静岡県の幼魚水族館で人気者となっているモジャモジャの海藻をかぶった“アフロガニ”。しかし8月に入ってトレードマークの“アフロ”を手放し、新たな姿に生まれ変わったという。

アフロガニの正体は、通常は貝などをかぶって身を守る「カイカムリ」というカニ。しかし、なぜか海藻を気に入り脱皮しても同じ海藻をかぶり続けていた。今回の大胆なイメチェンを見守っていた幼魚水族館の幼魚保育士主任・布川彩美さんに、新たな装いについて聞いた。

海藻を手放して素っ裸に

ーー海藻はいつから付けていた?
うちのカイカムリが海藻を付けていることに気付いたのは5月10日です。水槽の中で「何か動いている海藻があるな」と思って確認したらカイカムリが背負っていました。そこから約3カ月間ずっと同じ海藻を気に入って付けていました。

“アフロガニ”として人気のカイカムリ(提供:幼魚水族館)
“アフロガニ”として人気のカイカムリ(提供:幼魚水族館)
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ーーなぜお気に入りの海藻を手放したと思う?
これまでずっと同じ海藻を背負っていたのですが、水槽の中にいた他の魚に突かれてどんどん海藻が小さくなってしまったり、カイカムリ自信が脱皮して体が大きくなり、自分の体に対して海藻がとても小さくなっていました。そのため、ある日突然、海藻を手放して素っ裸というか、“まるっぱげの状態”になってしまいました。

「これ待ってましたー!」

突如、海藻を脱ぎ捨てたアフロガニ。朝、布川さんが様子を見に行くと少しさみしそうな背中で、新たに身に着けるものを探して水槽内をとぼとぼ歩き回っていたという。

海藻を手放し素っ裸に(提供:幼魚水族館)
海藻を手放し素っ裸に(提供:幼魚水族館)

ーー海藻を手放した姿を見てどう思った?
“アフロガニ”として大人気だったので、とても悲しかったです。8日の朝出勤したら何も付けていなくて、ついに放してしまったかと思いました。その後しばらく様子を見ていたら、水槽内を歩き回って背負うものを探しているように見えました。

貝殻や海綿を背負うカイカムリ(イメージ)
貝殻や海綿を背負うカイカムリ(イメージ)

カイカムリは自然界では貝殻や海綿を背負うので、水槽の中にはウニの殻やアワビの貝殻などを置いていましたが、どれも違ったようで全てスルーされました。なかなかしっくりくるものが見付からない様子だったので、お昼ごろに「今まで持っていた海藻に近いものは何だ?」と考え、試しに『綿』を渡したら瞬時に飛び付いてくれました!

綿に飛びつく“アフロガニ”(提供:幼魚水族館)
綿に飛びつく“アフロガニ”(提供:幼魚水族館)

ーー渡した瞬間に飛びついた?
そうです。渡した瞬間から「これ待ってました!」と言わんばかりにすぐ受け取って、すぐに背負ってくれました。綿はちょっと大きすぎたにも関わらずそれでも気に入ってくれたようで今でもずっと背負っています。

進化したニューアフロガニ

新しい“相棒”を見つけ、真っ白な巨大アフロにレベルアップしたアフロガニ。再び多くの注目を集めているという。

レベルアップした“アフロガニ”(提供:幼魚水族館)
レベルアップした“アフロガニ”(提供:幼魚水族館)

ーー綿に飛び付いた時の心境は?
想像以上に飛びついてくれて、このモジャモジャ感が好きなのだなと思いました。綿が体よりも大きくて邪魔そうにも見えますが本人は気に入っているようなので、しばらくこれで様子を見たいなと思っています。綿なのでとても軽く、力も必要なく持ちやすさが一番なのかなと思います。

体よりも大分大きいが気に入っている様子(提供:幼魚水族館)
体よりも大分大きいが気に入っている様子(提供:幼魚水族館)

ーー新たなスタイルを見てどう思った?
ちょっと色は変わりましたが、皆様に愛されるアフロガニを「バージョン2」として見ていただけて良かったなと思っています。SNSでは「かわいい」とか「ちょっとデカすぎる」「思っていたのと違う」など、いろいろな反応をいただいていてありがたいです。