止まらない少子化。政府は子育て世帯に向けて様々な支援を打ち出している。ただ支援の原資となる税金などの負担も大きくなっていて少子化に歯止めがかからない現状も。そんななか2026年度から「子ども・子育て支援金」の財源のため国民にさらに新たな負担が加わる。
「少子化対策と増える負担」について取材した。

大分県は13年連続で出生数減少

大分県の合計特殊出生率と出生数
大分県の合計特殊出生率と出生数
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一人の女性が生涯に産む子供の数合計特殊出生率について、2023年の大分県は「1.39」と3年連続の減少で過去最低だった。
さらに、出生数も6259人とこちらも13年連続で減少している。

2024年6月「子ども・子育て支援金」を新設する法律が成立

こうした少子化に歯止めがかからない状況を打破しようと、政府も対策は進めていて、6月「子ども・子育て支援金」を新設する法律が成立した。
これにより、児童手当は所得制限がなくなり高校生まで拡充されたり、妊娠・出産時に10万円相当の給付が行われる。

ただ一方で「子ども・子育て支援金」の財源のため2026年度から国民に新たな負担が加わる。

その負担額は加入する公的医療保険によって変わるが、政府の試算では制度が確立する2028年度に、加入者1人あたりの平均で月に450円になるという。

つまり、子育て支援は手厚くなるけどその分、我々の負担も増えるということになる。

「所得がそんなに変わらないのに税金がどんどん上がっていく」

支援の対象となるお父さんやお母さんがどのように考えるのか。
2024年4月、大分市に新しくできた複合公共施設にある「府内こどもルーム」で話を聞いた。
たくさんのおもちゃや、砂場もあり、広いスペースで子供と遊ぶことができる。

大分市に4月にできた「府内こどもルーム」
大分市に4月にできた「府内こどもルーム」

市内に住む親子は無料で利用することができ、土日の多い時には1日300人もの親子が訪れるという。

こどもルームに訪れていた子供2人がいる親:
「児童手当とか定額減税は素直に助かる支援」

(Q:3人目を考えているか)
「まったく考えてない。金銭的にが一番大きい。どうしてももう一人増えるとお金もかかるし」

子供2人がいるまた別の親:
「思っていた以上に子供が生まれてからおむつ代とか洗濯を回す回数が増えてすごくお金はかかる。(子供が)これから大学とか行ったときは、お金がかかるので、ちょっと不安がある」

子供1人がいる親:
「所得がそんなに変わらないのに税金がどんどん上がっていくので、どこで節約できるか日々考えて生活している。お金のことを考えずに子供を産むっていうのは難しいかなと思う」

と、新たな支援制度は助かるという声はあるものの、子育てにかかるお金は大きな悩みとなっているようだ。

「国民の負担が上がるほど出生率は下がっていく」という統計的なデータも

こうした現状について、子育て支援に詳しい日本文理大学の河村裕次准教授は「国民負担率が上がれば上がるほど、出生率は下がっていくという統計的なデータがきちんと示されている。負担が上がれば結婚の数が減っていくというデータが出ているので、この負担をどう減らすのか、もしくは負担を上回る給付を受けられるようにするのかというところが、今後の子育て支援では必要になってくるかと思う」と話す。

日本文理大学の河村裕次准教授
日本文理大学の河村裕次准教授

国民負担率とは、国民の所得に占める税金と社保障費の割合の数値である。
どれくらい増えているかというと、1970年度は24.3%だったが、それが20年後の1990年度には38.4%と上昇している。
そして、2022年度には過去最高の48.1%と、稼いだお金の半分近くがが税金や社会保障費で徴収されている。

手厚い支援の一方で、税金や社会保障費の負担が重くなっているのも事実であり、若い世代がお金の心配なく、子供を産んで育てていける環境づくりが求められる。

国民の所得に占める税金と社保障費の割合の数値・国民負担率
国民の所得に占める税金と社保障費の割合の数値・国民負担率

(テレビ大分)

テレビ大分
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