日経平均株価は、7月に史上最高値を記録した後、8月に1万円以上下落したが、6日、急反発して値上げに転じ、過去最高の上昇幅を記録した。
この乱高下の主な原因は、アメリカの景気状況や円高・円安が影響していると考えられる。

アメリカの経済指標に引き続き注視を

ここ数日の株価の乱高下について、フジテレビ・智田裕一解説副委員長が解説する。

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智田解説副委員長:
2024年に入ってからの日経平均株価を見ていくと、7月、史上最高値の4万2224円をつけたあと、ここ約1ヶ月で1万円を超えて値を下げ、年初からの上げ幅をすべて失いました。
そして、6日は、一転して、値上がりに転じ、過去最大の上昇幅を記録しました。

青井実キャスター:
ここ数日の株価の乱高下の1番の理由は、アメリカの景気が原因なんですか?

8月の日経平均株価の値動き
8月の日経平均株価の値動き

智田解説副委員長:
その通りです。8月に入ってからの株価に絞って見ていきます。先週後半に相次いで公表されたアメリカの一連の経済指標が、よくない数字で、これまで順調に見えていたアメリカ経済が、実は想定以上に落ち込んでいるのでは、との心配が一気に強まりました。
それによって、アメリカの株価が大きく下がり、日本の株価も下がるという流れを辿りました。

6日に株価が急反発したのも、アメリカ景気についての見方が関係しています。日本時間5日夜、新たに公表されたアメリカの経済指標が予想よりも良かったことで、警戒感が幾分和らぐなか、5日の下げが行き過ぎだとみた投資家が、多くの買いを入れたのが背景とみられています。

青井キャスター:
いずれも、アメリカの景気の影響を強く受けているのが分かりますね。

智田解説副委員長:
そうなんです。それに加えて、一連の株価の乱高下には、円高・円安も大きく関係しています。

青井キャスター:
こんなに乱高下していて、明日以降ははどうなるのでしょうか?

智田解説副委員長:
短期的には予想しづらいんですが、アメリカ経済がうまくいくという見通しがはっきりするまでは、投資家は身動きをとりにくいのではとみられています。

そんななか、アメリカの経済指標が引き続き注目されていて、近いところでは、現地時間8日の新規失業保険件数、14日の消費者物価指数が関心の的です。

賃金アップしづらい可能性も

青井キャスター:
私たちの生活には、どんな影響が出そうですか?

智田解説副委員長:
株価が下落すると、企業は金融市場を通じてお金を集めにくくなり、賃金アップがしにくくなる可能性があります。
賃上げで、消費が上向く景気の好循環が実現できるかが、株式市場の今後の動きに左右される可能性があります。

SPキャスター パックン:
今年は特に新NISAを始めた人も多いですし、心配している人も多いと思います。そのあたりはどうですか?

智田解説副委員長:
5日、鈴木金融相は、新NISAをきっかけに投資を始めた人を念頭に「相場が下落するなかでも、長期・積み立て・分散投資の重要性を考えて冷静に判断していただきたい」と話しています。
新NISAスタート後、初めての株価急落局面ですが、自身の資産形成の考え方について、改めて確認するきっかけにしてもよいかと思います。
(「イット!」 8月6日放送より)

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