19日にも、不信任決議が行われる見通しとなっている、兵庫県の斎藤元彦知事。17日に記者団に語ったのは、“孤独”という言葉でした。

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斎藤元彦知事:
この間、県政が今の状況になっているということです。改めまして県民の皆さま、全ての皆さんにこういった状況を招いていると、結果的にこうなっていると申し訳ないと思っております。
その上で、19日に議会が開会しますけども、議会の対応を踏まえて、自分自身の対応も含めてですね。不信任案提出された場合には、法律に基づく決議ですから、提出されたり、その後なされた場合には、それに沿って自分としてどのように対応していくかということを、しっかり考えていきたいと思います。

――出直し選挙をされるつもりは?
どのように自分が対応していくかっていうかっていうことは、これから19日、不信任決議案がもし提出されて、どのようにされるか、まだこれからですけども、しっかりどのようにしていくかということは、自分自身が、法律もそうですけど規定に基づいて、まずは今考えていくということだと思いますね。

――どういう対応をするかについて、相談する相手はいますか?
あの、自分のやはり知事としての…決断になりますから。知事というのはまぁ…やはりあの…判断にはやはり“孤独な面”もずっとありますんで。
特に自分の、これから不信任決議案が提出・可決された場合の対応については、やはり自分のことですから、やはり自分でしっかり考えて…政治家としての対応をどのようにするかっていうのを、決断していくということになります。

――県議会から辞職要求もありましたが
いろんな意見を片山副知事含めて、出していただいたということはありますけど、自分としては、そういった思いはないです。
人間ですから、日々のこういった状況の中で、やっぱり不安な思いであったりとか、苦しい状況はありましたけど、やはり私としては、これまで述べさせていただいている通り、これまでの県政の歩みをやはりしっかり、これからも進めたいという思いでいます。

「補助金キックバック疑惑」独自アンケート実施

17日の会見でも、改めて「続投」の意思を示した斎藤知事。
そんな中、県議会で“パワハラ”と並ぶ問題として指摘されたのは、プロ野球・阪神とオリックスの優勝記念パレードを巡っての「補助金キックバック疑惑」です。

17日兵庫県議会産業労働常任委員会にて
17日兵庫県議会産業労働常任委員会にて

小西ひろのり県議:
元県民局長の告発文書には、パレードの寄付金の集まりが芳しくなかった。信用金庫など金融機関向けの県補助金を増額して、それを寄付として金融機関からいわゆる“キックバック”させたというような内容が記載されています。

告発文書には、優勝パレードの資金を巡り、兵庫県が県内の信用金庫など金融機関への補助金を増額する見返りとして、協賛金を寄付させたという疑惑が記されていました。

疑惑を追及してきた兵庫県の丸尾牧県議も「補助金の増額が決まった後に、寄付を申し入れたところが多数だった」と指摘。
当初は1億円で組まれていた補助金予算が、パレード直前に約4億円に増額され、増額後には、金融機関からの寄付が50万円から2000万円と大幅に増えたといいます。

兵庫県 丸尾牧 県議:
補助金をダシにしてというか、補助金を使って寄付金を集めてきた可能性があるんではないかと。補助金が3億ほど増額されたわけですけども、寄付金を集めるための補助金増額だと、これ背任の可能性が出てきますよね。刑事事件にも発展する可能性があるかもしれません。

この“補助金キックバック疑惑”を巡り、金融機関との交渉役として名前が挙がったのが、片山安孝前副知事です。

片山氏は金融機関に寄付を頼んだことは認めた上で、辞職会見では「キックバックするように言及したことはない」と発言し、百条委員会では「具体の金額を頼んだ覚えはありません」と回答しています。
17日に県議会に出席した産業労働部長も「お願いをしているという話は聞いているが、詳しい中身は聞いていない」と答えました。

また、斎藤知事は11日に開かれた記者会見で、この疑惑について「金融機関への補助事業とパレードの寄付は、時期は近接していますが、それぞれ別の対応でやってきたと思います」と話しています。

そこで、「めざまし8」は、優勝パレードのために寄付金を出したという兵庫県内の13の金融機関に独自にアンケートを実施。「なぜ寄付金を出すことになったのか?」など経緯について質問しました。

17日までに、13社のうち7社の金融機関から回答(※)があり、「自主的に寄付をした」と回答したのは1社のみ、他6社は「県などからの依頼で寄付を決めた」と回答しました。
(※4社が回答拒否、残り2社は回答なし)

中にはこんな回答も…。

「ある信用金庫を通じて、兵庫県からの強い要請を知ることとなりましたが、協賛(寄付)については当金庫で判断し決定しました」

片山前副知事からではなく、“ある信用金庫”を通じて、県からの寄付金要請を知ったといいます。
また、片山氏から直接要請があったという信用金庫は以下のように回答しました。

「片山副知事が本店に来られ、パレードの資金が不足している旨の話があり、あらためて協賛の依頼がありました。補助金の話などはありません」

他にも、一度は見送ったものの他の信用金庫から協力要請があり、最終的に寄付を決めたというところもありました。いずれも補助金との関係性は否定しています。

石原都政で副知事を務めた、明治大学名誉教授の青山 佾氏は、金融機関の返答も含めて“疑惑”の問題点をこう話します。

――いずれの金融機関も補助金との関連性は否定しますが
青山 佾氏:

肯定してしまうと寄付をした信用金庫側にも問題が出てきますので、否定せざるを得ないと思います。むしろ肯定したとしたら大変なことになってしまう。
その先について言うと、だからこそ法律に違反するかどうか、刑事罰に至るかどうかということを置いておいても、“県政のモラル”の問題としては、寄付を募る場合に補助金の増額が片方で進行している状態の時に、今、補助金の増額を検討しているんだから補助金の交付先に対して寄付を個別に要請するのはまずいだろうと、そういうコンプライアンス意識とかモラル、価値観が働かなかったどうかという点は、犯罪かどうかとは別に問題になると思います。
(「めざまし8」9月18日放送より)