スーパーなどで起きた“令和の米騒動”の最中、物議を醸しているお米がある。

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それは、岩手・滝沢市のふるさと納税の返礼品“武田家のお米”だ。

生産者の武田さんが市の動画に登場し、スイカのかぶりものを被って、ふるさと納税を売り込んでいるが…実はこの人、滝沢市の武田哲市長。

返礼品の“武田家のお米”は市長の家族が作ったものだった。

“武田家のお米”は、水田にアイガモのひなを放って雑草や害虫を食べさせるアイガモ農法で、農薬や化学肥料を使わずに栽培している。

記者リポート:
こちらのふるさと納税のサイトでは、“武田家のお米“は人気ランキングの3位と5位を占めています。

コメ不足もあって寄付金額1万4000円のお米は大人気に。

“武田家のお米”が返礼品になったのは9年前の2015年から。
当時はまだ就任前だった武田市長は、地元で代々続くコメ農家。

2022年に市長に就任後も、市は市長の家族が作るコメを返礼品として採用し続けた。

岩手・滝沢市 武田哲市長(2022年11月):
なじまない感じはありますが、市民の様々な声を聞きながら、一つ一つ積み上げていきたい。

滝沢市の2023年度のふるさと納税の寄付額、約9000万円のうち、市長の家族に支払われたのは300万円程という。

市のふるさと納税に関して、市長の家族が金を受け取っていることに、市民はこう話す。

滝沢市民(70代):
これはやるべきではない。公平な立場ではない。市長としての立場が出ている…。市長という立場を使ったと言われればそうなる。

滝沢市民(60代):
許せない。滝沢市はいっぱい米農家がある。武田家のお米だけはやらない方がいい。

滝沢市民(70代):
市長になった時点で深く考えた方がよかった。そのまま(米の返礼品を)続けないで…。他の米農家だって、もしかしたら「うちのお米の方がおいしい」という人もいると思う。一旦、(返礼品を)止めてもいいのでは。

ふるさと納税を所管する総務省はイット!の取材に対し、「首長が関係する商品が返礼品になるケースは聞いたことがないが、法律上問題はない」と話したが、今後については「状況を注視したい」としている。

また滝沢市は、「制度上問題ないものであると捉えている」とした上で、「市が発注する公共事業などとは制度が異なる」との見解を示している。

一方、専門家は倫理的に問題があると指摘する。

弘前大学・蒔田純准教授:
滝沢市のケースは、公共事業と同じように求められる高い倫理観が欠如していたと言わざるを得ないのかなと考えます。
(「イット!」 9月10日放送より)