5日の日経平均株価は、過去最大の下げ幅となる4400円以上値下がりした。

「米景気への警戒感」で過去最大の下げ幅

東京株式市場は、取引開始から売りが売りを呼び、全面安の展開となった。

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平均株価の下げ幅は、一時4700円以上となり、1987年のブラックマンデー翌日の下落幅を超えて過去最大となった。

鈴木財務相:
引き続き高い緊張感をもって、内外の経済金融市場の動向について注視してまいりたい。

急激な株安の背景は、アメリカの景気落ち込みへの警戒感で、前週末のアメリカ市場の株価が大幅下落した流れを受け、売りが一気に広がった。

また、円相場も「アメリカの利下げペースが速まるのでは」との見方から、一ドル141円台まで円買いが進み、輸出関連企業の業績が悪くなることへの警戒感から、株価が大きく押し下げられた。

8月5日の終値
8月5日の終値

5日、平均株価は3万1458円42銭、円相場は1ドル=142円56銭~57銭で取引を終えた。

日銀利上げと海外動向が売りを誘発

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
株価の大幅な下落、どうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
国内と海外の要因が複合的に重なって、機関投資家も個人投資家も、パニック的に売りに転じた、そんな印象があります。

まず国内要因では、日本銀行のスタンスが影響しています。物価高に負けない賃上げが行われていくのかまだ見えないなかで、小幅とはいえ、景気の回復にブレーキの役割を果たす利上げを実施しました。これに対する投資家の失望もあるように思います。

さらには、日銀の植田総裁は、記者会見で賃金が持続的に上昇することを前提に、利上げを継続させることに含みを持たせました。これによって一気に、お金の流れが逆回転し始め、株式市場からリスクマネーが出ていくきっかけになったのではないかと思います。

堤キャスター: 
一方の海外の要因については、いかがですか。

エコノミスト・崔真淑さん:
世界の株式市場を半導体株がけん引していましたが、アメリカ大統領選挙でトランプ氏とハリス氏は、ともにアメリカが台湾を支えることについて、ネガティブな発言を行っています。

これが台湾の半導体製造大手のTSMCに暗い影を落とすことになって、半導体株が売られやすい環境ができていました。

もう一つは、アメリカの景気の状態を表す雇用統計などの経済指標が思わしくないことも影響していると思います。過去の動向を踏まえると、景気悪化が判明した時期は、株式市場から一時的にもリスクマネーが出て行きやすいです。

この下げ基調が続くかどうかは、今後のアメリカの経済指標次第になるかと思います。

資産分散、住宅ローン設計の見直しを

堤キャスター:
私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
投資をしていないから関係ないという人も少なくないと思います。ただ私は、住まいや不動産市場への影響が気になっています。例えば、株価は不動産価格の先行指標になるというファイナンス研究もあります。

実際に日本では、日経平均とマンション価格指数には強い相関があることが知られています。ですので、住宅ローン設計の見直しや、景気に対して反応が違う資産への分散なども念頭に置いておきたいのかなと考えています。

堤キャスター:
いま、金融の舵取りが難しい局面を迎えています。私たちの暮らしにも大きく関わることですから、現在の状況をしっかりと見つめると共に、中長期的な視野での対応もまた求められています。
(「Live News α」8月5日放送分より)

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