2024年夏は記録的な猛暑
2024年の夏は記録的な暑さとなったが、9月に入り、朝晩はしのぎやすい日も出てきた。いつの間にか日が沈むのが早くなり、季節は進んでいるのだと意識させられる。

ただ、これまでの厳しい暑さの影響で、今になって夏バテに悩む人が増えているかもしれない。さらに、日々の気温差が大きくなると、体調不良を訴える人も少なくないだろう。
2024年夏(6月~8月)は、1898年の統計開始以降、最も高い平均気温を記録(9月2日気象庁発表)。特に7月は、勢力の強い太平洋高気圧が日本列島を広く覆ったことなども要因だ。さらに地球温暖化による気温の上昇傾向なども影響している。
秋口に陥りやすい「夏バテ」に注意
蒸し暑さが長期間続くと、体に負担がかかり、夏バテの原因となる。夏バテとは、暑さにより体が疲弊し、食欲不振や倦怠感などの、体に感じる不調のことだ。気温や湿度が高い状態が続くと、体がなかなか適応できず、疲れが溜まり、不調が長引くこともある。
また、エアコンの効いた室内と外の温度差が大きいと、体温調節がうまくいかず、体調を崩す原因となることもある。

夏バテ対策には栄養のある食事も大切だが、9月は食中毒も多い時期である。特に夏バテで免疫力が落ちているときは、より注意が必要だ。食材は十分に加熱し、冷蔵庫に保管するなどの対策を徹底しよう。
残暑続く 9月中ごろにかけて特に厳しく
気象庁の1か月予報(9月5日発表)によると、9月は暖かい空気に覆われやすいため、全国的に気温が高くなる予想。特に9月の中ごろにかけて、気温がかなり高くなる所が多い見通しだ。

このため、残暑が長引くことで、夏バテから回復する間もなく、体の疲れが蓄積され、秋バテとなる心配がある。
気温差による「秋バテ」にも気をつけよう
9月は、日中はまだ暑いものの、朝晩は涼しくなってくる時期だ。1日の気温差が大きくなると体に負担がかかり、夏の暑さに慣れた体が、急激に変化する秋の気候に適応しきれず、疲れやすく秋バテになる。
秋バテの主な症状は、疲労感、睡眠障害、消化不良や食欲不振、頭痛などが挙げられる。また、気温差だけではなく、秋雨や台風などによる天気や気圧の変化によっても、自律神経が乱れてしまうことがあるので気をつけよう。
水分補給を忘れずに!
夏バテや秋バテを防ぐためには、まず水分補給が重要だ。特に9月はまだ暑い日があり、汗をかきやすいため、体内の水分が不足しやすくなる。

また、水分だけでなく、塩分も適度に補給しよう。9月に入ると、熱中症の危険が呼びかけられた夏よりも水分補給を忘れがちになるが、秋になってもこまめに水分を摂るのがおすすめだ。冷え対策として、常温や温かい飲み物も良さそうである。
バランスの良い食事を心がけよう
水分補給だけではなく、バランスの良い食事を心がけることも大切だ。ビタミンやミネラルが豊富な野菜や果物を積極的に摂ることで、体の免疫力を高め、疲労回復を促すことができるそうだ。

また、冷たい食べ物や飲み物ばかり摂ると胃腸の働きが低下し、秋バテの原因になることがあるので、温かい食事を取り入れることも効果的だ。
室温に気をつけよう
9月の日中はまだ暑く、エアコンを使用することもあるだろう。冷房が利いた室内と外の温度差が体に負担となり、体調を崩すことがある。冷房の設定温度を適切に調整し、体が冷えすぎないように注意しよう。部屋に温度計を置いてチェックするのもおすすめだ。また、上着やカーディガン、ひざ掛けなどを用意しておくと冷え対策になる。
睡眠をしっかりと!
しっかりと睡眠をとることも大切だ。9月になると次第に熱帯夜が減り、朝晩は涼しくなってくるが、部屋の温度が高いときはエアコンや扇風機を使用して快適な室温を保つようにしよう。睡眠不足が続くと体の回復力が低下し、夏バテや秋バテを引き起こす要因となる。

心地良い睡眠のためには、寝る3時間くらい前までに食事を済ませ、お風呂は就寝の2〜3時間前に入り、体を温めよう。入浴はシャワーで済まさずに湯船に浸かるというのも快眠に効果的である。
軽めの運動を取り入れてみよう
適度な運動は自律神経を整え、体力を維持するために有効である。朝や夕方の涼しい時間帯に、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を取り入れると良さそうだ。運動によって血行が良くなり、疲労回復が促進される。

暑さによるストレスも、夏バテや秋バテの原因の1つだ。リラックスする時間を持ち、趣味を楽しむことでストレスを減らし、心身のバランスを保つ工夫をしていきたい。
【執筆:日本気象協会】