2024年の元日に発生した能登半島地震から9月1日で8カ月となった。現地では自衛隊の災害派遣が終了し、国の支援という部分で大きな節目を迎えた。その被災地に“1億円”の寄付を決めた企業が仙台市内にある。

人気YouTubeチャンネルで話題

仙台市泉区にある「りらいぶ」。機能性ウエアを開発・販売する会社で、自社商品の「リライブシャツ」は登録者数120万人を超える人気YouTubeチャンネルで話題となった。りらいぶの佐々木貴史代表(63)は今回、企業版ふるさと納税を活用して、能登半島地震で被災した自治体に、総額1億円分のリライブシャツを寄付することを決めた。すでに石川県内灘町や能登町などに寄付しているという。佐々木代表は今回の寄付の目的について「行政のやり方は公平にしっかり行う。私たちはピンポイントにお手伝いできる。行政とは違う役の立ち方がある」と話す。

社員と打ち合わせをする佐々木貴史代表(右)
社員と打ち合わせをする佐々木貴史代表(右)
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立ち上がろうとする被災地のため

339人が死亡し、3人が行方不明となっている能登半島地震。(石川県、新潟県・9月3日時点)被災地では多くの建物が被害を受けた。石川県によると、解体が見込まれる建物は3万2000棟あまりで、解体完了の時期は1年以上先の2025年10月を目標としている。復旧作業はまだまだ道半ば…。今回、「りらいぶ」が寄付することを決めたリライブシャツは血行の促進に効果があるとされていて、佐々木代表は復旧・復興作業が本格化するこれからの被災地にこそ必要だと考えたという。「りらいぶ」が支援を決めた背景には、佐々木代表が13年前に感じた“ある思い”があるからだ。

被災者支援の疲弊 “息の長い支援”を

2011年3月11日に発生した東日本大震災。佐々木代表は当時、言葉にはできない不安や疲労が日に日に蓄積されていったと振り返る。それと同時に、被災地で支援活動をしてくれる人に対して「負担が大きく、大変な思いをしている」とも感じたという。こうした実体験をもとに、今回の“1億円分のリライブシャツ寄付”が実現した。

被災地で「支援」をしてくれる人を「支援」する。それこそが息の長い支援につながる。佐々木代表は取材に対し「少しでもリライブシャツで体が楽になってくれたらうれしい」と語った。その目からは能登半島地震の被災地と長く付き合っていく覚悟を感じた。

ずっと考えていた13年前の恩返し

東日本大震災で被災した企業のトップとして、能登半島地震の被災地に心を寄せる佐々木代表。
「東日本大震災は本当に大変な震災だったが、日本中の方が集まってくれて復興に大きな力をくれた。感謝の気持ちが私の中でずっとあった。能登半島地震も本当に大きな震災。13年前の恩返しという意味はとても強い」

りらいぶ 佐々木貴史代表(63)
りらいぶ 佐々木貴史代表(63)

一人でも多くの人に知ってほしい、リライブシャツがつなぐ支援の輪。それこそが佐々木代表が描く13年越しの恩返しだ。

仙台放送
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