走りを改善してくれるシューズが登場

マイシューズがマイコーチに。スポーツメーカー大手のアシックスが先日、予約販売を始めた、スマートシューズ「EVORIDE  ORPHE」(エボライド  オルフェ 税抜3万1500円)。

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一見すると普通のランニングシューズだが、ひとたび走り始めると…

スマートシューズの音声:
ここまでのランはフォア着地が92%、ミッド着地が8%…

最大の特徴は、足の動きを正確に捉える高性能センサー。

これをシューズの中敷きの下に装着すると、ランナーが走っている際に、足のどの部分が接地しているかや着地の衝撃、さらに歩幅や足の傾きなどを瞬時に計測する。

しかもスマートフォンの画面や音声で、リアルタイムにアドバイスが受けられるのだ。

果たしてその実力は?ランニングが趣味の番組スタッフが、履いて走ってみた。

スマートシューズの音声:
ランの記録を開始しました。

スタッフ:
走っている感じでは、全くセンサーが入ってるという感じはしません。普通のランニングシューズと変わらないですね。

そして、走り始めてしばらくすると…

スマートシューズの音声:
1分経過しました。ここまでのランはフォア着地が83%、ミッド着地が17%。ストライドの平均は91cm、ピッチの平均は1分あたり184.2歩です。

センサーで計測したデータを音声でランナーに直接フィードバックしてくれた。さらに修正すべきポイントを解析し、「歩幅をもっと広く!」など、今すぐに改善が必要なところをアドバイスしてくれる。

また、こうして得られたデータにアシックスが長年蓄積してきた知識やノウハウを組み合わせ、ランナーの特徴を“見える化”してくれる。

withコロナ社会での役割に期待

実はこのスマートシューズ、withコロナ社会で大きな役割を期待されている。

アシックスが世界12カ国で行った調査によると、定期的に運動をしている人のうち、75%が新型コロナウイルスの影響で「改めて運動の大切さを感じた」と回答。73%がコロナの収束後も「同じように走り続けたい」と答えているという。

アシックス スポーツ工学研究所 猪股貴志氏:
昨今のコロナの影響を受けて、1人でランニングをせざるを得ない状況が増えてくるのではないかなと思っています。これまでは仲間とアドバイスをしあっていた時にこういったシューズがあると、仲間がいなくてもシューズがコーチになって支えてくれる。

1人で走っていても1人じゃない。ランニングの楽しみ方がさらに広がりそうだ。

スマートデバイスも人に寄り添った機能進化へ

三田友梨佳キャスター:
まさにパーソナルトレーナーのような喋るシューズですが、どうご覧になりますか。

IoT・AIの専門メディア IoTNEWS代表 小泉耕二氏:
クッションや素材の改良を繰り返している靴メーカーからすれば、センサーや電池を靴の中に入れるというのは、その性能を落としてしまう可能性もあるんじゃないかと思います。何よりも激しい運動では衝撃も強くて、精密機械との相性は必ずしも良いとは思いません。そうした技術的な課題もクリアしてるんじゃないかなと思いました。

三田友梨佳キャスター:
時計やイヤホンですとか、体に身に着けるデバイスが随分と普及してきた印象がありますが、今後はどのような形で進化していくのでしょうか。

IoT・AIの専門メディア IoTNEWS代表 小泉耕二氏:
実はウェアラブルデバイスに関するマーケットというのが、去年くらいから本格的な立ち上がりを見せています。例えば、アップルウォッチなんかは一定時間経過すると「立ち上がりましょう」とか「深呼吸しましょう」とか、そんな声をかけてくれます。

こういった、人の身体の状態をセンシングして可視化するという単純な発想だけに留まらずに、今回のようにアドバイスしてくれて、何らかのきっかけを与えてくれるような機能が重要だと思います。こうした機能の進化こそが、これからもっと必要になってくるんじゃないかと思いました。

三田友梨佳キャスター:
人に寄り添う進化ということですね。特にスポーツにおいて基本となるフォームは、自分では見ることが難しいですし、一方でフォームの乱れからケガにつながってしまうこともありますから、そうした課題をテクノロジーで解決してくれるというのは、魅力的だなと思いました。

最近は趣味でランニングを楽しむ方も増えて、それに合わせてランナーの悩みも多様化している中で、1人1人に価値を提供していく動きが今後も広がっていくのかもしれません。

(「Live News α」8月19日放送分)