黒牛に黒豚と畜産業が盛んな鹿児島。中でも大隅半島の肝属地区は鹿児島が誇る「黒豚」の県内シェア約40%を占めている。しかし「地元でおいしい黒豚を食べられる店が少ない」との声も。そんな中、地元産の黒豚をリーズナブルに味わえるとんかつ店が鹿屋市に登場した。
“激戦区”にオープン 評判も上々
2024年6月、鹿児島・鹿屋市にオープンした「とんかつ鎌田」。店に入ると、とんかつを揚げる音やサクッサクッと、とんかつを切る音が心地よく響き、香ばしい香りと相まって食欲をそそる。

揚げたてアツアツの「ロースとんかつ定食」のお値段は980円(税込み)。 お昼の時間帯には多くの客が訪れ、とんかつを頬張る。「ちょうどいい脂身でおいしかった」「また来たい」と評判は上々だ。
鹿屋は多くのとんかつ店がしのぎを削る、いわばとんかつ激戦区だ。そんな中、新たにオープンした「とんかつ鎌田」には、大きなこだわりがあった。

店員の小牧エミさんは「この店のとんかつは、黒豚以外扱っていない」という。鹿児島が誇る“黒豚”一択というこだわりだ。
それが可能な秘密は、黒豚を育てている養豚場にあった。
こだわりの餌で育てる「六白黒豚」
同じ鹿屋市内にある鎌田黒豚農場。そう、「とんかつ鎌田」は黒豚の生産から加工まで一貫して手がける会社が始めたのだ。

ここで育てられているのは「六白黒豚」。「六白」とは4本の足と鼻、しっぽの6カ所が白いことから名づけられたもので、この特徴こそが鹿児島黒豚の証である。ここから毎月500頭近くが出荷されている。

おいしい肉に仕上げるためにこだわっているのは餌だ。サツマイモ、麦、大豆など植物性の原料のみを独自に配合することで、脂身はあっさりと、全体的に甘みのある肉質に仕上がるという。

さらに豚舎のすぐ隣には加工場があり、リーズナブルで安定的な提供を実現している。
「地元の人においしい黒豚を」
リポーターもそのおいしさを確かめることに。

黒豚とんかつはやわらかく、脂身の部分がさっぱりしていて、甘みがあって、こだわりを十二分に楽しめる味わいであった。

食べ方は、岩塩・タレ・からし・おろしポン酢の4種類。さらにご飯、味噌汁、キャベツが食べ放題というのもうれしいポイントだ。
来店3回目という男性客は、「生産者が直接作っているので、お肉自体にもすごく甘みがあっておいしい」と満足した表情だった。鹿屋市民の胃袋もがっちりとつかんでいるようだ。

店員の小牧さんは、「地元の方に、黒豚ってこんなに手軽においしく食べられるんだということを広められたら」と意欲十分だ。

これまで贈答品やふるさと納税を中心に、県外への展開が多かった鎌田黒豚農場が“生産地だからこそ地元の皆さんに黒豚を食べてほしい”との思いでオープンした「とんかつ鎌田」。特産の黒豚の「地産地消」に期待がかかる。
(鹿児島テレビ)