岸田政権の苦境が深まっている。9月に予定される自民党総裁選を控えて、内閣支持率は25.1%と2割台に低迷、6月調査では31.2%に一時回復していたことの反動で、先月比6.1ポイント急落した形となった。
この記事の画像(10枚)さらに、自民党支持層に限った岸田内閣の支持率が今月大きく落ち込んだ。6月調査では、自民支持層の内閣支持率は73.4%、5月調査では71.6%、4月では67.5%と概ね7割前後だった自民支持層からの内閣支持が、7月調査では、61.7%に急落、自民支持層の「岸田離れ」と言える結果となった。
【岸田内閣の支持率 自民党支持層】
7月 6月 5月 4月
支持する 61.7% 73.4% 71.6% 67.5%
支持しない 35.3% 23.9% 26.4% 24.9%
岸田総理は「9月の総裁任期まで」が86%、自民支持層でも7割超
世論調査では、岸田首相にいつまで総理を続けて欲しいかを、時期を区切って質問した。
「すぐに交代して欲しい」26.7%、「9月の自民党総裁任期まで」59.5%となり、いずれにせよ“9月まで”と思っている有権者が86%という結果となった。
さらに、自民党支持層に限って答えを見てみると「すぐに交代して欲しい」8.0%、「9月の自民党総裁任期まで」65.1%と併せて73%が、”9月まで“と回答した。自民党支持層では、「すぐに」とは言わないが、総裁任期満了をもって岸田総裁には”勇退いただく“ともいえる意見が多数だと読み解ける。
【岸田首相にいつまで総理大臣を続けて欲しいか】
すぐに交代 26.7%
9月の自民総裁任期まで 59.5%
9月以降も続投 10.9%
【岸田首相にいつまで総理大臣を続けて欲しいか 自民支持層】
すぐに交代 8.0%
9月の自民総裁任期まで 65.1%
9月以降も続投 23.7%
自民党の“顔”を決める、9月にも行われる予定の自民党総裁選は、自民党の“顔”を決める選挙となる。昨今の国政選挙では、与野党とも政党トップの“顔”が勝敗の行方に大きく影響する傾向となっている。
岸田総理・総裁は、3年前の政権発足当初は、政党支持率を大きく上回る内閣支持率で、自民党の“顔”として自民党を牽引してきた。その構図は、2023年末に、派閥の裏金問題が発覚して以降、大きく揺らぐ状態が続いていたが、派閥の裏金を調査・公表し、自民党議員を処分して以降、4月は「内閣支持率」26.9%>「自民党支持率」25.4%と内閣支持率が上回る状態に戻った。以降、5月も「内閣支持率」27.7%>「自民党支持率」25.1%、6月も「内閣支持率」31.2%>「自民党支持率」25.5%と内閣支持率が上回っていた。
しかし今月は「内閣支持率」=「自民党支持率」ともに25.1%と横並びになった。
6月には政治資金規正法を改正したほか、1人当たり4万円の所得税などの定額減税を行ったにもかかわらず、内閣支持率は、前月比6.1ポイント下落した。総裁再選を目指す姿勢の岸田首相にとっては、短期のうちに政権支持率を上げることが、再選の行方を決定づける喫緊の難題となっている。
【内閣支持率と自民党支持率】
7月 6月 5月 4月
内閣支持率 25.1% 31.2% 27.7% 26.9%
自民支持率 25.1% 25.5% 25.1% 24.1%
映像政権交代を求める世論の高まり 最大の受け皿は「支持政党なし」51%
岸田内閣の政権支持率が低迷するなか、FNN世論調査では、継続的に次の衆議院選挙後の政権のあり方について質問をしている。7月調査では「自民公明の政権継続」を求める意見が大きく落ち込んで、春先から同じ質問を続ける中で、最も低い39.3%となった。
【次期衆院選後の政権のあり方】
7月 6月
自・公が中心 39.3% 43.7%
野党中心 46.0% 43.9%
では、仮にいま衆議院の解散総選挙が行われたら、野党・立憲民主党を中心とした政権が誕生する機運が高まっているかというと、立憲民主党や他の野党は受け皿になり得ていない。政党支持率を見てみると、最も多いのは「自民党」25.1%、次いで大きく溝を開けられる形で「立憲民主党」6.1%、「共産」4.1%、与党の「公明」2.8%をはさんで、「れいわ新選組」2.7%、「日本維新の会」2.6%、「国民民主」1.3%と続き、主要4野党までの数字を足し上げても、自民党支持率の足下にも及ばない結果となっている。
野党支持率も低い中、自公政権の交代を求める声が高い、この状況の“解“となるのが、「支持政党無し」という答えが51.1%と断トツで高い数字となったことだ。岸田政権発足以来、無党派層が最も高い結果となった。この無党派層の民意をつかめるかどうかが、この先の行方を見極める重要な要素となる。
【政党支持率】
自民 25.1%
立憲 6.1%
共産 4.1%
公明 2.8%
れいわ 2.7%
維新 2.6%
国民 1.3%
参政 1.0%
社民 0.5%
教育 0.0%
みん党 0.0%
支持政党無し 51.1%
総裁選戦線に“変動あり“
岸田政権の継続か、自民党の新政権となるのか、はたまた野党による政権交代となるのか、事態が動くのが9月にも実施される、自民党総裁選となる。
世論調査では、次の総裁に最もふさわしい人について聞いたところ、最も多かったのは「石破元幹事長」24.7%、次いで「小泉元環境相」12.1%となった。毎月上位2枠で定番の2人だが、今回、特筆すべき“変動”が見られた、それが石破氏が小泉筋をダブルスコアで引き離し、圧倒したことだ。
7 月に入り、各地の講演などで、総裁選について言及を続ける石破氏は、周辺に立候補に向けた調整を行っている状況とされる。発言が報じられる機会が増えたことの受け止めとして、石破氏への期待が高まったことがうかがえる。
総裁候補に戻ると、小泉氏の後は、「高市経済安保相」7.5%、「河野デジタル相」7.0%、「菅前首相」5.4%、「上川外相」4.8%と、こちらは毎月と同じ傾向となり、定位置となった7番手の「岸田首相」4.1%と続く。
その後は、「野田元少子化相」1.4%、「林官房長官」1.2%、「茂木幹事長」0.9%、「加藤元官房長官」0.4%、最後尾に7月になって一部で総裁選立候補の動きが取り沙汰される「小林鷹之前経済安保相」が0.1%となった。
【次の自民総裁にふさわしい人】
石破茂 元幹事長 24.7%
小泉進次郎 元環境相 12.1%
高市早苗 経済安保相 7.5%
河野太郎 デジタル相 7.0%
菅義偉 前首相 5.4%
上川陽子 外相 4.8%
岸田文雄 首相 4.1%
野田聖子 元少子化相 1.4%
林芳正 官房長官 1.2%
茂木敏充 幹事長 0.9%
加藤勝信 元官房長官 0.4%
小林鷹之 前経済安保相 0.1%
無党派、自民支持層が見る次の総裁候補
この総裁選候補に関する調査を、実際に自民党員として総裁選で投票する可能性が高い自民支持層に関してみてみると、「石破元幹事長」21.2%、「小泉元環境相」13.0%、「高市経済安保相」10.6%、「岸田首相」9.8%となる。上位3人は、有権者全体でも、自民支持層でも不動の順位となった。
岸田首相は実際の総裁選では、有権者全体で見るよりも支持を得ていることから、総裁選では強さを持っていると言える。さらに「河野デジタル相」8.2%、「菅前首相」7.7%、「上川外相」5.5%、「茂木幹事長」2.2%、「林官房長官」1.8%、「野田元少子化相」1.2%、「加藤元官房長官」0.7%、「小林前経済安保相」0.0%となった。
【次の自民党総裁にふさわしい人 自民支持層】
石破茂 元幹事長 21.2%
小泉進次郎 元環境相 13.0%
高市早苗 経済安保相 10.6%
岸田文雄 首相 9.8%
河野太郎 デジタル相 8.2%
菅義偉 前首相 7.7%
上川陽子 外相 5.5%
茂木敏充 幹事長 2.2%
林芳正 官房長官 1.8%
野田聖子 元少子化相 1.2%
加藤勝信 元官房長官 0.7%
小林鷹之 前経済安保相 0.0%
さらに、これを無党派層で見てみる。無党派層での支持順番は、総裁選とは直接関係ないものの、選ばれた次の総裁の、来たる衆院選挙での得票力をうかがう調査と言える。
最も多かったのは「石破元幹事長」24.2%、「小泉元環境相」12.5%、「高市経済安保相」「河野デジタル相」が同率で6.3%、「菅前首相」5.7%、「上川外相」5.2%となり、石破氏、小泉氏は、自民支持層からも無党派層からもワン・ツーの位置につけていて、総裁選でも、衆院選で最多勢力である無党派層からも高い支持を得ていると言え、自民党にとっては、ふさわしい候補となっている。
一方で「岸田首相」は3.1%で、自民党総裁選挙では比較的上位に入るものの、衆議院選挙などの投票では得票力に弱さがあると言える。
【次の自民党総裁にふさわしい人 無党派層】
石破茂 元幹事長 24.2%
小泉進次郎 元環境相 12.5%
高市早苗 経済安保相 6.3%
河野太郎 デジタル相 6.3%
菅義偉 前首相 5.7%
上川陽子 外相 5.2%
岸田文雄 首相 3.1%
野田聖子 元少子化相 1.3%
林芳正 官房長官 1.1%
加藤勝信 元官房長官 0.4%
茂木敏充 幹事長 0.3%
小林鷹之 前経済安保相 0.0%