兵庫県・斎藤元彦知事は、不信任決議案可決を受けて取材に応じた。

【動画で見る】早くも「ポスト斎藤」探しの動き 斎藤知事の不信任案可決

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斎藤知事の主な発言をまとめると、次のようなものがあった。

・県民、全ての皆さまに心から申し訳ないと思っている
・県政を前に進める気持ちに変わりはない
・自分自身の思い、県民にとって何が大事か問いながら考える
・まだ可決したばかり。しっかり考えて決断しお伝えする

■「ショックですね。全会一致で、重たい決議の後に…」と泉房穂氏

斎藤知事の発言について、前明石市長の泉房穂氏は「ショックです」と受け止めを話した。

前明石市長 泉房穂氏:ショックですね。全会一致で、これほど重たい決議の後の囲み取材で、言葉では『心から』と言っているけど、心からだと受け止める人は少ないんじゃないかと私は思いました。これまでの経過の中で、これから考えるテーマでもなく、やっぱり自分は全く悪くないという、一種自分が被害者であるかのような受け止めの方かなという印象です。残念です。

前明石市長 泉房穂氏:あとやはり『自分、自分』ですよね。自分自身ばっかり。政治家ですから、この状況に至った以上、県民にこれ以上迷惑をかけない、県民にこれ以上の税金の負担をかけない。やっぱり県民のことを考えてやっていただきたいと私は切に願います。

菊地幸夫弁護士:コメントの中に出ていましたけれど、『法律的にも内容的にもきちっとやってきたと思っている』と。ただ『結果責任は負う』と。じゃあ結果責任って、何をやるんだと。これだけ事態が進んできても、やはりご自身の物の見方、やってきたことに対する評価は変わっていないんだなというふうに思いました。

どういう形で責任を取ろうとしているのだろうか?

関西テレビ 神崎博報道デスク:実際には不信任が決まることは、だいぶ前から分かっていたにもかかわらず、『今決まったばっかりなのでしっかり考えて決断する』ということを繰り返していた。恐らくですけれども、10日間猶予があるので、解散するのか解散せずに失職するのか、時間をかけて判断されるんじゃないかと思います。

■「議会解散」「辞職」「失職」3つの選択肢

大きく分けると今後の斎藤知事の選択肢は「議会解散」「辞職」「失職」の3つがある。

解散の場合、10日以内に県議会を解散し、新しい議会で不信任案が再び可決されれば自動的に失職となる。

辞職か失職の判断をすれば、50日以内に知事選が行われる流れになる。

前明石市長 泉房穂氏:全会一致で不信任が可決になっているわけです。解散をするというのであれば、斉藤知事が過半数44名以上の県議会議員を擁立して、ひっくり返すというのであれば筋は通りますけれど、そうでないのであれば単なる知事の延命のために(県議会の選挙費用で)16億円を使うことになるので、それはやめていただきたいと切に願います。

■進退明言しない知事 先週後半から強い続投の意向 「解散」の可能性高いか

不信任決議案が可決された時の斎藤知事の様子について、現場で取材した関西テレビ・鈴村記者が兵庫県議会議場前から報告する。

鈴村菜央記者:斉藤知事は不信任決議の賛成意見を聞いている時も表情を変えることはありませんでした。可決した後も表情の変化がない中で、議長や職員などに深々とお辞儀をして回る姿も見られました。これまで斎藤知事は一貫して不信任決議案可決後の対応については、『法律に基づいて考えていく』と話していて、今日の可決後の囲み取材でも、自身の進退については『とても重い状況を示された。しっかり考えることが大事』だと述べましたが、実際にどのように選択をするのかは明言しませんでした。

明言はなかったということだが、知事は何を考えているのか、取材の中で分かっていることはあるのか?

鈴村菜央記者:自ら辞職をする、もしくは10日以内に議会を解散させる、もしくは失職というシナリオがあります。これまで取材をしていても、知事は『県政を前に進めることが自分の責任を果たすことだ』と話していて、特に先週の後半からは自身の実績を並べて、続投の意向を強く示すようになりました。

鈴村菜央記者:そう考えると解散という選択肢を取る可能性も高いのではないかとみられています。仮に解散という選択肢の場合、知事が議会を解散できるのは早くてもあす、9月20日以降になります。解散とともに自分自身も辞職するというシナリオも考えられます。その場合、県議会選挙または、県議会と知事の同日選挙の投開票は10月27日が最も濃厚とみられています。また失職の場合は11月10日にも知事選が行われる可能性があります。兵庫県議会が非常に重い決断を下しました。知事がどう決断するのか注目されます。

■知事と県議会のダブル選 さらに国政も同時にトリプル選の可能性も

「辞職と解散」というシナリオも想定されるということだ。

関西テレビ 神崎博報道デスク:「辞職と解散」であれば、県議会と知事のダブル選挙で、しかも日程的に10月27日や11月10日という話が出ていますが、実はこのあたりに衆議院の解散総選挙があるんじゃないかという話も出ています。もしかするとトリプル選挙という可能性も浮上してきました。トリプル選になれば国政選挙と一緒にやるので費用的に県の負担はだいぶ圧縮されると思いますが、県の税金が使われることには変わりないです。

ダブル選、トリプル選になった時には、会場や人員の懸念もある。

前明石市長 泉房穂氏:ただいずれにしても知事選はされると思いますので、問われてくるのは有権者だと思います。合わせて斎藤知事を擁立したのは維新であり、自民党ですから、その方々が次どういう対応をなさるのか。そういう意味では県民も問われるし、各政党関係者も問われてくる状況に入ったと思います。

知事の発言は、「出直し選挙」をイメージしているのだろうか?

前明石市長 泉房穂氏:印象として、『タイミング』という言葉を使っていますから、国政の状況に合わせながらタイミングを計って、選挙にご自身も出られる可能性が高まっていると私は思っています。

前明石市長 泉房穂氏:何度も言いますけど、選ぶのは県民ですから、県民がどういう方をトップに選ぶかで、県民に影響が及ぶ。今回のことを受けて、県民一人一人がどういう判断を出していくのか、究極の選択になってくると思いますね。

有権者がどういう投票行動をするのか、どう考えていくのかが問われている。

菊地幸夫弁護士:重要なところだと思います。あと10日間の中で、知事がどういう動きを示すのか。例えば選挙を想定して誰か後ろ盾の人を頼るような行動を取るのか。あるいは例えば事務所や選挙カーを用意するとか、知事がそういう動きを示し始めるのかどうかですね。この10日間の知事の行動が注目だと思います。

■早くも県議会議員の関心は『ポスト斎藤探し』

県議の中には動きを見せている部分もあるということだ。再び鈴村記者が、今後注目されることについて報告する。

鈴村菜央記者:知事の今後が注目される中、早くも県議会議員の関心は『ポスト斎藤探し』にあります。各会派は斎藤知事の代わりとなる独自の候補を立てられないか、県議会議員や首長経験者などに声をかけるなど、候補者探しに必死です。知事選、県議選、そして衆院選と選挙が重なる状況に手が回らないという悲鳴もある中、不信任決議案が可決されたら一気に各党で動きが活発化するとみられます。

鈴村菜央記者:先ほど県議会最大会派の自民党の幹事長も囲み取材に応じ、『現時点ではまだ候補者は決まっていないのだけれども、新しい次の候補を見つけて県政を正常化して行くことが一番だ。もし議会が解散したとしても再度不信任決議案を可決したい』と話しました。

■「水面下で動きが始まっているが、お願いしたいのは県民にとってふさわしい人を」

注目の「ポスト斎藤探し」はどうなるのだろうか。

前明石市長 泉房穂氏:もうすでに水面下では動きが始まっています。いわゆる国会議員の方や、県会議員の方も相当動かれていますけど、お願いしたいのは県民にとってふさわしい人をしっかりと擁立していただきたいということを切に願いたいと思います。

X(旧ツイッター)では、知事候補を公募することを検討中だと泉氏が語っていたことについては、次のように話した。

前明石市長 泉房穂氏:私は政党ではありません。一個人です。ただ県民ですし、明石市長を12年間やってきたことも含めて、県民にとって望ましい方が県知事になるようなことに対して自分も全力で関わっていきたいという気持ちはあります。

-Q.泉氏が考える良い方とは?

前明石市長 泉房穂氏:県民のことを考えて、人事権や予算権という権限を、兵庫県を良くするために使っていただく方であって、いわゆる自分の欲しいものをゲットするとか、自分に刃向かう者に仕打ちをするかのような権限の使い方は違うと思います。ある意味オーソドックスな、ある意味権限をちゃんと使える方になって欲しいと思います。

不信任決議が可決されたが、県政の停滞はさらに続くことになるのだろうか。

関西テレビ 神崎博報道デスク:そういう状況を見たうえでも、斎藤知事は県政を前に進めたいとか、今までやってきたことは法的に問題なかったということなので、おそらく知事選になれば斎藤さんはもう一度出たい意向があると思うんです。候補者探しという話がありましたが、誰だったら斎藤さんに勝てるのかというのがポイントになってくると思います。本当に短い期間で、対抗できる候補者を立てるというのは、なかなか難しいと思います。

前明石市長 泉房穂氏:そうでもないですよ。出たい人は意外とたくさんおられて、調整もすでに始まっていますので、複数の斎藤知事以外の方が立候補なさると私は思っています。やっぱり“選択権の保障”。ちゃんと県民が選べる状況は必要だと思います。

菊地幸夫弁護士:斎藤氏がもう一回選挙に出て当選するかというと、それはかなり厳しい状況だと思います、だから次の方は、現状を踏まえた上で、新しい県政を作り上げていただきたいです。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年9月19日放送)

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