「会話が苦手な社会人」を対象に行った調査では、4割が3人以上の会話が苦手で、理由には、「話題がない」、「人を気にしすぎる」が上位に上がった。
専門家は、得手・不得手の認識と、できることでの信頼構築をする重要性を、自身の経験に触れて述べた。

「初対面の会話」大多数に苦手意識

「うまく話せない」、「会話が苦手」などといった働く人の本音に迫った。

街の人に聞いてみると、「苦手意識があると言えば苦手かも」、「苦手です、機械と向き合ってる方が楽です」といった意見が聞かれた。

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人材派遣のR&Gが、「会話が苦手な社会人」498人を対象に、会話が苦手な理由を聞いた。

「同性と異性、どちらとの会話が苦手?」という調査では、異性の方が多いものの、半数以上が「どちらも苦手」と答えている。

そして、1対1よりも3人以上の方が苦手という人の方が多く、約4割だった。

ホテル勤務(10代):
1対1だとペチャクチャしゃべれるんですけど、グループになると黙り込んじゃうタイプ。グループの雰囲気を崩さないように気を使ってしまうというか、気を使いすぎて言葉を出せなくなっちゃう感じ。

「苦手な場面」としては、「初対面の人と話す」を挙げた人が圧倒的に多く、以下、「大人数で話す」、「食事中・ランチ中の会話」が続いた。

サービス業(30代):
初対面の人が苦手というか、どんな話題上げればいいのかなだとか、そういうところで悩んでしまう。なんとも言えぬ沈黙が続くではないが、お互い話題が出ずにみたいなのは、ちょっと気になる。

「会話が苦手な理由」には、「話題がない」、「人のことを気にしすぎる」、「会話を広げられない」と答えた人が多く、ほかに「緊張する」、「会話に入れない」などが続く。

商社営業(20代):
人と話すときって、どういうことを話せばいいか、話すきっかけが必要になるので、そういうものを探っていくのがちょっと難しい。

損保代理店(60代):
相手のことを気にしすぎて、考えすぎてすぐ言葉が出てこない。初対面の人もそうだし、ずっと同じ職場で働いている人でも気を使ったりして、言葉が出てこないときがある。でも、逆に沈黙が苦手で話さなきゃと思って墓穴掘っちゃったり、言わなくていいこと言っちゃったりして、さらにまた悪化してしまう。

「会話が得意」な人も苦い経験が…

「会話が得意だ」という男性にポイントを聞いてみた。

キャリアコンサルタント(20代):
もともと大阪人なので、しゃべるのは好きだけど、仕事柄というのもある。初対面の人と話すときは、めっちゃ下から入ります。 めっちゃ丁寧にしゃべって、「いけるな」みたいな感じの人だったら、急にちょっとタメ語で突っ込んで、距離を詰める。

しかし、こんな「やらかし」もあったそう。

キャリアコンサルタント(20代):
彼女と別れた先輩とかと飲みに行く時に、そこをちょっとイジったら、マジで落ち込んでて、ホンマに怒られて 、「おまえふざけんな」みたいな感じの時は「ホンマすいません」と。

トレーニングの前に苦手・得意を因数分解

「Live News α」では、働き方に関する調査・研究を行っている、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーー実は「会話が苦手」という方、多いようですね?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
経営者でも会話が苦手という人は結構いて、私自身もそうです。話が得意に見える人でも、すべての場面、すべての手段で、コミュニケーションや会話がうまくいっている、という人はいないのではないでしょうか。

会話は、どの場面でもあるからこそ、漠然と得意、苦手と考えてしまいがち。だからこそ、話し方のトレーニングなどを行う前に、自分の得意・苦手を因数分解して考えることが大事です。

堤キャスター:
ーーそれは、どういうことなんでしょうか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
例えば、同じ「会話」でも、営業のように決まったことを話したり、目的が明確ならできるけど、雑談が苦手という人がいます。あるいは、初対面の人に話しかけることはできても、話が深まらないというケースもあります。

そこで、自分は何なら平気で、何が苦手なのか。細かく把握することは重要で、把握できると、どう対策をすればいいのかも分かります。

堤キャスター:
ーー会話は苦手だという石倉さんは、どんな対策を行ったのでしょうか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
私自身はASD(自閉スペクトラム症)という発達障害の当事者でもあるので、空気を読んで会話をするということがかなり苦手です。

なので私は、同じ会話でも空気を読むことが必要な対面での会話ではなく、テキストコミュニケーションのように、空気を読むことが必要ない手段の方が、実はやりやすかったりします。

だからリモートワークのように、テキストコミュニケーションを多用する働き方が合っていたし、比較的得意なテキストコミュニケーションで、何回もやり取りを繰り返すことで、相手と信頼関係を築くこともできました。

小さな課題に取り組み自信につなげる

堤キャスター:
ーー何かの問題を因数分解して考える。これは、さまざまな場面で使えそうですね?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
自分は、何なら平気で、何は苦手なのかを因数分解し、課題が小さくなれば、なんとかやり方が見えたりするので対策もしやすいし、対策できたら自信もできます。

何事もそうですが、「課題を分解し小さくする」ことで解決しやすくなるというのは共通しているので、すべての人にとって、悩みを少なくするための必須スキルと言えるかもしれません。

堤キャスター:
会話に限らず、何事にも得意なことと、そうでないことがあります。
自分の苦手な分野と向き合うことも大切ですが、得意な分野を伸ばしていくことも忘れないようにしたいですね。
(「Live News α」7月17日放送分より)

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