子どもの頃、エレベーターのボタンを全階押してみたいと思った人もいるのではないだろうか。

そんな夢を実現できる展示がTwitterに投稿され、話題となっている。

工場見学後の「1000のボタン」の様子、ちびっ子の「押せるボタンは全て押す」という決意が伝わってきてとてもいいです

このコメントと共にTwitterに投稿されたのは、様々な文字や形のボタンが壁一面に並び、実際にボタンを押すことができるという展示の画像。

ボタンは一度押すと光り、もう一度押すと消える仕様になっており、下のボタンばかりが光っているのは小さな子どもが、手が届く範囲で一生懸命にボタンを押したということだろうか。

1000のボタンを好きなだけ押せる 下の方のボタンが多く光っている
1000のボタンを好きなだけ押せる 下の方のボタンが多く光っている
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この投稿をしたのは、1933年創業のオーダーメイドでエレベーターのボタンを製造する専門メーカー「株式会社島田電機製作所」のTwitterアカウント(@shimax_hachioji)だ。

“1000のボタン”ということで、これだけあればどんな子どもも押すことに満足するのではないだろうか。

Twitterでも「こんなんあったら いい大人だが 押したい衝動に駈られてしまう」「身長いっぱい頑張って押した様子が見えるのがまた良いですね」などの声があり、約3万9000件のリツイート約19万7000件のいいねがつくなど、話題となっている。(10月27日現在)

たしかにこれだけ並ぶと壮観で、大人でも押したくなる気持ちは分かる。しかし、そもそもなぜこのような展示をしているのだろうか? また、来場者の反応も気になるところだ。

島田電機製作所の担当者にお話を伺った。

何十万回押しても問題ない耐久性

ーーなぜ作ろうと思った?

エレベーターのボタンが好きな方は意外とたくさんいるようで、特にお子様を持つ保護者の方からお子様がエレベーターのボタンからなかなか離れないことが悩みであるということを聞きました。そこで、弊社の特色を活かしながら、何かインパクトのある展示ができないかと考え、「1000のボタン」を企画しました。


ーー製作で苦労した部分は?

配線作業が一番大変でした。すべて手作業で結線を行ったため、かなりの作業量で多くの時間を費やしました。

ーーどんな工夫をしているの?

特別な工夫はしておりませんが、一般的にエレベーターのボタンは耐久性に特化した仕組みになっておりますので、少なくとも何十万回は押しても問題ありません。


ーーこのボタンは誰でも押すことができるの?

現状、工場見学限定になっております。展示を楽しむには予約が必要ですが、すべての予約枠が埋まってしまっている状態です。

ボタンを押す子ども
ボタンを押す子ども

実際のボタンの数は1048個

ーー画像で上の方が押されていないのは、子どもが届かないからなの?

お子様の手の届く目一杯の範囲ということで、下の方のみ押されています。上の方でも少し押されているのは、お子様が押したい!と言って保護者の方がお子様を抱えて押したものになります。


ーー全部違うボタンなの?

重複するボタンはありますが、可能な限り多様なボタンを利用しています。実際は1048個あります。上海やヨーロッパなどの世界中で使われているデザインのボタンであったり、弊社にてオリジナルで作ったボタンもあります。

社員のアイデアで作ったオリジナルの「楽園ボタン」
社員のアイデアで作ったオリジナルの「楽園ボタン」

ーーおすすめや好きなボタンはある?

おすすめボタンは弊社マスコットキャラクター「ボタンちゃん」のボタンです。16種類あり、1000個ボタンがある中で、押すと音が鳴る唯一のボタンです。

好きなボタンは、実際に中国で使われている六角形の形をした立体的な透明のボタンです。現在はユニバーサルデザインの観点からシンプルなデザインのボタンが好まれている中、光で存在を主張するギラギラした感じが個人的に好きです。押し心地も手ごたえをしっかり感じることができるので最高です。

マスコット「ボタン」ちゃんのボタン
マスコット「ボタン」ちゃんのボタン

ーーボタンは全て自社製なの?

弊社の上海工場にて作ったボタンがほとんどです。実際に使われているものはもちろん、海外で使われているエレベーターボタンや、社員のアイデアで作られたユーモアあふれる変わったボタンもございます。


ーー実際に作ったボタンは何種類くらいになる?

重複している数字やマークがあるため、おそらく800種類かと思います。

「絶対に押すな」ボタンが大人気

ーー人気のボタンを教えて

「絶対に押すな」ボタンです。今のところ、ほぼ確実に喜んで押して頂けます。

 

絶対に押すなボタン
絶対に押すなボタン

ーー利用者の反応は?

1000個という壮大な数のボタンが並んでいる壁を見て、歓声を上げていらっしゃいます。特に、工場見学にいらっしゃるお子様の反応は様々で、目を輝かせ、大はしゃぎをしながら無我夢中で押すお子様もいれば、ひたすら黙々と押すことだけに全集中を注ぎ、ひとつひとつエレベーターボタンを押す喜びをかみしめているお子様もいらっしゃいます。

小さいお子様が、背伸びをしてギリギリの高さのボタンを押している姿が毎回印象的です。お子様の反応は様々ですが、どのお子様もエレベーターボタンを存分に堪能し、楽しんでいる様子が見受けられます。

全てのボタンを押す猛者も

ーー全てのボタンが押されたことはある?

お客様の中には、1000個のボタンを全て点灯させ、またすぐに1000個のボタンを消すという合計約2000回ボタンを押してボタンを存分に楽しむ方もいらっしゃいました。「全部押すぞ!」と意気込んで、汗を流しながら懸命に押しているお子様もいらっしゃいます。押し終わった後は、疲労を感じながらも達成感に満ち溢れた生き生きとした表情を拝見いたします。


ーー工場見学者はどれくらい増えた?

半年間で受け入れる人数は150人程度で定員とさせていただいております。その人数がほぼ一日でいっぱいになってしまい、引き続きご応募が続いている状況です。今回の一件により、感覚的には定員の10倍以上の方からお問い合わせを頂いております。


ーー反響についてどう思う?

まさか弊社のようなスーパーニッチ中小企業が、こんなにもたくさんの方に注目していただき、驚きと共に大変嬉しく思っております。1000のボタンは増やす予定がありませんが、これからも、一般のお客様が楽しめるような企画や取り組みなど、積極的に行っていきたいです。

六角形ボタン
六角形ボタン

なお工場見学は、現段階で2022年の6月30日まで予約できない状況となっている。7月以降の予約受付も未定で、今後については同社のTwitterアカウントで告知していくとのことだ。

残念ながら、すぐにはボタンを押しに行くことはできないが、工場見学の予約開始の続報を楽しみにして待ちたい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。