ボタンを見ると、「絶対に押すな」と書かれていても、ついつい手を伸ばしてしまう。そんな“本能”が満たされそうな施設が7月にオープンし、話題になっている。

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施設の名前は、ズバリ「OSEBA」。

「ボタンを押せば 何かはじまる」をキーワードに、オーダーメイドでエレベーターのボタンを製造する専門メーカー「株式会社島田電機製作所」が東京・八王子市の自社工場内にオープンした。

島田電機製作所
島田電機製作所

「OSEBA」で楽しめるのは、「まなぶ」「あそぶ」の2つをテーマにしたブース。

「まなぶ」ゾーンでは、島田電機が手がけたエレベーターの歴史を紹介する「島田100年ヒストリー」や、製品に関するクイズが○×ボタンで楽しめる「モノづくりクイズ」などのコーナーがある。

「あそぶ」のコーナーにあるのは、333個のボタンを制限時間内でいくつ押せるかにチャレンジする「333ハートビート早押しチャレンジ」や、エレベーターのボタンをモチーフにしたアイテムなどが入手できる「クレーンゲーム・ガチャ」のコーナー。

他にもオリジナルボタンのアイデアを書き込める「あったらイイなこんなボタン」のコーナーがある。

どこを見てもボタン、ボタン、ボタン!の「OSEBA」だが、島田電機はかつて工場見学後に体験できる1048個のボタンが“押し放題”のコーナー「1000のボタン」が大人気となり、“バズった”会社だ。

(関連記事:“1000のボタン”が押し放題! 子ども大喜びの工場見学が壮観…人気は「絶対に押すな」ボタン

その人気を受け、「押す」ことをテーマにした遊び空間としてさらにパワーアップしたのが、この「OSEBA」だ。

「マニアから一般の方々まで楽しめる」施設

人気を博した「1000のボタン」も「あそぶ」のブース内にある。

実際に使われているエレベーターのボタンや、マスコットキャラ「ボタンちゃん」をモチーフにした押すと音の鳴るボタン、社員が考えたというオリジナルのボタンなど、様々な「1000のボタン」は一度見たら押さずにはいられない魅力がある。

そんな気になる「OSEBA」、一体どんな思いで作られた施設なのだろうか。島田電機製作所の担当者にその狙いや、楽しみ方を聞いた。


――改めて「OSEBA」とはどんな施設なの?

OSEBAは、エレベーター用意匠器具の専門メーカー「島田電機製作所」の工場内に設けられた、世界初の「押す」をテーマにした遊びと学びの空間です。エレベーターボタンが好きな方はもちろん、誰もが目の前にボタンがあるとつい押してしまう衝動に駆られるもの。子どもから大人まで、マニアから一般の方々まで、シンプルに楽しんでいただける施設を目指しています。


――工場見学から「OSEBA」を作った経緯は?

“当選確率1%”の工場見学をもっと多くの人に楽しんでもらい、「​島田電機製作所」という中小企業の存在を広めるために、そして、島田電機の製品が日常の中で当たり前に使われる世の中を目指して、このプロジェクトをスタートしました。

「楽しさ」を真剣に追求するという我々のスタンスを多くの方に感じてもらえる施設として、約2年の歳月をかけて完成いたしました。

――「OSEBA」が完成するまで「日本一予約の取れない工場見学」の状態は続いていた?

はい、おかげさまで、引き続き予約が取りにくい状態は続いており、(現在のOSEBAも)多くのお申し込みをいただいております。

大人には「普段押せない系」のボタンが人気?

――「1000のボタン」は以前と同じもの?

以前ご覧いただいていたものを、2階から3階に移動させたものです。OSEBAの開業に際していくつかのボタンの中身を入れ替えたため、完全に同じではありませんが、多くのボタンはそのまま移設されています。

「1000のボタン」は現在も合計で「1048個」となっており、今後もボタンの数に変更はありませんが、随時中身のアップデートを行う予定です。「みんなで作るOSEBA」コーナーで募集している「あったらイイなこんなボタン」が導入されることもあります。

 
 

――「あったらイイなこんなボタン」に寄せられた、「これは!」というアイデアは?

面白いアイデアとしては「赤ちゃんの背中スイッチOFFボタン」「休み延長ボタン」「押した回数分の階に行けるボタン」、さらには「押すと健康状態がわかるボタン」などがあります。


――来場者に人気のボタンは、どんなものがある?

大人には「お客様の年収では押せませんボタン」「ちゅるちゅるボタン」、普段押せない「非常ベル系のボタン」が人気です。
子どもには「うんちボタン」「おみくじボタン」、そして押した感覚が楽しい大型のボタンなどが特に人気です。

つい押したくなるこんなボタンも
つい押したくなるこんなボタンも

――「こんなところに注目すると“コア”な楽しみ方ができる」というポイントは?

「333ハートビート早押しチャレンジ」では、30秒間で何個のボタンを押せるかに挑戦できますが、「111個」や「222個」などの数字を狙って楽しむのも一つの方法です。また、社員が考案した「ハートビートな瞬間」が333個書かれたボタンにも注目してみてください。

「クラフトマンウォール」の展示コーナーには「クラフトマンクイズ」があり、「ボタンの平滑度クイズ」は、4個のボタンの中から合格品を1つだけ見つける内容です。他の3つの不合格品について、その理由の解説を見る前に考えてみると、より“島田人”的な楽しみ方ができます。


――今後の展望は?

今後は、人を大切にする経営のロールモデルを目指しつつ、昇降機業界を盛り上げるための「ラボ空間」や「発信基地」として、さらなるファン作りに努めてまいります。

また、当社のリリースしている楽曲『ボタンを押せば』に込めたメッセージ「ボタンを押せば何かが始まる、ボタンを押せば何かが変わる」というキーワードのもと「ボタンで社会をポジティブにしたい」という想いを広めていきたいと考えています。

ちなみに向かう道中や施設内には多くのフォトスポットも設けられているそう。また「OSEBA」がある3階は社員の実際の職場でもあるため、実際の業務風景やその雰囲気を感じられる作りになっているという。

入場料は、大人(中学生以上)が1000円、小人(中学生未満)が500円。予約はネットから申し込める。

今後は大人向け・企業向けとなる「組織づくり見学コース」や、子どもから大人まで幅広い年齢層が楽しめる「モノづくり見学コース」の開設も予定されているとのことで、まだまだ目が離せなさそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。