新型コロナの感染者が増え、これまでとは違う新たな変異株が登場し、今、「第11波」に入ったとも言われている。新たな変異株には、どういった危険性があるのだろうか。感染を防ぐ有効な対策を専門家に聞いた。
感染性が高まって広がりやすい新変異株「KP.3」
東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅医師によれば、現在は「KP.3」(ケーピー・スリー)と呼ばれている変異株がはやっているという。「ワクチンを接種したり、一度感染して体内にできた抗体がより効きにくい。感染性が高まってより広がりやすい」のが特徴だ。
この記事の画像(11枚)新たな変異株「KP.3」。感染力が高く、主に喉の痛みや発熱といった症状があるという。
厚生労働省によると、7月1日から7日に報告された1医療機関あたりの感染者数は8.07人。前の週から1.39倍になっているのだ。
その中でも、特に患者報告数が最も多かったのは沖縄県。1医療機関あたり29.92人と、全国最多となっている。
沖縄県では、この「KP.3」という新たな変異株が、感染者の90%以上を占めているという。
この「KP.3」の感染拡大で、沖縄県の医療機関は今、危機的状況にあるそうだ。
沖縄の医療機関は危機的状況
沖縄県にある友愛医療センター救急科の山内素直医師は、「5月のゴールデンウィーク明けから、患者数はどんどんどんどん増えてきている状況。6月に入ってからは、重症化する患者さんも見られてきました」と話す。
さらに「入院するベットが確保できなかったり、発熱の患者さん、コロナの患者さんの救急車の受け入れをお断りせざるを得ないような状況も、6月から出ています」と現在の状況を説明する。
このように、新型コロナでない患者にも大きな影響が出ているという。
実際にこの病院で取材中も、「(91歳の)この方おそらくコロナの可能性があると思うんですよね。そうなると、ちょっとお部屋がないので。診察はできるんですけど」と医師が電話で話す場面が見られた。
重症化も心配な高齢の患者だが、入院するためのベッドが空いていない状況。さらに、救急車の数が足らず、病院独自の「ドクターカー」の出動が6月から激増しているという。
友愛医療センター救急科・山内素直医師:
患者さんとか、患者さんのご家族で、熱があるとか、周りにコロナがいるって分かっていながら、マスクせずに救急車乗ってきたりとかする方は、実際にいらっしゃいます。
新型コロナへの意識の変化が一因
山内医師は、新型コロナへの意識の変化を指摘する。
友愛医療センター救急科・山内素直医師:
コロナに対する意識とか、感染予防対策に対する意識っていうのが下がった。そして、実際、自分の周りで起こっていることに対する意識とか、レーダーが下がっちゃったのかなと思います。コロナに対する無関心みたいなものが一因。
「熱中症」と症状似ていて診察に手間取る
さらに、新型コロナと見分けづらいという、「熱中症」という問題も。
埼玉県の埼玉慈恵病院でも、診察に手間取っているという。
同病院の藤永剛副院長は「両方とも熱を出しやすいですよね。それからだるさとか倦怠感。頭痛とか筋肉痛とか、そこらへんの症状はよく似てますね」と話す。
「熱中症」の患者も増える中、新たな変異株「KP.3」の感染拡大を防ぐには、どうすればいいのか。
埼玉慈恵病院・藤永剛副院長:
やっぱり手洗いっていうのは、非常に感染予防になりますから、それを思い出していただいて、人混みに行ったとか、何かに触れたとかそういうあとは、ちゃんと手洗いした方がいいと思います。
(「イット!」7月16日放送より)