パリオリンピック卓球で、張本智和選手と平野美宇選手が準々決勝に登場した。
共に格上の相手にファイナルゲームまで追い詰めたが惜しくも敗れ、準決勝進出はならなかった。

世界ランク9位の張本は4位の中国選手と対戦

2日未明に行われた卓球男子シングルス準々決勝に登場した張本智和選手(世界ランク9位)。
対戦相手は、世界ランキング4位で、世界選手権2連覇中の中国・ハンシントウ選手。

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4ゲームを先に取った方がメダルをかけた準決勝に進む中、張本選手は試合序盤からエンジン全開で、第1・第2ゲームを連取した。

しかし続く第3・第4ゲームは奪い返され、ゲームカウントは2対2の同点に。

流れを取り戻したい第5ゲーム。
ハンシントウ選手の得意のチキータをフォアでカウンターする場面も。

ゲームカウント3対2。
張本選手が11対4で取り返す。

しかし、第6ゲームはハン選手が取り返し、ゲームカウントは3対3で並ぶ。

次のゲームを取った方が勝利する第7ゲーム。
オリンピックで初の個人メダルを目指す張本選手にとって超えなければならない壁。

手に汗握るシーソーゲームに、会場は日本と中国の大声援が交互に響いた。

張本選手は一時リードするも、最後はハン選手が5連続得点で勝利し、準決勝進出はならなかった。

平野選手は3ゲーム連取から追いつく

一方、女子シングルス準々決勝。
立ち上がりは苦しんだ、平野美宇選手。

世界ランキング13位の平野選手は、8位の韓国・シンユビン選手にいきなり3ゲームを連取される。

しかし第4ゲーム。この試合初めてゲームを取ると、続く第5・第6ゲームも奪い返し、ゲームカウント3対3に。

迎えた運命のファイナルゲーム。
平野選手は勢いに乗ったまま攻め続ける。

最初にマッチポイントを握ったのは平野選手。
しかし相手も粘る。
再び平野美宇のマッチポイントも11対11に。

最後は2度のマッチポイントをものにすることができず、シンユビン選手に13対11で敗れ、準々決勝敗退となった。

敗退が決まり、泣き崩れる平野選手。
勝ったシン選手も泣いていた。

勝者も敗者も涙を流すほどの激戦だった。

張本選手と平野選手は、いずれも格上の相手に大接戦の末の敗退となった。

張本智和選手(21):
負けたので、どれだけいい試合をしても悔しいです。100%胸を張って出し切れたと言えますが、今の100%ではオリンピックのメダルに届かなかったというのが現実なので。でも試合をしていてすごく楽しかったですし、もっと強くなって4年後、この舞台に帰っていきたいなと思います。

ーーこの戦いで得たものはどんなことでしたか?
張本智和選手(21):

この大舞台で、中国の金メダリスト候補とこれだけの試合ができたというのは、東京大会になかったことですし、4年間もっと頑張れば、次こそメダルに届くんじゃないかってやりながら思っていたので。悔しいですけど、いい試合だったと思います。

試合後、宮司愛海キャスターの取材に応じた張本選手は…。

張本智和選手(21):
最後の最後勝ちきれなかった。これに勝てばメダルがぐっと近づいた中でメダルが取れなかったというのは、やっぱり悔しいかなと思います。

ーー最後に張本コールは耳に届いていましたか?
はい。地元の方々が、途中から僕がリードしてから、勝つ雰囲気を出してから、本当にたくさん応援してくれたので、本当に力になりましたし、相手の中国コールに対して負けないぐらい、僕の力になってくれたので、本当にありがたいなと思います。

平野美宇選手(24):
出だしがすごく悪かったのですけど、普段の自分ならいつもそのまま負けると思うんですけど、3ゲーム取り返すことができて。でも最後、すごいチャンスがあったんですけど、そこでいつもの自分通りに入れに行ってしまって、最後、殻を破ることができなくて悔しいです。最初で最後のシングルスだと思うので、もっとメダルが取れたかったんですけど、負けてしまってすごく悔しいです。

そして、3ゲーム連取されてからの怒濤(どとう)の追い上げについてはこう話した。

ーーこれだけ頑張れたのは、何が支えになったんでしょうか?
平野美宇選手(24):

いつも選考レースもすごくダメなところがたくさんあったんですけど、周りの方がすごく支えてくれて、やっと2番で選ばれたので、 その方たちにシングルスのメダルをあげたかったんですけど、あげられなくて残念です。

ーーまだ団体戦ありますが、意気込みをお聞かせください?
平野美宇選手(24):

まだメダルのチャンスはあるので、団体戦は1人じゃなくてチームのみんなもいるので、一丸となって今度は勝てるように頑張りたいです。

日本のエース・早田選手は北朝鮮選手と対戦

卓球女子シングルス準々決勝。

日本のエース・早田ひな選手は、フルゲームでの激闘を制し、メダルに王手をかけた。

世界ランキング5位、早田選手の対戦相手は、北朝鮮のピョンソンギョン選手。
世界ランキングは168位だが、本大会16位と11位の選手を破って勝ち上がってきた、まさにダークホース。

卓球で最初に行われた混合ダブルス1回戦で、早田選手は北朝鮮のペアと対戦し、まさかの初戦敗退。
北朝鮮はコロナを理由に長い間、国際大会に出場しなかったため、データが少なく注意が必要だ。

試合は第1ゲームから、早田選手が主導権を握る。
早田選手は第1ゲームを取ると、続く第2ゲームもものにする。
しかし第3ゲームを失った。
早田選手はすぐに第4ゲームを再び奪い返し、ゲームカウント3対1で相手を追い詰めるが、続く第5ゲーム、その後第6ゲームも失い、ゲームカウント3対3に追いつかれた。

勝負の行方は、最終の第7ゲームへ。
欲しかった先制点を取り、“ほえる”早田選手。
その後ラリーの応酬に、お互い一歩も引かない。

そして、早田選手は第7ゲームを11対6で取り、準決勝進出を決めた。 

東京オリンピックでは補欠だった早田選手。
同い年の伊藤美誠選手や平野美宇選手がメダリストになる中、ボール拾いなどしながらスタンドから声援を送っていたが、それから3年、日本のエースに成長した。

4月のインタビューでは…。
早田ひな選手(24):
私は東京五輪リザーブで帯同させていただいて、独特な雰囲気で、選手の試合に入ってくる表情や緊張感というのも、あそこの応援席のスタンドにいるのにめっちゃ感じていた。

張本選手や平野選手ら、日本勢が次々と敗退する中、準決勝に駒を進めた。

早田ひな選手(24):
3対1でリードしているところから、3対3に追いつかれたんですけど、最後自分がやるべきことをしっかり自信を持ってプレーすることができたので、あした準決勝に進むことができてよかったなと思います。

ーー次の試合はどんな試合になるんでしょうか?
早田ひな選手(24):

そうですね、技術だけでも勝てないですし、体力だけでも勝てない、もちろん精神力だけでも勝てないと思うので。

準決勝の相手は、世界ランク1位・中国のソン・エイサ選手。

早田ひな選手(24):
東京オリンピックが終わって3年間。この舞台でソン・エイサ選手に勝つために練習を積んできたので、勝つか負けるかは分からないですけど、しっかり勝ちに行きたいですし、自分が持っている技術を120%出せるように頑張りたい。
(「イット!」8月2日放送より)