日本の伝統的な衣装“着物”に外国人はどんな印象を持っているのか。加賀友禅や茶の湯文化で着物が暮らしに根付いている石川県金沢市で、外国人観光客に日本の着物について聞いてみた。

日本語が話せる2人…外国人男性には浴衣の足元に難点

まずは金沢城石川門前でオーストラリアからやってきた男女2人組、ローラさんとジョエルさんに声をかけた。着物の写真を見せて、知っているか尋ねると、「着物の帯」と日本語で答えが返ってきた。そのイメージを聞くと、「おしゃれなイメージがあります」と、またしても日本語で答えてくれた。聞けば、数年前に日本への留学経験があるという。2人とも着物を着たことはないが、浴衣なら着たことがあるそうだ。ローラさんは歩きづらかったのを覚えていると言い、ジョエルさんは足のサイズが大きいため、草履を履くのが難しかったと教えてくれた。

日本語に留学経験があるローラさん(左)とジョエルさん(右)
日本語に留学経験があるローラさん(左)とジョエルさん(右)
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ドイツ人女性は着物のルールに美しさを感じた

次に出会ったのはドイツから来た女性。着物のことは知っていて、ちょうどこの旅行中に京都で着物を着たカップルが結婚式の記念撮影をしているところを見たという。

ヌイミーさん:
着物は美しく、たくさん色があって着方もいろいろあるんでしょ。独身女性が着る物と既婚女性が着る物が違っていたり、美しい伝統文化だと思う。

ドイツから来たヌイミーさん(左)
ドイツから来たヌイミーさん(左)

フランス人夫妻は現代に息づく着物文化に感銘

続いてはフランス人の夫婦。日本人女性と結婚したいとこに会いに来たそうだ。旅行中、着物を着た若い女性が数多くいることに驚いたという。その多くはレンタル着物店で浴衣や着物を借りて街歩きを楽しむ観光客だが、伝統的な衣装が今も人々に親しまれているということが新鮮に映ったようだ。

妻・アニーさん:
古典的でもあり、現代的でもある、着物は日本の2つの側面を表しているようだわ。

フランスから来たアニーさん(左)とチャールズさん(右)
フランスから来たアニーさん(左)とチャールズさん(右)

レンタル着物店には外国人観光客の姿も多数

その後、取材班は兼六園のそばにあるレンタル着物店「金沢きもの花恋」へ。ここでは約1300枚の着物から好きな物を選び、着付けやヘアセットなどが受けられるサービスを提供している。着物で金沢の街歩きや写真撮影を楽しみたいという観光客に人気の店には、日本人だけでなく外国人も多く訪れているという。

金沢きもの花恋 店内
金沢きもの花恋 店内

店内ではドイツから来た2人組、ナディアさんとエルサさんが着物を選んでいた。

エルサさん:
古典的なものもかわいいしカジュアルな柄も素敵。決めるのが難しいわ。
ナディアさん:
全てが美しいわ。

帯締めを選んでいるナディアさん。種類が豊富で決められない様子に、店員から一歩下がって見てみるといいというアドバイスを受けた。アドバイスに従ってみると、赤が気に入ったようだ。

ナディアさん(左)とエルサさん(右)
ナディアさん(左)とエルサさん(右)

帯締めの後はカバン。こちらも様々な色や形があり、迷ってしまう。着物を選ぶスペースの奥には、待ちくたびれた様子の男性たちの姿があった。彼らは2人の夫で、退屈していないか聞くと、「平気だよ、慣れているからね」と返ってきた。「彼らはとっても我慢強いのよ」とエルサさんは笑う。

妻の着物選びを待つ2人
妻の着物選びを待つ2人

いよいよ着付け…体型の美意識に西洋との違いも

1時間ほどかけて選んだ着物をいよいよ着付けてもらう。帯を締められたエルサさんは、「まあまあきついわね」と少し苦しそうだ。一方ナディアさんは、「コルセットに比べたら平気」と話す。西洋ではドレスを美しく着るためにコルセットでウエストを締めて体の凹凸を強調する。しかし日本の着物を美しく着るためには、まっすぐな寸胴体型が良いとされている。

ナディアさん:
ドイツとは逆ね。ドイツではくびれを作っておしりの部分から大きく広がるドレスを着るのがステータスだった。

着付けを体験することで西洋と日本の美意識の違いを体感することができたようだ。

着付けをしてもらうエルサさん
着付けをしてもらうエルサさん

着物で変身した妻の姿に夫は賛辞の嵐

2人の着付けが終わると、待ちきれずにカフェに出かけた2人の夫、ロバートさんとマリオさんが店に戻ってきた。変身した妻の姿を見て、歓声を上げた。

ロバートさん:
本当に素敵だよ。本当にかわいい。
マリオさん:
ただただ素晴らしいよね。繊細な柄と髪型も頭の上からつま先まで。これから美しい写真をたくさん撮れるといいな。

夫2人からは賛辞が止まらない。早速店の前での記念撮影が始まった。この後兼六園に出かけた4人は散策と撮影を満喫したそうだ。着物を着るには時間も手間もかかるが、その分感動もひとしおなのかもしれない。

着物を着た妻・ナディアさんを絶賛する夫・ロバートさん
着物を着た妻・ナディアさんを絶賛する夫・ロバートさん

色とりどりの柄や小物など、外国人にとって着物には“日本らしさ”があふれているようだ。

(石川テレビ)

石川テレビ
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