中国は、2024年4月から6月のGDPの伸び率が4.7%と発表した。今回、記者会見は行われず、ホームページ上での公表となった。

GDP成長率5%以下 記者会見見送り

中国の国家統計局は、2024年4月から6月までのGDPの伸び率が、2023年の同じ時期と比べて、プラス4.7%だったと発表した。前の3カ月の伸び率から減速し、中国政府の通年の目標である5%前後を下回る形となった。

GDPの伸び率が発表された中国・国家統計局のHP
GDPの伸び率が発表された中国・国家統計局のHP
この記事の画像(10枚)

今回のGDP発表で記者会見が行われないのは、7月15日から北京で始まった共産党の重要会議「三中全会」の影響とみられている。

三中全会が開かれるとみられる会場
三中全会が開かれるとみられる会場

北京支局・葛西友久記者:
三中全会が開かれるとみられる会場です。「中国共産党万歳」と書かれています。

会議では、山積する国内経済の課題にどのように対処していくのかが焦点となる。

2021年の成長率8.1%から勢い失速

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
中国経済の減速について、崔さんはどうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
中国の4月から6月期のGDPは、前の年の同じ時期と比べて4.7%の成長となりました。日本から見ると、十分成長しているように見えますが、これは市場のエコノミスト予想を下回る結果であり、中国経済の停滞感が鮮明になった印象があります。

中国は新型コロナによるマイナスの影響から主要国の中でもいち早く抜け出し、2021年の実質GDPは8.1%の成長を達成しています。この勢いが半分近く失われてしまったようにも見えます。

堤キャスター:
どうして、ここにきて成長の力強さが失われてしまったのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
今の中国は内需が不足しており、具体的には消費と不動産市場の不振に悩まされています。6月の小売りの売上高は2%のプラスにとどまり、これは2023年1月のゼロコロナ政策の終了後、最も小さな伸びとなっています。

なにより深刻なのが不動産市況の低迷です。ロイター通信社の試算によると、中国の6月の新築住宅価格は前の年と比べて4.5%下落し、過去9年間で最も急速な下落率になったと報道されています。

公表されている経済指標にさまざまな見方

堤キャスター:
中国経済はかつての成長を取り戻せるのか、いま正念場を迎えているようですね。

エコノミスト・崔真淑さん:
そうなんです。しかも今回のGDPの発表では、これまで行われていた記者会見が見送られており、公表されている中国の経済指標に関してもいろんな見方が出てきています。

例えば、イギリスの『The Economist』では、衛星で確認できる夜間の光の量とGDPには相関があることをフックに、そこで計測される中国GDPと発表されているGDPには大きな差があるのではないかとも指摘しています。

2024年に入って、中国の製造業に関しては勢いのあるニュースが多い一方で、不動産に関する話題については、新築着工戸数と不動産投資はともに10%の以上の減少が起きているなど、気になる報道が増えています。

日本にとって中国は重要な貿易国であるとともに、インバウンド需要でも存在感があるため、日本経済への影響が懸念されます。

堤キャスター:
中国は国のあり方として「高い成長が続くことを前提としている」といった指摘もあります。鮮明になった経済の減速に対してどう対処していくのか、注視していく必要があるようです。 
(「Live News α」7月15日放送分より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(10枚)