インターネットを通じた候補者の選挙運動、いわゆる「ネット選挙」を有権者は、投票にあたりどう活用するのか、FNN世論調査で聞いたところ、「大いに参考にする」13.9%、「ある程度参考にする」46.4%、「あまり参考にしない」20.7%、「全く参考にしない」18.1%となり、何らか参考にするとの回答が60.3%となった。
石丸氏Youtube使った「ネット選挙」で約165万票獲得
今回、調査項目としたきっかけが、7月7日に投開票が行われた東京都知事選挙だ。告示期間中から選挙後も話題となったのが、2位の約165万票を獲得した石丸伸二氏のYoutubeを使った「ネット選挙」だ。
石丸候補は、街頭演説は10分~15分と他候補に比べ“手短な”演説を多数行い「詳しくはYoutubeで」というメッセージで選挙動画に誘導する選挙戦が奏功し、再生回数は1億5000万回を超えたという。有権者が石丸氏の姿の“切り抜き動画”を拡散し、一気に再生数が広がった。
この記事の画像(5枚)【インターネットを使った選挙運動を投票の参考にするか】
大いに参考にする 13.9%
ある程度参考にする 46.4%
あまり参考にしない 20.7%
全く参考にしない 18.1%
ではこの「ネット選挙」どういった人が「参考にする」もしくは「参考にしない」と答えているのか年代別に見と、幅広い世代が投票で「参考にする」と考えていることがわかった。
「ネット選挙」は“若者向け“だけではない
年代別に、「参考にする」「参考にしない」を一覧にすると、40代以下の8割以上が、投票の参考にするとして、「ネット選挙」が浸透している世代は、若年層にかぎらず、40代、50代など中間年齢層にも広がっているといえる結果となった。
さらに60代でも半数以上が「参考にする」と答えたが、70代以上では、反転して「参考にしない」が7割を超えた。
【「ネット選挙」の訴えを投票の参考にするか】
参考にする 参考にせず
20代以下 83.9% 16.1%
30代 83.6% 14.6%
40代 80.7% 18.2%
50代 68.5% 31.6%
60代 52.6% 46.7%
70代以上 24.6% 73.8%
ネット選挙の解禁は、2013年の公職選挙法の改正にさかのぼるが、当時の法改正議論の際に上がった懸念が、「なりすまし」「虚偽」「誹謗中傷」などだった。
「フェイク」ネット情報への不信指摘する声も
時を経て「フェイク」という言葉となり、ネット情報への不信を指摘する声もあり、今回の電話世論調査の過程では「ネット情報は信用できない」「あてにならない」などの意見も聞かれた。
ただし改正公職選挙法では、当選させる又は当選させない目的での、虚偽の氏名でネット選挙運動をした者には、禁固や罰金に処することが定められているほか、虚偽の事実を公にした者に対しても、同じく禁固や罰金が定められている。
東京都知事選の選挙戦でもうひとつ話題になったのが、選挙掲示板にずらりと並んだ、同一ポスターや、候補者の無関係のポスターなどの問題だった。
都知事選の“無関係ポスター” 公選法「見直し」85%
選挙の掲示板枠を有償で販売するケースなど今の公職選挙法が想定をしておらず、規制ができなかった事態を受けて、法律の見直しについて質問したところ「見直すべき」が85.7%に上った
公職選挙法の改正をめぐっては、小池都知事が、岸田首相に改正を要請したほか、国会でも、自民・公明は国会閉会中に議論を行い、売名・営利目的の選挙ポスターを罰則する案などを検討するほか、立憲、維新など野党も法改正に向けた議論をスタートさせていて、次の国会での法改正に向けた動きが進んでいる。
【選挙運動を定める公職選挙法について】
見直すべき 85.7%
見直す必要ない 10.3%