記録的な大雨となった石川・能登地方では、23の河川で氾濫が相次ぎ、中学3年生の女子生徒を含む4人の行方が分かっていない。なぜここまで被害が拡大したのか。

23の河川が氾濫…地震の影響は

石川県では、輪島市、珠洲市、能登町、七尾市、志賀町の河川が氾濫した。最初に氾濫したのは輪島市の塚田川で、21日の午前9時半に河川が氾濫し住宅が流された。氾濫した河川は23にのぼる。

氾濫した23の河川
氾濫した23の河川
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その原因について、川の氾濫などに詳しい中央大学の山田正名誉教授は「川幅の広くない中小の河川に、川として機能する上限を超える大雨が降った」ことだと指摘している。

また、「中小の河川は急激に増水しやすい。被害を受けた地域はまわりに山が多く、山の付近で大雨が降った場合、1時間以内に川に流れ込むが、その量がキャパオーバーとなってしまったのではないか」とみている。

河川が氾濫した場所は地震で大きな被害を受けたエリアだが、地震の影響はあったのか。

山田名誉教授は「地震の影響による地盤沈下で、川の堤防が下がってしまっていた可能性がある。そのように弱った場所に洪水が追い打ちをかけたのではないか」と見ている。

避難指示はもっと早く出せなかったのか?

23の河川の中でも特に被害が大きかったのが、輪島市の塚田川だ。

塚田川の上空からの写真
塚田川の上空からの写真

輪島市久手川町では、塚田川の氾濫で住宅4棟が流され、中学3年生の喜三翼音さん(14)ら4人が行方不明となっている。翼音さんの自宅があったエリアは林に囲まれていて、塚田川沿いに住宅が並び、かなり川のそばに住宅が建てられていた。

山田名誉教授によると「上流から流れた木などが橋に詰まるなどして川が溢れ、ものすごい勢いの濁流が家に直撃した可能性がある」という。

被害のあった輪島市久手川町
被害のあった輪島市久手川町

久手川町には21日午前7時22分に避難指示が出され、その後、午前9時30分に塚田川が氾濫し、午前10時頃に翼音さんと音信不通になったという。

輪島市では、午前8時から午前11時の3時間で220mmの雨を観測した。能登地方は24時間で150mmの雨が予想されていたが、それをはるかに超える雨が降ったことになる。

自治体の避難情報の出し方について、山田名誉教授は「線状降水帯とゲリラ豪雨は予想が難しく、少しずれただけで、小雨になったり土砂降りになったりする。毎回のように『緊急安全確保』を出して被害がないことが続くと、いざという時に信用されなくなる恐れもあるのではないか」と話す。

土砂の撤去作業が行われる現場
土砂の撤去作業が行われる現場

青井キャスター:
改めて、川が氾濫した際の避難の難しさを感じますね。

SPキャスター岩田明子さん:
垂直避難は徹底されていたと思いますが、間に合わなかったわけですよね。たとえ空振りしたとしても、線状降水帯が予想しうるとなった時に、自治体はあらゆる対応をすべきかと思います。

青井キャスター:
皆さんも、事前の備えをしていただきたいと思います。
(「イット!」 9月23日放送より)

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