例年以上に厳しい暑さで記録的な猛暑となっている今年の夏。熊本県内では梅雨明け以降、まとまった雨が降っていない。各地で農作物などに影響が出ていて、生産者からは恵みの雨を待つ声が聞かれている。

記録的な暑さに雨不足の熊本県内

8月14日の熊本市は午前中からすでに気温が35度以上に達し、猛暑日の連続記録を『24』に伸ばした。

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熊本県内全体で見ても『観測史上最高』を更新する地点が相次ぐなど、記録的な暑さとなっている2024年の夏、気がかりなのは『雨不足』だ。

熊本市の場合、7月22日の梅雨明け以降、1ミリ以上の雨を観測したのは、8月13日が初めて。それもわずか1.5ミリで、局地的な降り方の夕立だった。

8月上旬の降水量を比較すると、平年値49.2ミリに対して今年は0ミリ。熊本市以外の地域でもまとまった雨はほとんど降っていない。

道の駅では棚に空き 主力のスイカもゼロ

こうした天候による影響がさまざまな現場で出始めている。熊本市内で唯一の道の駅、『すいかの里 植木』では、ブドウやナシなどいろいろあるが、陳列棚を見てみると空いているスペースが目立つ。猛暑と雨が少ないことで品薄状態だ。

主力商品の「スイカ」は例年であれば、この時期もお盆のお供え物需要で店頭に並ぶというが、2024年はゼロ。野菜や果物の生産現場は苦しい状況だ。

ブドウ生産者の麻生隆弘さんは「潅水施設があるところは梅雨明けからずっと定期的に潅水しているが、それがないところは木がアップアップで枯れる一歩手前くらい。うちの方(植木地区)は夕立も来ていないのでもう本当に…(雨を)待ってます」と話す。

道の駅すいかの里植木の塩平英司駅長は「暑さでやられている。品不足、例年に比べたら80%くらいしか(店頭に)出ていない」と話す。

安さと新鮮さが自慢の道の駅だが、県内各地の生産者の元を訪ねて商品を集め、この苦境を乗り切ろうと工夫していて、塩平駅長は「県内各地、商品があるところに集荷に伺って農家さんから商品を分けてもらって、なるべく店内を埋められるように努力している」と話す。

ナシは実が太らず焼けて黒く変色も

一方、熊本県内有数のナシの産地の八代郡氷川町では、ナシ農家の古閑イズミさんが「もうちょっと雨が、夕立ちが降ってくれたら。きのうは降った?もう久しぶりで「お願いします」と拝んだよ」と話す。

古閑さんによると、雨不足でナシの実が大きくならないことに加え、強烈な日差しと高温で実が焼け黒く変色する「焼け梨」と呼ばれる被害が出ているということだ。

このほか、古閑さんの畑では葉っぱがほとんどついていない木や枯れたように黄色く変色している葉っぱが確認できる。老朽化したナシの木自体が水不足で枯れた状態になったという。

古閑さんは「木が弱っている、玉太りが悪い、小さい、実が固い。(収穫量は)幸水が半作、豊水も半作、秋月が結構なっていたけど〝焼け〟とカラス(の被害)で4割減。それでも秋月はほかのナシよりいい。どうにか雨が降ってくれれば…」と肩を落とす。

ピーマンは水不足でシワシワに

また、天草市五和町で赤い『ベル型ピーマン』を栽培する、馬場照昭さんも頭を抱える。

無農薬にこだわり、化学肥料などを使わない自然農法に取り組んでいて、収穫は6月下旬から11月いっぱいだが、水不足でピーマンがシワシワになってしまい、出荷ができないという。

馬場さんは「水を考えながら使っている状況。早く雨が降ってほしい」と話した。

市房ダムでは貯水率30パーセントを下回る

雨不足でダムの貯水位も下がっている。球磨郡水上村の県営市房ダムでは13日夜遅くに貯水率が30パーセントを下回った。

ダム湖では底が露出したり、地面がひび割れたりしている部分もあり、ダム管理所では農業用水をダムから引いている3つの土地改良区などと近日中に渇水対策協議会を開き、節水対策などを協議することにしている。

また、幸野溝土地改良区では危機的状況を鑑み、上流部と下流部に分けて交互に水を供給する区割り送水を検討するということだ。

(テレビ熊本)

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