や「11254」といった数字がラッピングされていた。

神戸市交通局・奥島紳司さんによると、『2300』は、市バス1台の車両の価格で、『11254』は、神戸市バスは赤字経営だが、あと1日あたり1万1254人の方に利用してもらえば、黒字になるだろうという数字だという。

ほかにも「80万」はバスが廃車になるまでの走行距離で、「117」は100円の収入を得るためにかかる金額だという。

市営バスの抱える厳しい現状を表したこのラッピング。
このようなことをした理由について、神戸市交通局・奥島紳司さんは「お客さまがコロナから少しまだ戻っていない。軽油の価格などが、どんどん高くなっている。バスの車両価格もどんどん資材費が高くなっている。そういう現状も合わせて知っていただけたらなと思います」と訴えた。

運転手確保に、厳しい財政事情など、バスをめぐる懸命の対策が続いている。
(「イット!」 9月24日放送より)

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イット!
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