イギリス南西部で19日、世界遺産のストーンヘンジに環境活動団体のメンバー2人がオレンジ色の粉末を吹きかけ、器物損壊の疑いで逮捕された。この環境団体は過去にも過激な抗議行動を繰り返しているが、集金目的という見方もあり、20日午後2時時点でクラウドファンディングで約2800万円集まっている。「真剣に温暖化防止に取り組んでいるのか」という疑念がヨーロッパの若者世代中心に広まっており、政府や企業やメディアなどの姿勢が問われている。
「粉末はトウモロコシの粉で雨ですぐ落ちる」
19日、過激な抗議活動を繰り返している環境活動団体のメンバー2人が、イギリス南西部にある世界遺産の遺跡「ストーンヘンジ」にオレンジ色の粉末を吹きかけた。
この記事の画像(11枚)2人は、古代遺跡を破壊したとして、器物損壊の疑いで地元警察に逮捕された。
環境活動団体は、粉末はトウモロコシの粉でできていて、雨ですぐに落ちると主張している。
この団体は脱化石燃料を掲げて、これまでもゴッホの名作「ひまわり」にスープをかけるなど過激な行動を繰り返していて、イギリスのスナク首相は「恥ずべき破壊行為だ」と非難している。
20日午後2時時点でクラファンで約2800万円集まる
青井 実 キャスター:
地球温暖化は大きな問題で、国連の報告書でも、気候変動の最大の要因は石炭や石油などの化石燃料となっています。ただし、こうした抗議の仕方は理解しがたい感じがします。
SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
今回、事件を起こした「ジャスト・ストップ・オイル」は、2022年設立した新しい環境団体で、ストーンヘンジの他にもこういった過激な行為を繰り返している。
例えば、2022年10月には、イギリスの蝋人形館でチャールズ国王の蝋人形にチョコレートケーキを投げつけるという行為を行った。
他にも、美術館や政府のエネルギー関連の建物などで、品のない過激な攻撃を行っているが、毎回注目されてはいるものの、ひんしゅくばかりを買って世論を変えているわけではない。
青井 キャスター:
では、なぜやり続けるのでしょうか?
SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
一番分かりやすいのは、集金目的。今回も事件発生から間もないにも関わらず、既にクラウドファンディングで約2800万円集まっている。
青井 キャスター:
世界で共感する人から、集められているわけですね。
SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
肯定はしないが、彼らの行動には環境問題に目線を戻すという大事な訴えもあるかと思う。
このニュースがなければ、僕らも環境問題について触れなかったと思うし、立場のある人みんなが、クリーンエネルギーシフトの必要性を普段から伝えていれば、こんな行為もなくなるのではないか。
青井 キャスター:
確かにこうやって放送することで、私たちも環境問題について正しく考えることになりますね。
「抗議活動だけでは動かせない」デモ参加者が議員になる事例も
SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
環境問題に触れるきっかけにはなるが、行為自体は許されるものではない。
フジテレビ・立石修 取材センター室長:
こういう行為を取り上げることで、ホームページに行った人がその人たちの考え方を読んで、お金を払うというような流れになってはいるが、迷惑行為は容認できない。
だが、温暖化がどんどん進んで全く止まらないという中で、政府や企業やメディアが真剣に温暖化防止に取り組んでいるのか、という疑念がヨーロッパの若者世代にはある。
15才のグレタ・トゥーンベリさんが活動を始めた辺りから、多くの10代が温暖化阻止のデモに参加するようになってきた。その世代が今、20代になり「抗議活動だけでは動かせない」として、実際に議員になるような人も出てきた。
そういう風なものに繋がっていくのであるとすれば、まだそこに希望の芽はあるのかなとは思われる。
青井 キャスター:
その可能性を期待したいですね。
SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
これ以外の活動家もたくさんおり、まともな活動やデモを行っている方もいる。環境問題に対する意識は少しずつ上昇していると思われる。
青井 キャスター:
このような行動は、なかなかやめさせることもできないですよね?
SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
表現の自由もあり、活動を押さえつけることは難しい。例えば、以前、血ような液体をばらまいた後、ロンドン市長との対談ができたこともあり、そういった結果を生むこともある。
(「イット!」 6月20日放送より)