7月の大雨で、米どころの山形・庄内地方には大きな被害があった。復旧復興にみんなが汗を流す中、酒田市の23歳の農家がSNSで発信する動画がが話題となっている。動画に込めた思いを取材した。
23歳の農家が投稿した動画が話題
大雨当日の7月25日に撮影され、SNSに投稿された動画。その再生回数は520万回を超えている。(取材当時)
この記事の画像(14枚)「本日、自分が住んでいる山形県酒田市で記録的な大雨が発生しました。稲は浸水し、家は停電しました。避難指示も出て、道路は崩壊していました…」
投稿したのは、酒田市の農業・本多郁也(ふみや)さん(23)だ。3年前の2021年に就農し、9月10日も祖父母と一緒に酒田市米島の田んぼではえぬきの刈り取りを進めていた。
本多さんが所有している約35ヘクタールの田んぼの約1割で、流木や土砂が入り込むなどの被害があった。
田んぼに入りながら本多さんは、「ここに入ってしまうと、巻き込んでしまってコンバインが壊れるので、やっぱりどうしても入れない。でもこの辺は稲が生きているので、手で刈ればこのコメは助けられる」と説明してくれた。
一見、収穫期を迎えた普通の田んぼに見えるが、近づくと今も残る流木を確認できる。残った木などを引っ掛けてしまうため、この田んぼに機械は入れない。
「一人でも多くの人に…」SNSで発信
本多さんが住む八幡地域は、7月の大雨で特に大きな被害があった。幸い、自宅は水に浸からなかったが、被災した同級生もいた。
生まれ育った地域が過去に例がない被害に見舞われる中、何か自分も力になりたいと動画の発信を始めたという本多さん。「全国的には報道されていない。自分がSNSで発信することで、少しでも自分が力になれないかなと思って動画を投稿した」と話す。
本多さんはこれまで、大雨に関する動画を8本投稿した。総再生回数は1000万回以上で、SNSには連日、被災地を応援したいとたくさんのコメントが届く。
本多さんは「最初は“こういう被害だ”と少しでも多くの人に伝えたいという気持ちで発信したが、気が付いたらすごい反響があって。こんなに反響があるなら自分がどんどん発信して、一人でも多くの人に伝えられるように頑張りたいと思ってやっている」と思いを語った。
普通のボランティアではできない部分を…
そして、本多さんは全国から届くコメントに背中を押され、新しい一歩を踏み出した。
「何かできませんか」「何かしたいです」という言葉が心に残り、何と返せばいいのか、何が正解なのかずっと引っかかっていたという。
さらに本多さんは、自分の強みである農業の分野で力になれればと、地域の人たちと一緒に9月、ボランティア団体を立ち上げた。
本多さんは「土砂・流木があって稲が刈れないという所を、普通のボランティアではできないらしいので、自分たちのボランティアでできない部分をやっていきたい」と話す。
本多さんたちは、機械が入れない田んぼの稲刈りを手で行おうと動いている。そして、復旧復興に必要な多くの助けを得るため、全国に“八幡の今”を発信し続けたいと話している。
本多さんが立ち上げた団体ではボランティアを募集している。詳しくは「本多農園」のインスタグラムを見てほしい。
(さくらんぼテレビ)