8月は多くの大学の部活動が新潟県内で合宿を行った。東京六大学の一つ東京大学運動会応援部が、新潟県五泉市で行った合宿の一日に密着!そこには、厳しい練習を乗り越え、絆を深める部員たちの姿があった。

総勢100人超!五泉市で“東大応援部”が合宿

会場に響き渡る魂の応援。会場となった五泉市にエールを送っていたのは、東京大学運動会応援部だ!

東京大学 運動会応援部
東京大学 運動会応援部
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声出しを行うリーダーと、演奏で応援を盛り上げる吹奏楽団。そして、華麗な舞で観客を魅了するチアリーダーズの3つで構成される東大の運動会応援部。

普段は別々に練習を行うが、総勢100人を超えるメンバーが五泉市に集結し、この夏、合宿に挑んだ。

合宿2日目にして、のどが枯れるほど大きな声を響かせていたのは、応援部の主役・リーダーだ。

ただ、大きな声を出せばいいわけではない。長尾翼主将は「個人個人で声が出ても、まとまりがなくてはダメなので、合わせる意識を持ってほしいと考えている」と話す。

応援部の「リーダー」
応援部の「リーダー」

仲間と共に勝利を目指す選手たちにスタンドから声援を送る応援部もまた、仲間との連携・絆を大切にしている。

この日の練習中、長尾主将から「練習とかつらいときに自分のことしか考えられていない。自分のことしか考えられていないから、自分のタイミングだけ声を出せばいいやとか、そういう人が1人いるとマイナスでしかない。リーダーなんだから意味を考えろ」と部員に厳しい檄が飛ぶ。

長尾翼 主将
長尾翼 主将

他人を思いやることができて初めて選手に届く声…この日の午前中は全員で声を出し、拍手のタイミングを合わせる応援の基本を繰り返し体に叩き込んでいた。

“スポーツツーリズム”応援団誘致で街に活気を

しかし、なぜ東大の応援部が五泉市で合宿を行ったのか、長尾主将は「東京の場合、応援部は騒音扱いされ苦情がくる」とその理由について明かした。

東京では練習に苦情も…
東京では練習に苦情も…

さらに、100人を超える部員がまとまって練習をする場所の確保が難しい現実も…そこに手を差し伸べたのが五泉市だった。

田邊正幸市長は「五泉市としては、スポーツツーリズムと題して東京六大学の応援部の夏合宿を誘致している。応援団を誘致することで交流人口も増え、市民の元気も出る」と話す。

五泉市が応援団を誘致
五泉市が応援団を誘致

練習施設の提供や宿泊費の補助・練習場所への送迎など様々な支援を行う五泉市。

これに部員からは「朝早くから夜遅くまで練習させていただけるのは、大変ありがたく感じている」「大学で練習するとなると練習場所の確保が大変なので、まとまった時間、練習場所を貸し出していただいて、冷房も効いていて、充実した環境だと思っている」など感謝の言葉が並んだ。

合宿で“進化”目指す応援部 厳しい練習に涙も…

お昼の時間になると、パートごとに分かれ、練習していた部員たちが体育館に集合。全員でお弁当を食べるのも東京では見られない光景だ!

部員全員でお昼ご飯
部員全員でお昼ご飯

長尾主将は「100人を超えた応援部が一致団結して、その機会は東京だとバラバラで活動しているのでないが、寝食を共にするこの1週間を経て、一つにまとまって、より一層進化した応援部として東京に帰れたらなと思う」と意気込む。

さらにこの日の午後は、リーダーや吹奏楽団もチアリーダーズの練習に参加!部員同士の絆を高めていた。

リーダー・吹奏楽団がチアリーダーズの練習に参加
リーダー・吹奏楽団がチアリーダーズの練習に参加

しかし、リーダーの練習はここからが本番!待っていたのは10kmのランニングと応援練習だ。

颯爽と走る主将を懸命に追いかける部員たち。もちろん声を止めることはない。

10kmのランニング
10kmのランニング

河川敷でゴールを迎えたかと思いきや、すぐさま始まる応援練習。

厳しい練習に涙を流す1年生の姿も…それでも先輩に支えられ、最後まで諦めることはない。

厳しい練習に涙も
厳しい練習に涙も

声出しのあとは再びランニングを行い、ようやくこの日の練習が終わった。

絆深め成長した部員たち…市民へ成果発表

厳しい合宿を乗り越え、8月31日に開かれたのが成果発表会だ!

長尾主将は「五泉市の皆様への感謝を伝えるべく、部員一同、精一杯パフォーマンスさせていただくので最後までご覧いただければと思います。よろしくお願いします」と市民の前で挨拶。

五泉市民へ合宿の成果発表
五泉市民へ合宿の成果発表

約370人が詰めかけた会場で、まずは吹奏楽団とチアリーダーズがこの夏の成長の証を披露!そして、リーダー応援では見事に揃ったリーダーの動きと気迫が観客を引きつける。

そこにあったのは、苦しいだけの表情ではなく、頑張る人の背中を声で後押ししていく凛々しい表情の部員の姿だった。

厳しくとも、仲間と支えあいながら駆け抜けた夏…

リーダーの1年生・井上まりさんは「1人だったら絶対に乗り越えられないような内容だったが、同期や先輩が励ましてくれて、みんなで鼓舞しあって最後までやりきることができたと思う」と晴れやかな表情で話した。

1年生・井上まりさん
1年生・井上まりさん

合宿中、部員に厳しい檄も飛ばしていた長尾主将は「今までであれば、自分が良ければいいという自分よがりの考えを持っていた部員も多かったが、同期全員で乗り越えるという考え方に変わってくれたのは、応援部員として、いち人間として、大きな成長ではないかと思う」と話した。

長尾翼 主将
長尾翼 主将

絆を深め、成長した部員たちが頑張る人たちにエールを送り続けていく。

(NST新潟総合テレビ)

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NST新潟総合テレビ
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