大阪府枚方市の弁当店が、グーグルマップへの虚偽口コミをきっかけに、現在臨時休業を余儀なくされている。便利なサービスの影に潜む、飲食店を悩ませる課題とは。

【動画】虚偽口コミで臨時休業「ゴキブリの赤ちゃんが出てきた」とウソ投稿 投稿は事実でないことが明らかに

飲食店などの施設について、口コミを書き込むことができる、グーグルマップ。

いまや、多くの人が店選びの参考にしているそうで…。

街の人は:リアルな声が多い印象があります。星1(低評価)とかがちゃんと載っていたりするので結構信頼度が高いかな。お料理の良し悪しも一応参考にしますね。(投稿の)お写真と文面で決め手となると思います。

■弁当店の口コミに「ゴキブリの赤ちゃんが出てきた」とウソの投稿

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そんな中、先月末、大阪府枚方市の弁当店には、店の経営を揺るがす、ある書き込みが…。

「テイクアウトして家で食べようとふたを開いたらゴキブリの赤ちゃんが出てきました」

事実であれば、店の信頼を大きく損なう問題。

社長は、当初、口コミの内容を疑うことはなかったという。

弁当店の社長:何てことをしてしまったんだっていう気持ちがまず第一にあってですね。

 社長は、謝罪の文面を送り、「詳細を知りたい」と連絡したが、返信はなし。

異物は本当に混入したのか?一体どうやって?何もわからない中では営業を続けられないと、臨時休業を決めた。

■投稿者に連絡を取ると投稿は事実でないことが明らかに

すると、今月1日、投稿者からメールが。

弁当店の社長:(来店した)日付も6月から7月、分からないっていう形で。掛け紙の色は何色でしたかね?と聞いても、分からないということだったんですよ。

 さらに、ゴキブリについても、「ふたから出てきた」という話が、「テーブルにいた」という話に変化していて、結局、投稿は事実ではないことが明らかに。 口コミは削除された。

社長は「これで解決としたい」と法的措置は取らない方針だが、店への影響ははかりしれない。

弁当店の社長:この3、4日だけでも、もう何もできない(状態)。(投稿者は)全く関係ない人。(投稿したのは)なぜなのか、とかも分からないです。

■グーグルマップを巡るトラブルは病院でも

実は、こうしたトラブルは他にも。

ことし4月には、全国の医師らおよそ60人が、グーグルマップに悪質な投稿をされ対応を強いられたなどとして、グーグルに対して損害賠償を求める集団訴訟を起こした。

原告:勝手に閉業にされてしまったり、これは明確な営業妨害であって表現の自由という次元の話ではありません。

 専門家は、サービスの「気軽さ」は魅力としつつ、深い理由もなく悪質な行為に及ぶ人も出てきているのでは、と指摘する。

大阪大学サイバーメディアセンター 猪俣敦夫教授:気楽に情報をインプットできる愉快犯的に目的をもってやっているかというと必ずしもそうでもないと感じている。

 トラブルのもとにもなっている「口コミ」。

■「ウソの投稿」は店にとって大きなリスク

一方で、飲食店にとっては、もはや無視することのできない存在。

おにぎりごりちゃん 谷川泉代表:来ていただくきっかけにもなるので大切ですね。

こちらのおにぎり店では、口コミの評価を重要視し、閉店後、毎日投稿をチェック。

ネガティブな意見のものには、返信もしているということだ。

人気を維持するためにも欠かせない、口コミ対策。 それだけに、「ウソの投稿」は店にとって大きなリスクです。

(Q:虚偽の書き込みされたら・想像するとおそろしいのですが)

おにぎりごりちゃん 谷川泉代表:「全世界の人が見られるので、口コミ一つで影響はすごい変わると思うので、恐ろしいですね」

専門家は、ウソの口コミを投稿されたとしても、対策は簡単ではないと話します。

大阪大学サイバーメディアセンター 猪俣敦夫教授:開示請求を出して書き込んでいる人がだれなのかグーグル側にだしてもらうこれが普通の人にできるかというとなかなか難しい。

 多くの人に利用される口コミサービス。 便利な一方で、被害をうまないための対策も必要なようだ。

■明らかな違法行為はグーグル側が対応措置を取るべき

番組独自のLINEアンケート実施して、店選びなどでグーグルマップを参考にしたことはありますか?と質問した。

「ある」と答えた方は、75パーセント。

・星1とかのお店はやっぱり避けます。(50代)

・病院選びは口コミでの判断が大きい。(40代)

・変に口コミを見ると、正確な店の評価ができなくなるから気にしない。(60代)

様々な声が聞かれた。

共同通信社編集委員 太田昌克さん:表現の自由と、営業妨害は全く違いますからね。自由には責任を伴うということを、私たち使う側、書き込む側もしっかり認識した上で、明らかに違法行為があれば、プラットフォーマーのグーグル側が対応措置を取るべきだと思います。

 太田光代さんは芸能事務所の社長。口コミを書かれる側の立場としては?

太田光代さん:(口コミを書いた)その方のご意見とするならば 尊重したいんですけども、全然意見でもなく、本当に嫌いだからっていう個人の好みみたいなところで書かれていると、自分のタレントのことを書かれていると、すごく気持ちに落ち込みが出てしまうので、心を病む原因にもなります。

口コミを書く側の倫理観が問われるということは言うまでもない。

(関西テレビ「newsランナー」2024年9月9日放送)

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