体の左右で性別が異なるクワガタを発見

夏のこの時期、山などでカブトムシやクワガタを捕まえた人も多いのではないだろうか?

そのような中、来館者から提供されたという変わった形のクワガタが宮崎県総合博物館に展示され、話題となっている。

それがこちらだ。

提供:宮崎県総合博物館
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左右で非対称となっているのだが、実はこれ、オスとメスの両方の性質を持つ、突然変異したノコギリクワガタだというのだ。同博物館によると、この形が発生する確率は1万分の1以下とも言われ、珍しいという。

確かにあまり見ることのない、体の左右で性別が異なるクワガタ。どのような特徴があるのだろうか?

宮崎県総合博物館・動物部門担当の竹下隼人さんに詳しく話を聞いた。

左がオス、右がメスの”雌雄モザイク”

ーー正式名称はある?

正式名称は「雌雄モザイク」でよいと思います。


ーー普通のクワガタとの違いはある?

一般的なクワガタはオスかメスのどちらかの特徴しか持っていませんが、雌雄モザイククワガタの場合は体にオスとメスの両方の特徴が見られます。


ーー“雌雄モザイク”クワガタの特徴を教えて

当館に展示されている雄雌モザイクのノコギリクワガタは、右半分がメス、左半分がオスとなっています。

よって、左側のみオスのアゴが見られ、触角や足の長さもオス側の方が長くなっています。

提供:宮崎県総合博物館
提供:宮崎県総合博物館

確かに、右と左ではアゴの長さが全く違う。よく見ると足の長さも左右で異なり、綺麗に左右で分かれているようだ。

では、その性質はどうなのだろうか。

左右非対称でも不自由はないよう

ーー一般的なノコギリクワガタの性質は?

オスのクワガタは、長いアゴを持っており、大アゴの内側に鋸のように歯が多く並んでいる。そのアゴで他の個体を攻撃します。

オスは、体格による個体変異が顕著で、大アゴが屈曲している大型のものや、大アゴが直線的な小型のものまで様々です。

メスは、アゴが小さく、広葉樹の地中部や倒木の埋没部やその周辺に卵を産卵し、子孫を増やすことができます。

ノコギリクワガタ(オス)
ノコギリクワガタ(オス)

ーーオスのクワガタは特に戦っているイメージが強い。右側はメスだけど戦うことはある?

戦うところを見たわけではありませんが、ノコギリクワガタは闘争本能を持っているので、戦う可能性はあります。


ーーでは、雌雄モザイクのクワガタも子孫を残せる?

確かめたわけではありませんので、はっきりした事は言えませんが、おそらく子孫は残せないと思います。
生殖器についても、雌雄どちらのものなのか確認していません。


ーー左右が違うけど、行動などは不自由そう?

テーブルを歩かせてみると、案外まっすぐ歩く事ができました。また、エサの昆虫ゼリーも平気ですすっており、今のところ生きづらそうな場面は見られません。

提供:宮崎県総合博物館
提供:宮崎県総合博物館

「感動で身が震えました」

ーーいつ頃、雌雄モザイクだとわかるの?

幼虫の時期、雌雄の外見上の区別がつく頃に分かると思います。今回は、来館者の方からご提供いただいた際にすぐに分かりました。(すでに成虫でした)

提供:宮崎県総合博物館
提供:宮崎県総合博物館

ーー初めて見たときの印象を教えて

雌雄モザイククワガタの標本は過去に見たことがありましたが、生きている姿を見たのは初めてだったので非常に驚きました。

小さい頃、図鑑でしかみたことがない憧れの昆虫を野外で初めて発見したときの感動を思いだし、感動で身が震えました。

以前編集部では、左半分がオスで、右半分がメスのカブトムシを紹介したが、雌雄モザイクの昆虫は他にもいるという。
今回の雌雄モザイクのノコギリクワガタは、博物館の担当者も生きている姿は初めて見たそうだが、現在、宮崎県総合博物館の総合案内で展示されている。
 

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プライムオンライン編集部
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