「動画を見るだけで5万円」──SNSでこのようなメッセージを送り、現金をだまし取る詐欺が急増している。

どのようにしてだまされたのか?
被害者がその手口を語った。
副業ブームでSNS詐欺が増加
「投資の勝率が80パーセントに上がる」。
大阪で20代の女性がSNSで話を持ちかけられ、約90万円をだまし取られた。
大阪府警は詐欺グループのメンバー90人を逮捕。
被害総額は9億5000万円を超えるとみられている。
北海道でも同様の事件が。
「頭が真っ白になって、血の気が引いた」
「頭が真っ白になって、血の気が引いた」(詐欺被害にあった50代女性)
詐欺の被害を受けたのは北海道上川地方に住む50代の女性だ。

少しでも収入を増やしたいという心理につけ込まれた。

「給料が上がらないどころか下がったし、物価が高い。スクリーンショットを送ると金をもらえるという内容だった。『小遣い稼ぎにいいな』と一瞬思った」(詐欺被害にあった50代女性)
SNSを通して仕事を持ちかけられる
2024年5月、SNSを通して簡単に報酬が得られるという仕事が持ちかけられた。
広告動画を視聴し、その証拠としてスクリーンショットを送るという内容だ。
女性が指示に従うと、数百円の電子マネーが送金されてきた。

その後も指示通り作業を行うと。
「3万円くらいまでは入金されてきた。ちゃんと金が入ってくるなら大丈夫かなと思って、心理的に自分のガードも緩んだ」(詐欺被害にあった50代女性)
詐欺の手口とは?
順調かと思われた副業。
その後、複数人が共同で作業を行う「上級会員チーム」に招待された。

仮想通貨で取り引きする仕事だったが、仕組みが複雑で指示通りにできなかった。
すると、ペナルティを支払うよう請求され、女性は合わせて60万円を振り込んでしまった。
「私のせいで他の人たちにまで影響があると言われ、頭の中が真っ白になってすごく焦った。あとから思えば、そこで必死になった私が金を用意するだろうという向こうの思惑だった」(詐欺被害にあった50代女性)

この後、さらに違約金51万円を請求され、警察に相談したところ詐欺事件が発覚した。
警察は現在、捜査を進めている。
北海道警察によると、SNSを使った詐欺は年々増加しており、2023年の被害金額は少なくとも7億円を超えている。

「ちょっとでも疑問に思った時は、絶対に誰かに聞いてほしい。ちょっとでも違和感があることや、お金が絡むこと」(詐欺被害にあった50代女性)
詐欺の背景に“副業ブーム”
このような詐欺の背景には、副業ブームがある。
「パーソル総合研究所」によると、副収入を得たいという人が増えており、副業を行ってみたいという人は4割を超えている。

また、副業を容認する企業も6割以上存在している。
「子どもが帰ってくる時に家で迎えたいので、それまでにできることや、子どもが寝た後にできることがあればいい」(北海道民)
「副業をやっている。ボーナス以外なら本業より稼いでいる」(北海道民)
詐欺被害にあわないために
それでは、このようなSNS詐欺の被害にあわないためにはどうしたらいいのだろうか?
インターネット問題に詳しい専門家は次のように述べている。
「そんなにおいしい話があるわけがない。詐欺被害やトラブルが多いということが山ほど報道されている。リテラシーを高めることが自衛につながる」(ITジャーナリスト 高橋 暁子さん)
スマホひとつで簡単に稼げるという“うまい話”にはウラがある。
そのSNSの情報、本当に確かだろうか?