高齢ドライバーの「操作ミス」による事故が増加している。事故が起こるたび、運転免許を自主返納すべきか思い悩む高齢者も多いだろう。自動運転の普及が期待されているが、まずは今すぐできる対策を専門家に聞いた。
ペダル踏み間違え、ギア入れ間違え
9月4日、広島・福山市のクリニックで軽自動車が待合室に突っ込み、4人がケガをした。警察の調べでは高齢ドライバーの「操作ミス」が原因とみられている。運転をしていた80代の男性は、警察の調べに対し「駐車しようとしたところギアを入れ間違えた」と話したという。

こうした、高齢者の「操作ミス」による事故は広島県内で毎年のように起こっている。2021年には竹原市のショッピングセンターの駐車場で軽ワゴン車を運転していた80代男性が歩行者2人をはねた。

また、2022年にも福山市のサービスエリアで、普通乗用車を運転していた80代男性が歩行者2人をはねる事故があった。この2つの事故は“アクセルとブレーキの踏み間違え”が原因とみられている。
プロも「かかと」をつけてペダル操作
高齢者の操作ミスはなぜ起きてしまうのか。

交通事故などを研究する福山大学の関根康史准教授は、高齢者によるペダルの踏み間違えは加齢にともなう歩行能力の低下が一つの原因だと指摘。その対策として「プロのドライバーがやっているように、かかとをフロアにつけてペダル操作をすることが大切になる」と話す。
また、ギアの入れ間違いを防ぐためには、年齢に関係なく、ある習慣づけが重要に。関根准教授は「特にバックするときには、ギアが『R』に入っていることを確認してからバックに入る。そういう習慣をつけると事故を起こしにくくなると思います」と呼びかける。
足の位置は「ブレーキペダルの前」
後を絶たない車の操作ミスによる事故。少しでもミスを減らすためには「足を置く位置」がポイントになるようだ。

教習所では通常、ブレーキは一度足を上げて踏むように教えている。しかし高齢者の場合、足の筋力が低下しているため、一度足を上げる踏み方だと踏み間違いの恐れがある。関根准教授によると、運転するときは“ブレーキペダルの前”に足を置き、かかとをつけた状態で踏むことが大切だという。

足を置く位置は、人間の体の仕組みにも関連している。かかとを固定して足を内側に動かすよりも、外側へ動かすほうが動かしやすい。実際にやってみると、確かに外側のほうがよく回る。
ブレーキペダルの前に足を置き、かかとをつけたまま外側に動かしてアクセルを踏む。自動車の性能を確かめるテストドライバーもこの方法をとっているそうだ。
高齢ドライバーにかかわらず、「かかとの位置を意識する」「ギアが正しく入っていることを確認してから発進する」の2つを習慣づけることで操作ミスを防ぎ、安全な運転を心がけたい。
(テレビ新広島)