知床沖で観光船が沈没した事故で逮捕された運航会社の社長が、「船長の判断で戻ると思った」などと容疑を否認していることが分かった。

ただし、謝罪の気持ちを一度だけ書いた手紙が存在する。

「船長の判断で戻ると思った」容疑を否認

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「午前11時半前。桂田容疑者を乗せた車が釧路地検に向かう」(田中うた乃記者)

2022年4月、知床沖で観光船KAZU1が沈没した事故で、業務上過失致死などの疑いで逮捕・送検された桂田精一容疑者(61)。

事故当日、荒天が予想される中、運航管理者として安全を確保する義務を怠り、船を沈没させ、26人を死亡させた疑いがもたれている。

「海が荒れるようであれば引き返す、条件付き運航を豊田船長と打ち合わせ、出航を決定した」(桂田精一容疑者 2022年4月)

事故から4日後の会見でこう発言していた桂田容疑者。

捜査関係者によると、桂田容疑者は逮捕後の取り調べでも「海が荒れたら船長判断で引き返す『条件付き運航』と確認していた。悪天候になれば戻ると思っていた」と容疑を否認しているという。

公に姿を見せず 一度だけ被害者弁護団に直筆の手紙送付

会見後、公の場に姿を見せていなかった桂田容疑者だが、一度だけ、被害者弁護団に直筆の手紙を送っていた。これは事故から1年2か月後に書かれた手紙だ。

<家族の皆さまへ誠心誠意、ご対応しながら事故運行会社の責任者として、調査に全力を尽くして参ります>(手紙より引用)

2枚にわたる手紙の最後は謝罪の言葉で締めくくられていた。

<どんなにお詫びを申し上げても、許されることではなく、より悲しみ増す方がいらっしゃることは重々承知しておりますが、私からのお詫びの気持ちを伝えさせていただきます>(手紙より引用)

しかし、家族に対する直接の謝罪は一度も行っていなかった。

釧路地検は9月20日午前、桂田容疑者の勾留請求を裁判所に行い、許可された。

北海道文化放送
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