3日、アメリカの長期金利低下を受け、半導体関連銘柄を中心に買い注文が増加し、日経平均株価が一時600円以上値上がり、終値は2日連続で4万円を超えた。
専門家は、円安が進行し、輸出企業にとって大きな追い風となっていると指摘している。

日経平均株価2日連続4万円台を維持

日経平均株価が、2日連続で4万円台をつけた。

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3日の東京株式市場は、前日のニューヨーク市場での、アメリカの長期金利低下を受けて株価が上昇した流れを引き継ぎ、半導体関連銘柄を中心に買い注文が広がった。

3日の日経平均株価の終値
3日の日経平均株価の終値

平均株価は一時、600円以上値上がりし、終値は2日連続で4万円を上回った。

市場関係者は、「最高値更新には、秋の中間決算で企業の業績見通しのさらなる情報修正が必要」と指摘している。

円安で企業利益増・為替差益が好影響

「Live News α」では、市場の分析や企業経営にくわしい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤礼実 キャスター:
ーー株価が4万円台をキープしていますが、馬渕さんは、どう受け止めていますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
アメリカ株が堅調であることに加えて、大企業の製造業がもうかっている、「増益」を織り込んだ値動きとなっています。大手メーカーは価格転嫁を進めて値上げができたことで、景況感が改善しています。

さらに円安の進行です。少し乱暴な言い方になりますが、今、輸出企業はボーナスポイントをもらったような状態にあります。

堤キャスター:
ーー実際、どのくらいの追い風になっているのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
企業の想定為替レートは144円台。つまり、144円台でも利益が出るように工夫していたのに、今、為替は160円台で推移していますので、当然、利益の積み増しが期待できるわけです。

これからお盆にかけ、企業の決算シーズンを迎えますが、減益を見込んでいた企業が一転して、業績が上振れるケースが多くなりそうです。これは、下請け企業を含めて、値上げや賃上げできる環境づくりのチャンスでもあります。

家計の金融資産過去最高も消費循環せず

堤キャスター:
ーー具体的には、どんな業種が好調なんでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
株式の格言に「国策に売りなし」というのがありますが、その言葉通り、防衛費の増額を受けた「防衛関連」や、国が工場の誘致を進めている「半導体関連」、それと、国内の利上げ観測から、収益の改善が見込める「金融」、「保険」などが好調です。

堤キャスター:
ーーただ、株価は好調でも、自分たちの暮らしには及ばないと思っている方も、多いと思います。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
好調な製造業に対して、個人消費の減速が非製造業にマイナスの影響を与えています。

一方、国の税収は、過去最高の72兆1000億円になる見通しです。そして、家計の金融資産もまた、過去最高の2199兆円となっています。つまり、国内にお金はあるのに、それが循環していないことが問題なんです。

日本は資金がある国です。それを国民に戻す、例えば、お金を使った人が得をする税制、言い換えれば、お金を使わなかった人が損をする制度も必要です。

さらにデフレからの脱却を本物にする大胆な景気対策など、個人消費を促す方法を議論すべきです。

堤キャスター:
株価は成長への期待値でもあります。
好調な株価を経済の好循環につながるためにどうすればいいのかを考え、そして、行動することが必要なのかもしれません。
(「Live News α」7月3日放送分より)

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