自分のイチオシを応援する活動「推し活」。いま、多くの企業がさまざまな形で「推し活」をサポートし、新たなビジネスとして広がりをみせている。最新事情を取材した。

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福岡市の観光名所として人気の福岡タワー。博多湾や福岡の街が一望できるとあり展望台は、連日大勢の観光客らで賑わっている。実はこの場所、知る人ぞ知る「推し活」スポットとしても人気だという。

福岡タワーは人気の「推し活」スポット

アイドルの写真や団扇を手に写真撮影に余念がない2人組の女性。地上約120メートルの展望エリアには「推し活」にピッタリの場所があるという。ぬいぐるみなどのグッズと一緒に撮影できる「推し活」専用の「ミニハートアーチ」のほか、カラフルなジュースなど、イチオシの色が選べるクリームソーダが人気とのことだ。

「景色とともに色んな楽しみ方があると思うのでそれぞれの「推し活」を楽しんでもらえれば」と語る福岡タワーの中村武功さん。タワーの新たな魅力として「推し活」を応援している。

市場規模8000億円!日本人の4人に1人が…

いまや日本人の4人に1人が「推し活」に関わっているとされている。ビデオリサーチの調査によると、若年層のZ世代で6割以上、中高年世代でも3割近くとなっていて、その市場規模は8000億円を超えると試算されているというのだ。

「推し活」といっても人それぞれ。「特撮が好きです」と話してくれた女性は、東京の特撮レストランに行ったり、ヒーローショー行ったり活動しているという。

また、別の女性は「痛バ。缶バッジとかいっぱい詰めたバッグなんですけど、それを持ってライブ行っていました」と、自分の「推し」を熱く語ってくれた。

オタク専用のスポーツジムも登場!

自分の人生を楽しく豊かにしてくれる「推し活」。こうした人々のニーズに多くの企業が注目している。福岡市にあるジムを取材班が訪ねてみると、そこはアニメの登場人物がいっぱいの“オタク”専用のパーソナルジムだった。

代表のSAKUさんは、ライブに行ったりグッズを購入するために長時間並んだりといった「オタ活・推し活をするためには、体力や筋力が必要不可欠なので、それを支えるためにこのようなジムが欲しいと思った」と、ジム設立の理由を語る。

ジムではさまざまな「推し活メニュー」なるものが用意されていて、トレーニング内容は実にユニーク。細部までこだわりが詰まっている。人気の「♪イケボトレーニング」では、いまをときめく人気男性声優が、このジムのために撮り下ろした声を聞きながら体を鍛えることができる。「ラスト10秒耐えるんだ!」「君は本当に頑張り屋さんだね」「はっ、甘えてないで私に従いなさい」などと、大好きな声優の声に叱咤激励されると、もうダメだと思いつつも最後の力が湧いてくるというから不思議だ。またグッズも持ち込み自由で「推し」と一緒にトレーニングに励む人も多いとのこと。

代表のSAKUさんは「老後まで『推し活』を楽しんで欲しいので、オタクの健康寿命を伸ばしていきたいなと思っています」と「推し活」サポートに寄せる思いを語ってくれた。

仏壇会社が「推し壇」開発

とどまるところを知らない「推し活」の波。なんと仏壇などを扱う会社にも登場した。仏壇専門店の「はせがわ」では、「推し活」支援の新商品、その名も「推し壇」を開発。アクリルスタンドや、ぬいぐるみ、ブロマイドなどを自由に置いて、崇める祭壇だ。大好きな「推し」のコンサートやイベントのチケット当選を願って祈りを捧げるなど使い方は自由とのこと。

実はこの「推し壇」、社内コンペで入社2年目の社員、郡司茉奈さんが提案した。郡司さんは「自分にとって心の平和と生きる力はなんだろうと考えたときに、やはり『推し』だなと思い『推し』に対して祈る場を提供したいと考え開発した」という。

国産のヒノキを使用するなど素材にもこだわり、本物の神棚と同じ技法で作られ、20色のLEDライトで「推し」を光らせることができる。値段は9900円で、SNSでは大きな反響が寄せられているとのことだ。

市場規模は1兆円超える見込み

ある調査では「推し活」に使うひと月あたりの金額が3万円以上という人は、24歳以下で3割以上、25歳以上になると4割を超えるという。市場規模も今後拡大すると予想され2030年には1兆円を超える見込みだ。市場拡大の理由として調査会社は、日本のアニメや音楽がさらに海外で人気となりインバウンドの消費が増加するためなどと分析している。

(テレビ西日本)

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