オフィス家具業界で初めて、関連企業50社以上が集結したショールームがオープンした。ショールームでは、数百点の製品を展示し、オフィスに必要な全てのアイテムが体験可能。専門家は、企業が社員の働く環境を改善し、新たな成長を目指す動きが広がっていると述べている。

オフィス家具業界初の大規模ショールーム

関連企業50社の製品を集めた、オフィス家具の総合ショールームを取材した。

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曲線が特徴的な椅子や、幻想的な照明がついた会議室が展示されるのは、オフィスの構築支援をしている「ソーシャルインテリア」が22日に発表した、法人向けのショールーム「THE MUSEUM」だ。

オフィス家具業界で初めて関連企業50社以上が集結。500点以上の製品を体験することができ、家具以外にも、照明や床材、アートなどオフィスに必要なもの全てが購入できる。

ソーシャルインテリア・町野健 代表取締役CEO:
日本には法人向けのインテリアの商品を、複合的に横断的に体験できる場が、なぜかありませんでした。オフィス作りに携わる方々は、いろんなショールームを見て回らないといけないので、とても不便だった。

3方向を囲われたデスク
3方向を囲われたデスク

このショールームが生まれた背景には、コロナ禍でテレワークが広がったことがある。オフィスで働く意味が問い直され、出社したくなる環境づくりに力を入れる企業も増えているという。

幻想的な照明がついた会議室
幻想的な照明がついた会議室

ソーシャルインテリア・町野健 代表取締役CEO:
どういう商品があるのかという情報が点在していて、一気にそれを解決できる場がないというのが、非常にこれまで大きい問題だったので、逆に我々がそういう場を提供しようと。

ショールームに無償で提供される製品
ショールームに無償で提供される製品

企業はショールームに製品を無償で提供し、製品を置くことで、認知度の向上や新たな顧客の獲得にもつながるという。

インパクトアコースティックジャパン・片居木 亮 代表取締役:
ここにいらっしゃるお客さまやデザイナーの集客も期待しているが、私たち吸音製品を販売しているので、特に音の問題を扱いますから、なかなかサンプルだけでは紹介できないところもあるので、実際に使われている空間の中で見ていただくことが大事。

法人向けのショールーム「THE MUSEUM」
法人向けのショールーム「THE MUSEUM」

ソーシャルインテリア・町野健 代表取締役CEO:
今後、いろんな企業のサービス内容や考え方によってオフィスの形が自由に発展していったり、改革されていくと思う。自社の問題解決や社員の問題解決に役立っていけるような、非常に新しい潮流の場所になるのではないか。

今後は東京に限らず、日本全国の主要都市数カ所に同様のモデルで、出店というのを検討していきたい。

テレワークの普及が生んだオフィス再考

「Live News α」では、大阪公立大学・客員准教授の馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
法人向けのオフィス家具のショールーム、どうご覧になりますか。

大阪公立大学・客員准教授 馬渕磨理子さん:
オフィスの環境づくりに関連する企業を一堂に集めたショールームという、新しい提案を行ったソーシャルインテリアは、銀行からの借入を含めた資金調達額が116億円を超えるなど、成長が見込まれる注目の企業です。

今回の試みは、マーケットの変化、つまりオフィス家具業界で起きている大きな動きに、チャンスを見出しているからこそのものです。

堤キャスター:
そのチャンスとは、どういうことでしょうか。

大阪公立大学・客員准教授 馬渕磨理子さん:
私は年間100社ほどの企業を取材していますが、従業員が心地よく働けるオフィス空間づくりに、力を入れている企業は多いです。

テレワークという働き方が広がったことで、「社員がオフィスに来る意味」を多くの企業が問い直す必要に迫られています。

気持ちよく働けて、企業の成長にもつながるように働く環境づくりが工夫されるようになり、オフィス家具の買い替え需要が生まれました。

堤キャスター:
確かに、仕事をする上で、空間は大事ですよね。

大阪公立大学・客員准教授 馬渕磨理子さん:
オフィスでの、たまたま生まれたコミュニケーションの中から、新しいアイデアが生まれたりすることがありますよね。

いま、それを意図的に生み出すデスクやテーブルの配置、あるいはオープンスペースの工夫が進んでいます。

近年では、オフィス空間に関するイノベーションや、従業員のモチベーションについての研究が進み、それを生かした環境づくりも広がっています。

企業と従業員のつながりが収益性を決定

堤キャスター:
オフィスのあり方を考えることは、そこで働く人のことを思うことでもありますよね。

大阪公立大学・客員准教授 馬渕磨理子さん:
オフィスづくりは、人づくりにもつながります。いま日本は人手不足で、企業は優秀な人材の確保に力をいれています。

そこでは、エンゲージメントと呼ばれる「従業員の企業に対する信頼の度合い」や、「従業員と企業とのつながりの強さ」が求められ、それが企業の収益性を左右する側面があります。

新しいアイデアや、イノベーションが生まれやすい環境づくりは、人的資本を重視する経営にもつながります。

堤キャスター:
良い仕事をする上で、環境はとても大切なものです。それを整えることは決して容易なことではありませんが、効率よく、快適なオフィス空間をつくることは多くの可能性につながっていくのではないでしょうか。
(「Live News α」8月22日放送分より)