“歩く肺炎”とも呼ばれるマイコプラズマ肺炎が、いま福岡県内で子どもたちを中心に流行している。新学期がスタートしたが、どういった対策が必要なのか?
悪化すると入院が必要なケースも
8月に入り、マイコプラズマ肺炎患者が急増しているという福岡市の「せき小児科アレルギー科クリニック」。来院患者に話を聞くと「お盆前にマイコプラズマ肺炎の陽性が出て、その後、少し咳が残っていたので…」と不安を口にする。
この記事の画像(4枚)発熱や倦怠感の後に執拗(しつよう)な咳を伴うマイコプラズマ肺炎。患者の約8割は14歳以下の子どもが占めるといわれているが、2024年は成人の感染も多く報告されている。
マイコプラズマ肺炎は、症状が軽い人が外を出歩き、知らずに人に感染させてしまうことが多く“歩く肺炎”とも呼ばれていて、中には肺炎が悪化して入院が必要になるケースもあるという。
せき小児科アレルギー科クリニックの関真人院長は「入院した方が6月以降3人。8月は陽性者が21人。自分の実感として、医者を何十年もやっていて、これだけマイコプラズマの感染の方を経験することはない。すごい流行している」と驚きを隠せない様子だ。
なぜ大流行?その理由は?
8月第2週の1週間に福岡県内で報告されたマイコプラズマ肺炎の感染者数は13人。2023年の同じ時期には、ほとんど感染者はいなかったが、2024年は6月頃から急増し、すでに152人の感染が報告されている。なぜ、マイコプラズマ肺炎が流行しているのか?
関院長によると、コロナ禍で多くの人が、手洗いやうがいなど感染予防対策を徹底していたのが、いま薄れているのが原因ではないかと話す。インフルエンザの感染症の増加もその一環だとみているのだ。
一方で、コロナ禍を経てクリニックにも変化がみられる。PCR検査の機器が導入されたことで、これまで正確に判定することが難しかったマイコプラズマに関して迅速な診断が可能となった。関院長は「一般的にマイコプラズマは、マクロライド系という抗生剤を使わないと効かない。耐性株というのもかなり増えてきてまして、PCR検査で早めに変異株がわかると、それに対しての抗生剤を使えるので、非常にPCR検査が有用」と話す。
濃厚接触や飛沫が主な感染経路
福岡県内のほとんどの学校で、8月26日に新学期がスタートした。関院長は「新学期を機に患者が増えていく可能性もある。乾いたような咳やひどい咳が長引く方は、早めに医療機関を受診して周りに広げないように気をつけられた方がいい」と、よりいっそうの警戒が必要だと指摘する。
過去10年で最多のペースだという“歩く肺炎”、マイコプラズマ肺炎。コロナ禍と同じように、マスクの着用や手洗いを心がけなければならないようだ。
(テレビ西日本)